グローバル化が目覚ましい、今日の日本。もはや、日本でしか通用しない仕事のやり方は時代遅れ。どんどん世界で通用する力を身につけてゆかないと、時代の流れに取り残されてしまいます。

とはいえ、いきなり「世界的な視点を持とう」と考えたとしても、習得はなかなか難しいものですよね。単純に、英語だけができても通用するというものでもありません。一体どうすれば、どこの国でも活躍できるような人材になれるのでしょうか?

そこで参考にしたいのが、世界を相手に活躍する「上流階級の人たち」の哲学。コミュニケーションスクールRiSA Communicationsの代表・大網理紗さんは、これまで王室、皇室、政府要人、大企業の経営者など、名だたる上流階級の人たちを接遇し、発表会等でアナウンスも手がけてきました。そのなかでいくつかの成功メソッドを見つけ出しました。

大網さんの独自メソッドを習慣にすれば、誰でも視野がグローバルになっていくはず。以下から、世界で通用する力が身につく仕事習慣を5つご紹介します。

■1:時には「無駄な選択」をする

同じ服装をして無駄を省くこともひとつ

効率性を重視する。無駄を省く。それが一流への第一歩だと考えている人は少なくないでしょう。確かに、仕事において効率的な立ち回りは重要です。故スティーブ・ジョブス氏など、経営者の中には、毎日同じ服装に身を包むことで、コーディネートに悩む時間を省いている人も多いですよね。

ただし、それが必ずしも万人に共通する正解かというと、そうではありません。ファッションが好きな人からすれば、コーディネートに頭を悩ます時間も有益なものです。大網さんも「確かに効率性は悪いかもしれませんが、例えば毎日着る服を選ぶことで、これから過ごす時間への期待を、自分で高めている女性もいらっしゃるのではないでしょうか。私の場合もそうです」と話します。

他者から見れば無駄な選択だとしても、その本人にとっては意味のあることだったりするのです。効率性だけを重んじた選択をするのではなく、人生を豊かにする選択をすることが肝心だといえます。

■2:上手に「手を抜く」

仕事において、常に全力投球をしてしまう。それが重要なものであれば、なおさら。けれど、一流の仕事人ほど、仕事で上手に手を抜くことの大切さを知っているのです。大網さん自身、上手に力を抜くことができなかった新人時代に、上司から「力の入れ過ぎは、お客さまに伝わってしまうよ」とアドバイスされたといいます。

力を抜く・手を抜く、というのは、決して怠けるということではありません。上手な手抜きができるのは、経験に裏打ちされた自信があるから。その自信がゆとりにつながるのです。つまり、全体像を把握するほどの能力がある証拠。一流を志すのであれば、まずは上手く手が抜けるような人を目指しましょう。

■3:いつも心を穏やかに保つ

自分で穏やかさを作ることも重要

以前、大網さんは「世界で活躍する人材には何が必要か?」というテーマで、欧米のCEOたちにインタビューをする機会があったそう。その際、複数のCEOたちが「いつも心を穏やかに保つこと」と回答したといいます。

どんな人だって緊張はします。それが重要な仕事であればあるほど、緊張し、硬くなり、胸の内は穏やかではないでしょう。VIP接遇に携わってきた大網さんも同様。いつも何かに追われるような日々を過ごすうちに、「本当にその仕事がやりたかったものなのかわからなくなってしまった」そうです。

だからこそ、自ら穏やかさをつくることが大切。どれだけ素晴らしいスキルとアイディアを持っていたとしても、心が穏やかでないと、いざというとき、それが活きてこないのです。

■4:深く考えて臨む

どんな仕事も無難にこなせる人がいます。いつも苦労ばかりしている人からすれば、そういった器用な人たちは憧れでしょう。しかし、大網さんは「無難にこなすよりも、深く考えて臨むこと」の方が大切だといいます。

以前、とある建築家のCMナレーションの仕事に携わった大網さん。しかし、何度やってもOKが出なかったそう。そこで大網さんが実践したのは、その建築家の仕事に丸々一週間、同行するということでした。

大網さんは、当時のその行動について正解だったのかはわからない、と前置きした上で、「技術だけの仕事には限界があります」と話します。大網さんの場合はアナウンスという技術でしたが、それは「ただ上手いだけ」。きちんとこなせているように見えても、人の心に残るかどうか、クライアントを深く満足させられるかどうかは別問題。ときには、こなすことだけではなく、相手が何を求めているのか?を深く考えて臨むことが重要なのです。

■5:自分の「原点」を大事にする

自らの胸を開いた鍵を大事にしよう

大網さんがこれまで会ってきたVIPの人たちに共通すること。それが「夢を開いた鍵を大事にしている」ということです。これはいったいどういうことでしょうか?

「夢を開いた鍵」とは、「自分の原点」のこと。どうして自分は、この仕事を選んだのか。この仕事で実現させたいことは何なのか。その結果、自分はどうなっていきたいのか……。こういった「原点」を忘れずにいることは、謙虚さにつながります。

大網さんも、「子どもたちが夢を見られ、安心して『またね』と言い合える環境をつくっていきたい」という、自身の原点を常に振り返っているそう。

ちょっとした成功体験があると、人はどうしても慢心しがち。そんなときこそ、原点に立ち返り、初心を思い出すことが大切なのです。

一流のVIPたちが実践している、世界で通用する仕事術の数々。世界と聞くと難しそうに思われるかもしれませんが、実はどれも至極シンプルな考え方に基づくものばかり。そのグローバルな哲学を真似してみれば、きっとほかの人と差をつけることができるようになりますよ。

大網理紗さん
RiSA Communications代表、一般社団法人100年先のこどもたちへ代表理事
(おおあみ りさ)日本航空、一流ホテル勤務時代に、ロイヤルファミリー、政府要人といったVIPの接遇とアナウンスに従事。その後、全国アナウンスコンクール優秀賞受賞。現在は各界のプロフェッショナルや会社員など幅広い層をターゲットに、マナーや話し方、VIP接遇などを教える講師として活躍。著書に『大人らしさって何だろう。(文響社)、『人生を変えるエレガントな話し方』(講談社)など。
『世界で通じる至高の作法』著・大網理紗 大和書房刊
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
五十嵐 大
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