「アートウィーク東京」のアンバサダーに就任! 鈴木京香さんが語る「東京」を巡る楽しみ「現代アート」に染まる喜び|自らの溢れるアート愛を国立新美術館で特別に撮影&インタビュー

都内50か所以上の美術館やギャラリーが参加する現代アートの一大イベント「アートウィーク東京(AWT)」が、今秋も開催されます。美術への造詣が深いことで知られる俳優の鈴木京香さんは、昨年に続きアンバサダーに就任。
そこで今回、「建築も素敵!」と鈴木さんも魅了される国立新美術館を舞台にアーティスティックな撮影に挑戦。現代アートへの熱い想いも語っていただきました。
「東京は、質の高いアートが密集している世界的にも稀有な街。大好きです。現代アートとの魅力的な出合いをもっともっと楽しみたい」鈴木京香さん

20代の半ば頃から、休みのたびに世界各地の美術館を訪れることを続けていたという鈴木さん。「行けそうだな、と思ったら、自分でチケットを手配して、ひとりでどこへでも出かけていくんです」と笑います。
「今は現代美術が好きですが、美術館巡りのきっかけになったのは印象派でした。大学の卒業旅行でN.Y.のMoMAに行って、モネの『睡蓮』に魅了されて。そのときに、そうか、世界中の『睡蓮』を観ることもできるんだ、と。それからロンドンに行ったり、パリに行ったり、仕事をするようになってからも、あちこちの美術館を訪れるようになりました。旅先、特に海外だと、時間があるから鑑賞に集中できるんです。私の場合は、旅とアートはセットになっています」
建築にも造詣が深い鈴木さん。東京・渋谷の吉阪隆正による名作住宅「ヴィラ・クゥクゥ」や、谷口吉生のデビュー作である「雪ヶ谷の家」の保存再生や管理でも知られています。
「谷口吉生建築とは、不思議とご縁があるんです。以前、映画『UDON』(’06年)の撮影で香川県に滞在していたとき、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館が好きで、よく足を運んだんです。すぐ近くのギャラリーにも顔を出すようになって、猪熊の小さな作品を買ったりして。大好きな美術館のひとつなんですけど、ふと気づけば、谷口吉生の設計なんですよね。MoMAもそうだし、東京国立博物館の法隆寺宝物館もそう。私が『いいな』と感じたものが、後で調べると谷口建築だった、ということがよくあったんです。『雪ヶ谷の家』もきっと、そうだと知らずに見たとしても、『なんて素敵!』と感激したと思います。私は、建築に詳しいわけではないんです。ただ、この美術館なんだかいいな、と思うことを重ねていくうちに、“好き”の系統がはっきりしてきた。どうして好きなのか、は説明できないけれど、でも、自分の中の “好き” は一貫していたんだなと思うと、おもしろいですよね」

世界各国の美術館巡りから建築へも興味が広がっていったという鈴木さん。黒川紀章が手掛けた最後の美術館で、名建築として愛されている国立新美術館での撮影中も、キラキラと目を輝かせて、ダイナミックでエレガントな空間に見入っていました。
あらゆるアートが集まる街東京をフットワーク軽く楽しむ
海外の美術館を巡ってきたからこそ思うのは、「東京はやっぱりすごい」ということ。
「こんなにレベルの高い作品がつねにどこかで観られる街、というのは、なかなかないと思います。一日にいくつもの美術館をはしごすることができるし、しかも古今東西の名品が揃っている東京って、本当にすごいな、と。私は展覧会情報をチェックしたり、懇意にしているギャラリーの方や、美術に詳しいお友達からすすめられたりして、まったく知らないアーティストやジャンルのものでも『おもしろそう』と思ってよく観に出かけます。美術館って、みなさん熱心に作品を見ていらっしゃるから、『鈴木京香だ』って気づかれないですよ(笑)。絵画や写真、彫刻はもちろん、映像作品やインスタレーションも好きです」
「あれもこれも、を卒業して、本当に好きなものだけを磨いて研ぎ澄ましていくことの喜びに、今、目覚めたところです」

現代アートのコレクターでもある鈴木さん。アートバーゼルなど海外のアートフェアも好きで、あちこち通ううちに顔見知りも増えていき、「この人、本当にアートが好きなんだとわかっていただけたんでしょうね(笑)」、ということで、「アートウィーク東京」のアンバサダーを務めることに。
「都内の美術館やギャラリーが参加するアートイベントで、今回は50か所以上になるそうです。期間中に各所をつなぐ無料のシャトルバスが運行するんですが、そのルートが今年は11本も! それだけでも、東京がいかにアートが充実した街であるかがわかりますよね。メジャーな美術館から小さなギャラリーまで、名前を見ているだけでもわくわくします。アーティストとも作品とも、たくさんの出合いがありそう」
とはいえ、ふだんからアートに親しんでいる人以外は、『何が表現されているかわからない』、『難しい』のが現代アートのイメージ。ところが鈴木さんは「そのままでいい」と言います。
「もちろん、レクチャーを受けたり解説を読んだりして、アーティストや作品をより深く知ることはすごく楽しい。でも、そういう知識がなくても、作品の前に立って、何かを感じたり、感じなかったりするだけで、私は十分だと思うんです。だってそもそも、少なくとも私は、自分でも自分のことを全部わかっているわけではありませんから、アーティストだって、作品を観た人が『わからない』と言うことを責めはしないはず。作品を理解できないことは、全然恥ずかしいことではないと思います。かくいう私も、今もただアートが好きで、それに時間を費やすのが楽しくてしょうがないだけですから(笑)」
「アートウィーク東京」で感じた “好き” はどんどん共有して
繰り返される「好き」という言葉。それが、きっと、今の鈴木さんの輝きの源なのでしょう。
「私はもともとコレクション癖があって、気に入ったものを手元に置いておきたいタイプなんです。でも、美術作品に関しては、コレクションを増やしていったとしても、飾るスペースは限られているわけで、出しておけないものは結局倉庫で保管するしかありません。それはどうなのかな、というのは、年齢を重ねるにつれて考えるようになりました。『ヴィラ・クゥクゥ』もそうで、好きで、大切だからこそ、ほかの方にも楽しんでいただきたいし、しかるべき時が来たら次のよき方へと渡していきたいと思っているんです。誰だって、ずっと所有し続けることはできませんから」
鈴木さんはそのことを、「“好き” を研ぎ澄ます」と表現します。
「今の自分が本当に好きなものは何か、を突きつめていく。幅を狭めて、少数精鋭にしていく感じでしょうか。そうしていくと、ひとつの個性が確立されていくんですよね。ああそうか、私はこれが好きだったんだ、と、自分自身で認識することって、意外に難しいし、楽しい」
その “好き” を共有するのも喜びになります。
「アートウィーク東京で、もしアーティストに声をかける機会があったら、ぜひ『こういうところが好き』と伝えてほしいですし、お友達と行って感想を言い合ったり、SNSで発信したり、そういう、鑑賞から生まれるアクションによって、現代アートはもっと身近になると思います。気ままに、ふらっと、東京のアートスポットを訪れていただけたらうれしいですね」
●「国立新美術館」で撮影しました
- 住所:東京都港区六本木7-22-2
- TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
’07年に開館。国内最大級の展示スペースで、現代美術を中心にデザイン、ファッション、建築、マンガ・アニメなど、さまざまな分野の新しい表現を紹介している。現代アートの発信地・六本木エリアの中心的存在。
●「アートウィーク東京」期間中の展示は「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」(〜12月8日)。香港M+との初の協働企画としても注目を集め、1989〜2010年の20年間に日本のアートシーンを彩った革新的な表現に光を当てる。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先
- ロエベ ジャパン クライアントサービス TEL:03-6215-6116
- コロネット/ランバン TEL:03-5216-6518
- ブシュロン クライアントサービス TEL:0120-230-441
- JIMMY CHOO TEL:0120-013-700
- フェンディ ジャパン TEL:0120-001-829
- PHOTO :
- 浅井佳代子
- STYLIST :
- 藤井亨子(banana)
- HAIR MAKE :
- 板倉タクマ(nude.)
- EDIT :
- 須川千恵子、喜多容子(Precious)
- 文・構成 :
- 剣持亜弥