渋谷2丁目。渋谷駅から青山学院大学の手前までのこのエリアは、味も雰囲気も大人が満足できる実力派レストランが集まる場所として注目されている。

 青学西門通りにあるレトロなビルの3階にあるのが、エジプトのお酒好きな神様の名前を冠する『せくめとII』だ。ビルの外に店の所在を示す看板はない。ここで合っているのか、不安な気持ちを抱えながら少々窮屈な螺旋階段を上っていくと、妖しげな灯りと扉が我々を出迎える。

注目エリア渋谷2丁目にある、懐かしいだけではないスナック

 扉を開くと現れるのは、昭和のアングラのような空間。昔下北沢や高円寺でこういう店に行ったことがあるような気もするし、初めて体験する気もする。でも、ただ懐かしいだけではないのは確かだ。

「内装のイメージは私がしていますが、常連のクリエイターさんが好きなものを持ってくるんです。それを自由に飾っているから、ということもあるかもしれませんね」

と、ママの篠原まゆみさん。

ファッション関係者定番の2軒目のお店 

 アパレル関係者やクリエイターが多い場所柄らしく、こちらの常連も流行の最先端を知る大人ばかり。だからこそ、ただの懐古趣味ではないのだろう。そしてこちらへ誘ってくれた美女もまた、アパレル女子なのだ。

 市川綾子さんは『エディフィス』や『ジャーナル スタンダード』など数多くのセレクトショップやファッションブランドを手がける『ベイクルーズ』でPRマネージャーを務めるデキる女性。勤務先が近所のため、『せくめとII』はずっと気になっていた店だったという。 「会社の同僚やスタイリスト、ファッション誌編集者の方からこちらの評判はよく聞いていて。この近辺で食事することも多いので、2軒目にぴったりなんです。お店の規模感も大きすぎず、落ち着きますね」

ワンピース¥39,000(ジャーナル スタンダード レサージュ 青山店〈ブルーバード ブルーバード〉)
ワンピース¥39,000(ジャーナル スタンダード レサージュ 青山店〈ブルーバード ブルーバード〉)

 週末ともなるとカウンター席もソファも埋まり、立ってすごす人もいるほど。15名も入れば満席になってしまう。けれども週に3日も来る常連がいるほど、客に愛されている店のため、人との触れ合いで座れないことなど気にならなくなってしまう心地よさがある。

グラスを収納している棚は、なんとポスト。「こちらに移転する前に入居していたビルが取り壊されることに。そこで使っていたものを譲ってもらいました」(篠原さん)
グラスを収納している棚は、なんとポスト。「こちらに移転する前に入居していたビルが取り壊されることに。そこで使っていたものを譲ってもらいました」(篠原さん)

それはママの篠原さんの人柄によるところも大きいだろう。

「人と人の縁でこのお店はできていると思います。お客さんとの距離が近いので常連さんが忘れ物をしていたら、届けに行くこともあります。女性一人のお客さまもいますね。そこでお客さま同士でお近づきになったり。私もスナックのそういうところが大好きで、この店をしているのかもしれません」

お客さんの関係性や状況に合わせて、適度に距離を変えてくれる。そういう気遣いが大人にはうれしいはずだ。

1杯目はお店おすすめの『焼酎のそば茶割』

1杯目の前に、市川さんは普段どんなお酒を飲むのだろうか。

「量は飲めないんですが、まずはやっぱりビール。そのあとは好きな果実酒を飲むことが多いかな。日本酒文化の長野出身なこともあって、日本酒で〆ることが多いですね」

焼酎はあまり飲まないそうだが、『せくめとII』で人気の『焼酎のそば茶割』は別。

胃へのやさしさも考え、ノンカフェインのそば茶でキンミヤを割ったこちらは香ばしく、口当たりもいい。

ピアス¥30,000(ジャーナル スタンダード レサージュ 青山店〈ピチュリック〉)
ピアス¥30,000(ジャーナル スタンダード レサージュ 青山店〈ピチュリック〉)

「飲み慣れていない焼酎でも、すいすい飲めちゃいますね。飲みすぎてしまうので、あぶないお酒です(笑)」

おっと、おしゃべりとお酒を楽しみすぎた。スナックといえば欠かせないカラオケ、市川さんが男性に身に着けてほしいアイテムの紹介は後編で。

【せくめとII】

問い合わせ先

  • 住所:東京都渋谷区渋谷2-3-2 シグマAGビル3階
    営業時間:22:00〜
    定休日:不定休
    席料:500円
    メニュー:瓶ビール・ワイン700円、焼酎・カクテル800円、ウイスキー800円〜
    ※紹介制ですが、席に余裕がある場合は入店できます。

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この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
PHOTO :
小倉雄一郎