連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する『Precious』連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、大学病院に正社員の助産師として勤務しながら、フリーランスとして妊婦・母親向けの育児ケアプロジェクト「ハローヘバメ」を立ち上げた、アニヤ・シュテルンさんとマリー・クオンさんにインタビュー!

ブログやポッドキャストを通して、産前産後ケアに悩む女性に寄り添う活動を続けるお二人に、詳しくお話しをうかがいました。

アニヤ・シュテルンさん(左)&マリー・クオンさん(右)
ハイデルベルク大学病院助産師、「Hallo Hebamme」主宰者
(Anja Stern & Marie Kuon)「ハイデルベルク大学病院」分娩室勤務の助産師。'19年、フリーランスで妊婦や母親向けプロジェクト「ハローへバメ(「ハロー 助産師の時間」という意味)」を立ち上げ、ポッドキャストやブログをスタート。ドラッグストアと協働で妊娠中や産後の女性向け商品を発売。'24年、本を上梓。共に一児の母。現在マリーさんはふたり目を妊娠中。

【Heidelberg】ブログやポッドキャストで産前産後ケアに悩む女性に寄り添う助産師ペア

ハイデルベルク大学病院助産師、「Hallo Hebamme」主宰者のアニヤ・シュテルンさんとマリー・クオンさん
左から/アニヤ・シュテルンさんとマリー・クオンさん

大学病院に正社員の助産師として勤務しながら、フリーランスとして妊婦・母親向けの育児ケアプロジェクト「ハローヘバメ」を立ち上げた、アニヤさんとマリーさん。

「助産師不足が進行するなかで、産前産後ケアを依頼されてもすべてに対応することができず、この状況を改善しなければという思いを抱えていました。出産、特に初産は多くの不安と戸惑いがあるのに、そばに頼れる人がいないなんて心細いですよね。そこで、妊娠、出産、産後、新生児の育児まで、あらゆる悩みを抱え込んで困っている人たちのために、デジタルを活用したケアとサポートができないか。そう考えて、試行錯誤しながらふたりでスタートすることにしたんです」

大人気となったポッドキャストは、子供が欲しいという切なる願いから、産後に役立つ具体的なトピックスまで、テーマが多岐にわたっているのが特徴。プロの助産師としてのアドバイスはもちろん、母親としての吐露もあり、なにより深い信頼関係で結ばれたふたりのゆるやかなムードも相まって、今や濃密なコミュニティができ上がっている。

活動の幅はみるみるうちに広がり、ドイツ最大のドラッグストアと協働して、妊娠中や産後の女性に向けたボディクリームなどを開発。’24年には、産後4〜6週間という産褥期のリアルな現実と、この時期を乗り越えるためのヒントを詰め込んだ「母親、そして父親に向けたコンパクトな参考書のような」書籍も上梓した。

「助産師の仕事は希望とやりがいに満ちている一方で、’25年11月より施行される新ルール(祝日加算の引き下げ、産後訪問双子加算の廃止など)により、収入が最大35%も減るという現実に直面しています。それでも母親がどの国で育ち、どの言語を話し、どんな経歴があるかに関係なく、赤ちゃんは生まれてくるもの。医学的な安全に加えて精神的な安定、さらに未来へのエンパワメントまで、家族全員に提供していきたいと考えています」

◇アニヤさんとマリーさんに質問

Q. 朝起きていちばんにやることは?
コーヒーを飲んでから娘を起こす(アニヤさん〈以下、A〉、マリーさん〈以下、M〉共通のアンサー)。 
Q. 人から言われてうれしいほめ言葉は?
「産前産後の素晴らしいサポートに感謝します」(A&M)
Q. 急にお休みがとれたらどう過ごす?
コーヒーを飲みながら読書をして過ごす(A)。計画していた断捨離に手をつける(M)。
Q. 仕事以外で新しく始めたいことは?
ピラティス、新しい言語の習得、アロマセラピートレーニング(A&M)。 
Q. 10年後の自分は何をやっている?
変わらず助産師の道を歩んでいる(A&M)。
Q. 自分を動物に例えると?
赤ちゃんを運んでくるコウノトリ(A)。大きくて強く、知能の高い動物の象徴とされる象(M)。

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PHOTO :
Horst Stange
取材 :
Noriko Spitznagel
文 :
本庄真穂