トリュフ⽝ジョットとトリュフ・ハンティング
好天の11⽉某⽇、トスカーナで⽩トリュフ・ハンティングに出かけました。
1920年創業、100年あまりの歴史をもつ、イタリア有数のトリュフカンパニー「サヴィーニ・トリュフ社」。
9:30にポンテデーラ駅で待っているとの連絡があり、宿泊していたフィレンツェのサンタマリア・ノベッラ駅を8:05に発つ、ピサ⾏きの列⾞に乗り込みました。初冬を迎えたトスカーナの⾵景を眺めながらの、約1時間のローカル線の旅。⾞窓を流れる景⾊は見飽きる事がありません。
駅で迎えのタクシーに乗り、15分ほどでサヴィーニ・トリュフ社に到着。⼀帯に微かなトリュフ⾹が漂います。
トリュフ加⼯場のある社屋に⼊ると、トリュフハンターのアンドレアやスタッフが笑顔で出迎えてくれました。
社屋には、創業家三代⽬・ルチアーノが考案したトリュフ製品がずらりと陳列されています。トリュフは採取からすぐに劣化が始まってしまうため、トリュフの⾹りを遠隔地にも運べるよう、ルチアーノは⼤量に採れるトリュフの製品化に取り組みました。
程なく同⾏の参加者4名(ノルウェー⼈、英国⼈など)が集まり、まずはトリュフについてのレクチャーを受講。トリュフは1年中採取でき、その⾹りも様々で、四季を通じて楽しめる事をなど学びます。2時間程のハンティング後、⽩トリュフづくしのランチがいただけるとの嬉しい案内も。ランチを思い、⾆舐めずりしながら皆でトリュフ・ハンティングに向かいます。
⼭に⼊る⾞は年季の⼊ったランドローバー。サヴィーニ・トリュフ社の創業者、ゼラはベスパ(スクーター)で採取に行ったとか。ちなみにポンテデーラにはベスパ博物館もあります。
荷台の⼀⾓にはこの⽇の主役トリュフ⽝・ジョットが、⼤⼈しく構えています。
ジョットの先祖は、あの幻の⽩トリュフ「スタンレー・ホーのトリュフ」を発⾒した事で有名です。 2007年に採取された、重さ1.5kgにもなるそのトリュフは当時世界最⼤と⾔われ、ギネス世界記録に認定されています。⾹港の実業家スタンレー・ホーが落札したその価格は、なんと33万ドル!
ランドローバーで、樫の⽊、ポプラ、ハシバミなどが⾃⽣するトスカーナの⼭間に⼊ります。⾞から勢いよく⾶び出すジョット。ハンター・アンドレアが続き、我々もその後を追いかけます。
森の中へ進む事約30分、ジョットが⼟を掘り出します。凄い速さ、⼒強さでどんどん掘り進み、まるで「ここ掘れワンワン」状態です。
突然アンドレアがジョットを制⽌し、⼟の表⾯を撫でる様に探ると、灰⾊の⼩さな物体が出現! ⽩トリュフです。ジョットが⼩躍りをし、我々も驚嘆の声をあげました。
ジョットへのご褒美は、トリュフ⾹付きの⾻型クッキー。アンドレアは、⽝はこれ欲しさに頑張ると⾔いますが、健気なジョットにちょっぴり同情しました。
なおも果敢に⽉桂樹の茂みに突⼊するジョット。急斜⾯を登る我々は息も絶えだえです。あっという間の2時間が過ぎ、今⽇の収穫である30g程の⽩トリュフ2個を手に、社屋へと帰ります。
さあ、待ちに待った、採れたての⽩トリュフ尽くしのランチです。
まずは、⽩トリュフペーストやアーティチョークペーストの芳香漂うクロスティーニ(パンの前菜)、地元産の⽣ハム・チーズなどの盛り合わせ。上には⿊トリュフが振り掛けられています。
ちなみにクロスティーニに使われているペーストは、瓶詰めで販売されています。
続いて、タリオリーニ(平打ちパスタ)の⽩トリュフ掛け。
食する前から、フレッシュな⽩トリュフの強烈な⾹りが押し寄せます。トリュフは毎⽇1gの⽔分と⾹りが蒸発して痩せていくという話を聞き、肺いっぱいに⾹りを吸い込みながら急いでいただきました。
3品⽬は⽬⽟焼き⽩トリュフ掛け。こんな朝が毎⽇迎えられたら…。
共に供されたワインは、近郊のサン・ジミニャーノ産の⾚。やっぱりトリュフには⾚ワイン! お好きなだけどうぞ、とポンとコルクを抜いて振る舞われます。
締めのジェラートにもたっぷりの⽩トリュフが! 甘味と共にトリュフをいただくのは初体験です。
15時過ぎ、トリュフの⾹りを⾝にまとい、満⾜、満腹のトリュフ・ハンティングを終えて帰路につきました。ジョットのようにシャワーを浴びずに、⼣飯はアパートでうどんでも茹でましょうか。
お土産には、胡椒挽きならぬトリュフ挽きと、
今回のハンティングの⼿配は、新宿伊勢丹や銀座三越でサヴィーニ・トリュフ社の製品を輸⼊販売している、ダイアモンドシックス社を通じてお願いしました。
トリュフ・ハンティングに関しては、サヴィーニ・トリュフ社の公式HPから直接お申し込みを。同社は、四代続く家族経営で、⾃然環境を守りながらトリュフ採取を続ける⽼舗です。ハンティングには、トリュフ尽くしのランチをはじめ、料理教室やワイナリー⾒学など、様々なコースが⽤意されています。詳細はこちらのページからご確認ください。
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- WRITING :
- 中川 豊(メディア・プロデューサー)