「ヴァン クリーフ&アーペル」アール・デコ期の貴重な作品にフォーカスする展覧会を開催

ヴァン クリーフ&アーペルの展覧会『永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル─ハイジュエリーが語るアール・デコ』の告知ビジュアル
2025年9月27日(土)より開催される展覧会『永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル — ハイジュエリーが語るアール・デコ』。

エレガントかつ詩情あふれる壮麗なコレクションの数々で、世界中の人々を虜にするハイジュエリー メゾン「ヴァン クリーフ&アーペル」の、アール・デコ期の貴重な作品にスポットを当てた展覧会が今秋開催されます。

『永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ― ハイジュエリーが語るアール・デコ』と題した本展は、1925年に開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」、通称、アール・デコ博覧会から100周年を迎えることを記念したもの。アール・デコ博覧会は、宝飾部門において複数の作品を出品しグランプリを受賞するなど、メゾンとも縁(ゆかり)のある博覧会です。

東京都庭園美術館
東京都庭園美術館 本館 正面外観/画像提供:東京都庭園美術館

今回舞台として選ばれたのは、アール・デコ期の芸術潮流の精華を受け継ぐ旧朝香宮邸=現・東京都庭園美術館。現在も竣工時の建築意匠がほぼ完全な形で残されている東京都庭園美術館は、当時のアール・デコの時代空間そのものを体感できる希少な建築です。

展覧会は4つのチャプターで構成され、メゾンの「パトリモニー コレクション」をはじめ、個人蔵の作品から厳選されたジュエリー、時計、工芸品が約250点、さらにメゾンのアーカイブから約60点の貴重な資料が展示されます。

ここからは、4つのチャプターの概要と共に、それぞれのチャプターで注目したい作品を厳選してご紹介していきます。

■Chapter1:Emergence of an Art Deco Aesthetic(アール・デコの萌芽)

 ヴァン クリーフ&アーペルのアーカイブ作品
《絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット》 1924年 プラチナ、エメラルド、ルビー、オニキス、イエローダイヤモンド、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション(C)Van Cleef & Arpels

第1章では、アール・デコ期に制作されたハイジュエリーの数々を紹介。1925年のアール・デコ博覧会でグランプリを受賞した《絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット》をはじめ、東洋のイメージに着想を得た、色彩豊かな宝石があしらわれた《ロングネックレス》など、自然のモチーフを幾何学的に様式化するアール・デコの美学が息づく作品たちが披露されます。

 ヴァン クリーフ&アーペルのアーカイブ作品
《ロングネックレス》 1924年 プラチナ、エメラルド、ルビー、サファイア、オニキス、エナメル、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション(C)Van Cleef & Arpels

■Chapter2:Evolution to a Singular Style(独自のスタイルへの発展)

 ヴァン クリーフ&アーペルのアーカイブ作品
《コラレット》 1929年 プラチナ、エメラルド、ダイヤモンド エジプト女王ファイーザ旧蔵 ヴァン クリーフ&アーペル コレクション(C)Van Cleef & Arpels

つづく第2章では、ダイヤモンドやプラチナが巧みにあしらわれたホワイトジュエリーにフォーカス。1920年代以降、メゾンが追い求めた立体感のある新たな造形的展開にスポットを当てます。

壮麗なダイヤモンドと鮮やかなエメラルドで構成されたコラレット ネックレスは、1920年代末に制作されたもの。1935年のブリュッセル万国博覧会ではフランス館に展示され、大きな注目を集めました。

■Chapter3:Modernism and Functionality(モダニズムと機能性)

 ヴァン クリーフ&アーペルのアーカイブ作品
《カメリア ミノディエール》 1938年 イエローゴールド、ミステリーセット ルビー 、ルビー ヴァン クリーフ&アーペル コレクション(C)Van Cleef & Arpels

モダニズムの魅力を伝える、多様な作品が披露される第3章では、メゾンを象徴する作品のひとつとされる《カメリア ミノディエール》に注目です。

1933年に特許を取得した「ミノディエール」とは、鏡をはじめ、女性が外出時に必要となる口紅やパウダーコンパクト、ライターなどを収めるケースのこと。《カメリア ミノディエール》は、パーティバッグにしのばせたり、そのままクラッチとして抱えたり、カメリアの部分を取り外してブローチとしても着用できたりと、当時の社会変化に応じ、洗練された美しいデザインのみならず、高い機能性の追求をも見ることができます。

■Chapter4:Garden of Savoir-faire(サヴォアフェールが紡ぐ庭)

 ヴァン クリーフ&アーペルのアーカイブ作品
《クリサンセマム クリップ》 1937年 プラチナ、イエローゴールド、ミステリーセット ルビー、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション(C)Van Cleef & Arpels

本展を締めくくる第4章では、メゾンのクリエイションを語るうえで欠かすことのできない、精緻な「サヴォアフェール(匠の技)」の数々を紹介。メゾンが愛する草花や動物をモチーフとしたジュエリーをテーマに、5つのセクション=5つの庭園を巡る体験を楽しむことができます。

躍動的に咲く菊の花をかたどったクリップ《クリサンセマム クリップ》は、1933年に特許を取得した「ミステリーセット」と呼ばれる宝飾技法が用いられた作品。石を留める爪を表に見せることなく、宝石の滑らかな質感が見事に表現されています。


今回ご紹介した作品たちは、本展のほんの一部。会場には、まだまだ多くの貴重な作品たちが展示されます。今秋の開催を、お楽しみに!

展覧会特設サイトはこちら

【詳細情報】

『永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ー ハイジュエリーが語るアール・デコ』
会期:2025年9月27日(土)〜2026年1月18日(日)
場所:東京都庭園美術館
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
時間:10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
※11月21日(金)、22日(土)、28日(金)、29日(土)、12月5日(金)、6日(土)は夜間開館のため20 :00まで開館(入館は閉館の30分前まで)
※祝日の月曜日(10月13日、11月3日、24日、1月12日)は開館、翌日の火曜日(10月14日、11月4日、25日、1月13日)は休館
休館日:毎週月曜日および年末年始(12月28日〜1月4日)
観覧料:一般:¥1,400、大学生(専修・各種専門学校含む):¥1,120、高校生・65歳以上:¥700
※本展は日時指定予約制です
住所:東京都港区白金台5-21-9

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問い合わせ先

東京都庭園美術館 ハローダイヤル

TEL:050-5541-8600 

この記事の執筆者
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PHOTO :
(C)Van Cleef & Arpels
WRITING :
池尾園子