ハリウッドのトップ女優賞の、たった1つの泣きどころ
天は二物を与えず……そう言われたのは昔の話。今どきは、逆に二物を持っていないと、とてもじゃないかハリウッドでは成功できない、そんな時代となっている。
中でもニコール・キッドマンは、衰えぬ美貌に加え、IQ 132とも言われるずば抜けた頭脳を持ち、また誰もが認める"善い人"らしいから、二物どころか三物も、そしてまた運も持っている人。
しかしたった1つだけ欠けているものがあるとすれば、それはやっぱり男運、いや結婚運と言うべきなのだろう。
名実ともに、ハリウッドのトップ女優。しかも、いかなる人気女優も40代を超えると脇に回っていくハリウッドにおいて、50代を超えてまたもう一度ピークを迎えている稀有な存在。メリル・ストリープとはまた違ったポジションを確立した、唯一無二の女優と言っていい。
それにしても不思議。なぜこの人は結婚を失敗するのか。いや、2回離婚している人など、世の中五万といるし、ハリウッドでは3回4回5回6回の結婚離婚を繰り返すツワモノもたくさんいる。しかしこの人の場合は、失礼ながら2回とも夫から申し出る形で離婚に至っている。それどころか、彼女自身は関係を修復しようとしたのに結局離婚に至ると言うから、完全に逃げられた格好。
1回目の結婚は、言うまでもなくトム・クルーズ。これは紛れもなく、既に大スターとなっていたトム・クルーズに見初められ、母国オーストラリアからハリウッドに呼ばれる形で交際が始まり、当時まだミミ・ロジャースと結婚していたトム・クルーズが、結果としてニコール・キッドマンに乗り換えるようなある意味の略奪婚になったわけだが、11年後に離婚した時は、トム・クルーズからほぼ一方的に別れを告げられて大変なショックを受けていたと言われる。その離婚が成立した直後の映像といわれる、絶望のあまりちょっとバランスを崩した狂気の姿が今も残されているほど。ともかくトムを心から慕っていたという話が、今も語り継がれているのだ。
結局2度目の結婚も、夫から一方的に別れを告げられて
失意のニコールが、その5年後、自身の一目惚れという形で結ばれたのが同じオーストラリア出身のカントリー歌手キース・アーバン。この異色のカップルは、これまでオシドリ夫婦として名を馳せるほどに仲睦まじい姿がしょっちゅう報道されてきた。
実際に娘を2人もうけていて、見事に幸せなイメージがあったわけで、だからその報道はあまりにも唐突に思えた。ニコール・キッドマンが離婚? ウソでしょ?って。
結婚当初からなんとなくの格差婚的な匂いはあったものの、カントリーミュージックの世界でキースはある意味、第一人者。ただキースには結婚した当初から、薬物疑惑やアル中などの問題があり、それを承知の上で結婚したニコールは、献身的に夫を支え2人でこれを克服したという報道もあったほど。いずれにせよ、絆はとてつもなく強いのだと世間も考えていた。
だから、青天の霹靂。一体何があったの?と誰もが息を飲んだのが、今回もまた夫の方から一方的に別れを告げたという事実。正直言って「またか」と言う印象もを持った人も少なくなかったはず。ならば尚更、何がそうさせるのか知りたいと……。
これは想像に過ぎないが、やはり50代を超えてますますの活躍を見せるニコール・キッドマンが、家庭を大切にするようなふりをして実際は違ったのではないかという説。夫キースもなかなかなもので、じつは女性スキャンダルがいくつも報道されていた。今回も若いカントリー歌手ともう既に一緒に暮らしているとの噂もあるほど。
完璧であるが故に夫に逃げられる美女妻?
いよいよわからないくなった。なぜこの人は完璧なのに、夫に愛想をつかされるのか? 完璧だから? 完璧すぎるから? それ以外に答えが見つからない。だから1つの結論として、キースとのオシドリぶりを見るにつけ思うのは、完璧だからゆえに、体裁をつくろってしまう傾向にあるからなのではないかということ。
ちなみにトム・クルーズの時も、宗教の問題があったと言われる一方で、スペインの女優ペネロペ・クロスとの不倫も取り沙汰されていた。つまり2回とも夫の不貞が原因とすれば、なおさら不可解。普通ならば、そうですか、わかりましたと怒りに任せて自ら離婚申し出るというのが、トップ女優の判断なのだろうが、ニコールはそういう人では無かった。不倫する夫も寛大に受け止めようとした? そこに白白しさを感じたのか。いっそ嫉妬に狂ってもらった方が、夫たちは真実の愛情を感じられたのかもしれない。なんだかんだ言いながら、仕事を選んでしまう"できるキャリアウーマン"の妻を持った、ちょっとだけダメ夫の気持ちになってみればよくわかるはず。
つまり"完璧すぎる妻"は疲れる……というそのパターンだろうか。かつて「美しすぎて」というフランス映画があったが、キャロル・ブーケ扮する美人妻がいるのに、わざわざ普通の女性のところに走る夫の姿を描いた作品。妻が完璧すぎることに、息苦しさや重圧を感じる男はきっと少なくないのだろう。
ましてやそれがニコール・キッドマンのように、年齢の壁を越えてトップ女優の地位を維持し、一体いつまで続ける続くのか位の勢いで破竹の活躍を見せる人が妻なのだから。
加えてこの人は、慈善家としても有名。アンジェリーナ・ジョリーのような派手な行動はしないものの、しない
分だけセレブ界では尊敬される存在だ。そういう妻を持つことのしんどさって、きっとあるはずなのだ。
極めて稀なる"進化する女"は、離婚でますます進化を見せるはず
とにかくいろんな見方ができるのだけれども、ただ1つ確かなのは、夫の方が逃げたこと。しかし、この不名誉な離婚をニコールはまたも健気に乗り越えるのだろう。そしてトム・クルーズとの離婚後のように、ますますの活躍を見せるに違いないのだ。だから良いのだ、ニコール・キッドマンはまたさらに飛躍すれば。
そこで改めて思うのは、ニコール・キッドマンが極めて稀有な"進化する女"であったこと。オーストラリアで活動していた時は、言っちゃ悪いが「赤毛の大女」と言うイメージ。しかしハリウッド進出してからみるみる美貌が進化して、ピークを迎えたのはまさに1回目の離婚直後。シャネルN°5のミューズになった時の息を飲む美しさは今も忘れられない。人ってここまで進化するのかと目を見張ったほど。
そしてまた40代で低迷期を迎え、整形疑惑で相当に騒がれながらも、それを乗り越え今、58歳にして改めて女優のピークを迎えているのも、この人なればの進化。だからこの2度目の離婚後も、また違った意味でのさらなる進化を見せるのだろう。逆に今それが楽しみでならない。気の毒だけれど、じつは、全然気の毒じゃない。進化する女ならばこその、同情に値しない"フラれ離婚"ってあるものなのだと、なんだか感慨深い。
そしてまたきっと恋をするのだろう。トム・クルーズとキースの共通点は自分よりも平気で背が低いこと。どうでもいいこととは言え、男選びに関しては許容範囲が非常に広く、きっとまた意外なパートナーとの素敵な話が聞ける聞かれるに違いない。キースに出会う前に結婚まで囁かれていた"あまりにも意外な相手"、ドレッドヘアのミュージシャン、レニー・クラビッツとの復縁の噂もあり? それもまた楽しみでならないのだ。

- TEXT :
- 齋藤 薫さん 美容ジャーナリスト
- PHOTO :
- Getty Images
- WRITING :
- 齋藤薫
- EDIT :
- 三井三奈子

















