一周回った今こそ、この「絶対名品」が私を導く!

Preciousでは創刊より、いくたびか「名品」の定義を問い、アイテムをアップデートさせてきました。価値観の変容を感じるなか、一周回っても心がときめくものは、今こそ大人の羅針盤になるのでは…。

まずは、『Precious』編集部と担当スタイリストMと、エディターNによる座談会からお伝えします!

担当スタッフが白熱座談会! 大人が行き着く真の名品とは?

Precious編集部(以下P):『Precious』ではこれまでいろいろな「名品」企画をお伝えしてきましたが、一周回っても素敵!と思えるアイテムが、本当に自分にとって「今こそ」必要で、心を満たしてくれる「絶対名品」になるのではないかという思いから今回の企画が始まりました。

エディターN(以下N):その話を受けて、おしゃれプロの方々にアンケートをお願いして、「一周回って行き着く名品」を推薦していただきました。結果はまさに「これぞ、今の名品」とうなずきたくなるアイテムが並ぶ内容でしたね。

スタイリストM(以下M):私も拝見して、納得するものばかりでした。タイムレスなアイコンが、選び抜かれた印象です。

P:断捨離をしたのに、やっぱりあのアイテムが欲しいという意見もありましたね。そこまで思えるものは、まさに「絶対名品」。

N:まずバッグは、トップブランドのアイコンが強し…でしたね。

M:「ルイ・ヴィトン」の『スピーディ』や「グッチ」の『グッチ バンブー』、「フェンディ」の『ピーカブー』などは、何周回っても色褪せないことを、人生の歳月のぶんだけ、目の当たりにしていますからね。

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時を重ねるほどに魅せられる正統派アイコンバッグ。右/2022年9月号・左/2016年12月号 共に(C)戸田嘉昭(パイルドライバー)

「コレクションするような感覚より、日常にも使える、だけど背筋が伸びるというものが今の私たちの名品」

N:ただ、こうした名品中の名品は、王道だからこそ照れもあり、距離をおいていたものの、大人になって「いいものはいい」と確信するようになったという声も挙がっていました。

P:よくわかります!人と同じになってしまうことや自分らしく持てるかどうかに迷って、決断できなかったアイテムって、ありますよね。でも、違うものに散財したりして、あのとき買っておけばと思ったり…。

M:同感です。「それより、こちらよ」とあの頃の自分に教えてあげたい(笑)。

N:経験値の高まった今は、純粋にものの価値が見極められますよね。

P:前からずっと惹かれていたものの、自身が成熟した今こそ迎え入れたい、という究極のクラスアイテムも目立ちました。

N:はい。極上素材のコートや永久名品の時計はまさにその代表。「ロロ・ピアーナ」のカシミアコートや「パテック・フィリップ」の『カラトラバ』は、選者の方にとって、北極星のように輝く存在といえそうでした。

P:言葉にするとタイムレス、と普通なのですが、やはり息が長い名品は揺るがない価値があり、購入後も後悔がないですね。

M:はい、挙げられている名品は、どれも実際にとても活躍しそうなものでした。私は「グッチ」の『ホースビット ローファー』を以前に手に入れましたが、毎年必ず何回か出番があるのです。ロングセラーはやはり裏切りません。

P:数十年の歴史がある名品が支持されている一方、比較的新しいもので、「今の名品」と挙がったものもありますね。

N:「ザ・ロウ」のベーシックアイテムはそのカテゴリーの代表。最初から素敵!と射抜かれたけれど、自身の成熟を待ちたい、と一周おいた人もいるようです。

P:大胆で新鮮なデザインにときめいても、初見では永続的なのか判断しかねていた、という名品もあるように思います。私個人、登場した最初に選べばよかったなあと思うものが、いくつかあるんです。「マックスマーラ」の『テディベア コート』とか…。

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この美しい存在感と、共に歩みたくて。右/2024年 11月号(C)曽根将樹(PEACE MONKEY)、左/2019年 11月号(C)浅井佳代子

「一周回っても心がときめくものはやはりタイムレス。まさに『絶対名品』です」

M:私の場合、「TASAKI」の『バランス』です。個性的に思えて見送っていましたが、ファッションの流れが大きく変わったこの10年でも、変わらず “今” の気分を感じさせる絶妙さに感嘆。

N:ジュエリーは少しモダンな存在感があるものこそ、自分のスタイルを託せるのかもしれませんね。「シャネル」の『ココ クラッシュ』も誕生から10年と比較的新しいですが、愛用者も多く、「絶対名品」の風格が十分。

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変わらずときめくデザイン性。右/2021年3月号(C)宮崎裕介(SEPT)、左/2014年4月号 別冊付録(C)戸田嘉昭(パイルドライバー) 

「王道ゆえに距離をおいていた人気アイコンも、今なら純粋にその価値を判断できる」

P:みなさんの声から、やはり名品選びの視点が以前とは変わってきていることも感じました。

N:美しく大切にとっておきたい名品というより、日常の中で活躍して、自分のスタイルの核になっていくものに厚い支持が寄せられていました。

M:手にして終わりではなく、日常にも使える、だけど背筋が伸びるというものが、今の私たちの名品ではないでしょうか。

N:「何かをわかりやすく主張するキャッチーなアクセントに頼るのではなく、全体の空気感を底上げするようなものを選び、それに見合う所作やお手入れなどを意識していきたい」という意見も。これからの自分自身を導いてくれることも、欠かせないセレクトの基準になっています。一周回ったからこそ、必要性をジャッジできる自分がいる、ともいえるのでしょう。

P:自分にとって “腑に落ちる”「絶対名品」を今こそ迎え入れて、もっとおしゃれを豊かに楽しんでいきたいですね。

M:あとは、買わない後悔はもうしたくない(笑)。

N:はい。もう一周回れるかわかりませんから(笑)、ここでしっかり決断をしましょう!

PHOTO :
池田 敦(CASK)
STYLIST :
望月律子(KIND)
EDIT :
長瀬裕起子、遠藤智子(Precious)