忙しない日常から解放される温泉旅は自分へのご褒美に最適。なかでも一生に何度とない特別な記念日を祝う旅などには、贅を尽くした環境で極上のおもてなしを受けられる宿を選びたいところです。

そこで温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに“プレミアムな滞在を叶えられる湯宿”をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、伊豆・修善寺にある「あさば」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

日本を代表する老舗旅館で名湯と真のおもてなしに癒される

静岡・伊豆半島最古の温泉で、日本百名湯のひとつでもある修善寺温泉。桂川沿いの豊かな緑に囲まれた温泉街の一画に佇むのが、創業から500年以上の歴史を誇る「あさば」です。厳格な審査をクリアしたレストラン、ホテルのみが加盟できる権威ある会員組織「ルレ・エ・シャトー」の一員でもあり、日本を代表する名旅館として知られています。

「あさば」の玄関
威風堂々たる玄関。

「重厚感ある門構えからして風格を感じさせる『あさば』。ロビーや通路、客室など随所から約600坪の池とそこに浮かぶ幽玄な能舞台を眺めることができ、どこを切り取っても絵になる空間です。静寂に包まれた館内は凛とした独特の空気が流れ、歴史を積み重ねてきた老舗旅館ならでの非日常感に誘われます」(植竹さん)

「あさば」の能舞台
能舞台。

客室は離れも含めて12室のみで全室に源泉かけ流しのお風呂付き。なかでも特別な記念日旅行に泊まってみたいと憧れる最高峰のお部屋は、1日1組限定の特別室「はなれ 天鼓」です。220平米の広さを誇り、本間とベッドルーム、さらにテラスと露天風呂・内風呂が備わります。

特別室「はなれ 天鼓」
特別室「はなれ 天鼓」。
はなれ 天鼓
和の風情とモダンが融合した室内。
「はなれ 天鼓」の露天風呂
特別室「はなれ 天鼓」の露天風呂。

「泉質は、アルカリ性単純温泉。肌なじみの良い修善寺の名湯を源泉かけ流しで楽しめるのも魅力のひとつだと思います。竹林を渡る風が心地よい野天風呂や高野槙の内湯を備えた大浴場も風情たっぷり。こぢんまりした浴槽で湯とじっくり向き合える貸切風呂でも癒されました」(植竹さん)

「あさば」の野天風呂
「あさば」の大浴場・野天風呂。
「あさば」の大浴場・内湯
「あさば」の大浴場・内湯。

ゲストの居心地のよさを追求して幾度となく改修を重ねてきた「あさば」。伝統的な和の設えに調和するモダンなサロンにはイタリア製の椅子が配され、ゆったりと寛ぎながらではアルコールやソフトドリンクを嗜めます。

「あさば」のサロン
「あさば」のサロン。

「実際に訪れてみて『さすが名旅館』と感服したのは、おもてなしのきめ細やかさ。館内は歴史の重みを感じさせつつ、清掃やメンテナンスが隅々まで行き届いており窓ガラスも床板も曇りひとつないほど磨きあげられています。備品ひとつひとつの質にもこだわりぬき、タオルの極上な肌ざわりが記憶に残るほど。真のラグジュアリーとは、ハード面だけではなく、こうしたソフト面にこそ現れるのではないかと実感させられました」(植竹さん)

客室「胡蝶」
スタンダードな客室も贅を尽くした空間。畳を定期的に交換するなどメンテナンスに一切の隙がない。

まさにローカルガストロノミー!心づくしのおもてなし料理に感動する

伊豆は駿河湾の魚介や天城山麓の種類豊かな伝統野菜などに恵まれた食材の宝庫。「あさば」では、そうした地元の旬のおいしさを引き出すことに心を砕いた一期一会のディナーをいただけます。名物は、穴子黒米ずし。修善寺の町おこしで栽培された黒米をおいしく味わうために考案された一品です。

穴子黒米ずし
穴子黒米ずし。
伊勢海老の唐揚げ
伊勢海老の唐揚げ。

「その土地の風土や歴史、文化を味覚で堪能するガストロノミーの真髄が一品一品から感じられ、素材や出汁の旨味が格別だったのが忘れられません。よく基本こそ一番奥が深いといわれますが、『あさば』のお料理がまさにそう。この味に魅了されてリピーターになっている人も少なくないようです」(植竹さん)

ワサビごはん
朝食でもかつお節をのせたワサビご飯など、伊豆ならではの味覚が絶品。

以上、伊豆・修善寺「あさば」をご紹介しました。500年以上の歴史と伝統を受け継ぐ名旅館で日本のおもてなし文化に心行くまで浸りたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

  • あさば
  • 住所/静岡県伊豆市修善寺3450-1
    客室数/全12室
    料金/朝夕2食付き 2名1室1名 ¥96,950(税込)~
  • TEL:0558-72-7000

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)