「木阿弥」ってなんと読む?「きあや」ではありません!
明日から3月ですね。3月の和風月名といえば「弥生(やよい)」ですが、この語源は「木草弥生月(きくさいやおいづき)…木や草がますますおいしげる月」の短縮語である、という説が有力です。だんだん暖かく過ごしやすくなってくる、楽しみな月でもありますね。本日は「弥」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「弥が上に」ってなんと読む?
「弥が上に」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「なおその上に。ますます」という意味の副詞です。
<使用例>
「仕事ができて性格も優しくて料理まで得意!? その彼は、弥が上にも注目を集めるわね」

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 弥が上に(いや-が-うえ-に) です。

「弥が上に」という副詞は、日常でも耳にしますね。「嫌」という字を使うと誤解している方も多いようですが「いよいよ。ますます」を意味する「弥(いや)」を使う言葉なのです。
さて、2問目にまいりましょう。
【問題2】「木阿弥」ってなんと読む?
「木阿弥」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「いったんよくなったものが、再びもとの状態にもどること」です。
<使用例>
「少しずつ成果が出てきたところだったのに、今回のミスのせいで元の木阿弥だわ」

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 木阿弥(もくあみ) です。

「木阿弥(もくあみ)」とは、もともと、戦国時代に武将・筒井順昭(じゅんしょう)の病死を隠すために替え玉を務めたといわれる人物の名前です。順昭と声が似ていた木阿弥は、順昭の代わりに寝所に寝て外来者をあざむきました。
順昭の子・順慶が成人すると、木阿弥は元の身分に戻った…という故事から、「元の木阿弥」という慣用句ができました。室町時代の芸術家・世阿弥(ぜあみ)や、江戸末期から明治に活躍した戯作者・河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)など、最後に「阿弥(あみ)」とつく人名は、日本史に一定数登場しますので、大人の教養として読めるようにしておきましょう。
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本日は、明日からはじまる3月の和風月名・弥生の「弥」という字をピックアップし、
・弥が上に(いや-が-うえ-に)
・木阿弥(木阿弥)
の読み方、言葉の背景についておさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(小学館)/ウェザーニュースホームページ/『漢字ペディア』(日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱