「YOKOHAMA MAKERS VILLAGE」ってどんなブランド?
2017年4月、フラワーベース(花器)のコレクション「FLOWER/METAL」でミラノサローネに初出展した「YOKOHAMA MAKERS VILLAGE(ヨコハマメーカーズヴィレッジ)」は、横浜市近郊に工場を構える金属加工会社が集まり、各社の技術を組み合わせた物づくりを行うブランドです。
MADE IN JAPANの基礎を支える高度な技術を、自らの手で世界に発信しようと始めた取り組みには、地場の技術者だけではなく、ブランドコンセプトに共鳴したクリエイターたちが、さまざまなジャンルから集結。コラボレート製作を行っています。
熟練された技術と感性で創り上げられる作品群は、素材やデザインの細部に至るまで職人の気が宿る「アート」。花と金属という「やわらかさと硬さ」「軽さと重さ」など、対照的な要素を組み合わせるには、多様な加工方法を組み合わせる必要があります。
日本の職人の繊細な感性と美学がなければ完成しない、その技術と知恵の結晶を、海外の目利きたちは見逃しませんでした。バイヤーからその場でオーダーが入るなど、その反応にはつくり手自身が驚かされるほどだったといいます。
ミラノサローネの現場で、海外バイヤーから評価の高かったアイテムを4つ、ご紹介します。
■1:衝撃!15枚に分割して使えるフラワーベース「MIRAGE(ミラージュ)」
こちらは幾重にも重なるステンレスの円線形が、どこか不思議なやわらかさを感じさせる壺のような形をしたフラワーベース「MIRAGE(ミラージュ)」。15層になっているこちらの花器、実は分解するとそれぞれが単体でも使うことができるようになっています。
利用シーンや気分に合わせ、オーナー自身がカスタムして楽しめるというコンセプトもさることながら、ひとつひとつの器の美しい仕上がりにも、ミラノに集った海外バイヤーから評価が集まりました。この仕上がりは、絞り加工と機械加工を組み合わせた金属加工職人たちの、高度な技術により実現されています。
■2:一輪挿しにも、ブーケにもなるフラワーべース「BLOOM(ブルーム)」
ほかにもなかなかお目にかかることがない、ユニークな構造に驚かされる作品が沢山あります。こちらは「トルクヒンジ」を用いて開閉するフラワーべース「BLOOM(ブルーム)」。閉じた状態なら一輪挿しとして使えるし、パカッと開けばブーケスタイルにアレンジすることができます。
それぞれのパーツが連動して動く様子は、まるで花が咲いて開いていくところを、スローモーション映像で見ているかのよう。確かな技術が実現させた、芸術性の高い作品になっています。その動きの魅力がたっぷり詰まったイメージムービーが、こちら。
2018年のコレクションテーマは「REFLECTION / SHADOW」
2018年4月に開催された「ミラノデザインウィーク2018」では「REFLECTION / SHADOW home accessories collection」が展示されました。「反射と影」という、金属が持つ本来の魅力を表現したホームアクセサリーのコレクションは、光が金属にあたって反射することで周りの空間に陰影が生まれるという、その影響力にフォーカスした作品群になっています。新たに加わったデザイナーチームと共に、つくり方から見つめ直すことで、本質的な魅力が鮮明に表現されたコレクションとなりました。
■3:まるで水滴!ジュエリーケース「DROP(ドロップ)」
こちらは「水滴」をイメージしたという、鏡面仕上げが印象的なジュエリーケース「DROP(ドロップ)」。サイズはLargeとSmallの2パターンがあり、それぞれ少しずつあしらいにも変化がつけられています。Largeは平ためのシェイプに、Smallは少し高さを持たせているのがポイントです。ドレッサーやパウダールーム、エントランスなど、どんな場所や環境においても周りの明るさと共鳴し、やわらかな表情で溶け込んでくれそう。
コンセプチュアルな設計が際立つ今季のコレクションには、こんな作品もあります。
■4:月の満ち欠けのように金属が輝くキャンドルホルダー「LUNAR(ルナー)」
こちらは繊細に丁寧に切り出された金属による、多面体の構造が印象的なキャンドルホルダー「LUNAR(ルナー)」。中央のキャンドルホルダーに乗せた重さによって、カバーになっている部分の角度を変えることができます。キャンドルの炎による灯りが金属の質感を艶やかにみせ、空間をシックな雰囲気に演出してくれます。こちらの作品は、東京とミラノに拠点を持ち、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなどを幅広く手掛けるクリエイティブオフィス「nendo」出身のふたりが立ち上げた、「イド」がデザイン担当をしています。
「YOKOHAMA MAKERS VILLAGE」の花器やインテリアが海外でウケる理由は?
ミラノサローネが開催されるイタリアをはじめ、ヨーロッパ諸国ではそもそも「職人ブランド」が絶賛される素地があります。長い歴史や豊かな物語を持つメゾンブランドが幅広いジャンルで存在するため、ひとつひとつ専門性を持った職人達が、手仕事によって創り上げていく過程に対して、持つ目が肥えている市民が多いためです。ものづくりへの尊敬や価値の付け方が、日本とはまだまだ異なる環境にあると言えます。
そんな本場・ミラノで「MADE IN JAPAN」を打ち出したことにより、どのような反響があったのか? YOKOHAMA MAKERS VILLAGEの代表・藤澤秀行氏に、現地で感じたこと、現在のブランド状況についてお話を伺いました。
日本人の実直で繊細な手仕事は、素材選びから加工法、仕上げに至るまで、ヨーロッパの職人とは異なる感性、知恵や美学をもつという評価もあるそう。iPhoneなど世界的に知られるブランドの製品にも、肝となる部分には、知られざる日本の職人技術や素材が用いられていることがあります。
大々的にアピールすることなく、黒子に徹してきた高度な技術が、日本の地場産業にはたくさん埋もれています。周りの評価など付加価値で判断しがちなマーケットに打ち出すよりも、本質的な製品力を見極める力をもつ顧客へ直接、訴えかけた「YOKOHAMA MAKERS VILLAGE」のチャレンジは、的を射ていたと言えます。
青天井で値段もつけられない「アート」として展開されていてもおかしくない、そんな高度な芸術性と技術が結集された作品を、納得のいく価格で個人でも手にすることができる。目利きの方から「買い」が殺到しているのも、うなずけますね。
日本国内でYOKOHAMA MAKERS VILLAGE作品に触れることや、買うことは可能?
2018年5月現在、国内での展示予定は検討中とのこと。YOKOHAMA MAKERS VILLAGEの公式オンラインストアでは、2017年のフラワーベースコレクション「FLOWER/METAL」と2018年のホームアクセサリーコレクション「REFLECTION / SHADOW」の各作品を購入することが可能です。価格は€(ユーロ)表示になりますが、日本国内への発送も対応可能です。詳しくは公式オンラインストアにて。
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- Precious.jp編集部