雑誌『Precious』12月号では【エレガンス基軸で楽しむ「ドレスコード」考】を大特集。

近年、パーティにおけるドレスアップは、フォーマルとカジュアルの狭間で、“いかにスマートに装うのか?” が問われています。特に、キャリアを重ねた大人の女性にとって、自由度が増したドレスコードや、カジュアルセンスが求められるシーンにおいても、品格を損なうことなく、まずは「エレガントであること」を基軸にする “知性” が必要です。

今回は【おしゃれプロが考える、集う日の「マイドレスコード」】と題し、ファッションデザイナーの中村三加子さんにインタビュー。

中村さんにとっての「マイドレスコード」について伺いました。

インタビュー_1
中村三加子さん
ファッションデザイナー
(なかむら みかこ)1960年、東京都生まれ。祖父は山岳画家の中村清太郎。父は着物の図案家という芸術一家に育つ。テキスタイルデザイナーを経て、国内外の多くのブランドでファッションデザインを手掛ける。2004年に“MIKAKO NAKAMURA”を創設。2008年、カジュアルライン“M-fil”を発表。著書に『美しい服―MIKAKO NAKAMURA 長く愛される価値ある本物』(小学館)

おしゃれプロが考える、集う日の「マイドレスコード」

「幸福なシーンを記憶に刻むドレスコードはアルバムづくり」

藤森星児氏撮影による写真
おしゃれプロが考える、集う日の「マイドレスコード」

セミオーダーを中心としたブランド「MIKAKO NAKAMURA」のデザイナー、中村三加子さん。顧客との丁寧な対話から、日本のドレスアップ事情に明るく、的確なアドバイスにも信頼があります。

「自由度の高い『ドレスコード』が増えて、その流れは認めざるをえなくなりました。ただ、どんな『ドレスコード』であっても、大人の女性は、エレガンスを醸し出すこと、そしてドレスアップの基本をわかったうえで、着崩すことを忘れたくないですね。 

まず、フォーマルな席では、素材は光沢のあるシルクが基本です。シルクにもさまざまな質感があり、とりあえず黒のシルクが一着あれば、オールマイティと考えるのは間違い。喪の席では透ける素材や艶やかなものは着られません。一方、パーティでは光沢と存在感のある佇まいで魅せます。ある程度、地厚でハリのあるシルクでないと、美しいフォルムは生まれません。

確かにフォーマルなドレスというのは、頻繁に着回すものではありませんが、“あの楽しかった日は、あのドレスを着ていた!”と、大切に選んだ美しい服というのは、鮮やかに記憶に焼きついて、アルバムの中の一ページのようなもの。その時々の『ドレスコード』に“今”の気分をプラスした装いで、幸福な記憶を重ねたいですね」 

また、中村さんは黒い服で出席する女性が多いことも気になるとか。ダークスーツの男性に同化して、会場全体が暗い印象に…。

「黒のイブニングドレスの美しさは別格として、私自身、ちょっとしたパーティではあまり黒を着ません。きれいに装う人たちが多いほど、その場は華やかになります。それは会を催した人にとっても、うれしいこと。きれいな色をまとい、手首や足首など程よく上品に肌見せをして、日本女性らしいエレガンスを極めていきたいと思います」

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PHOTO :
藤森星児
EDIT&WRITING :
藤田由美、喜多容子・木村 晶(Precious)