日々の疲れを洗い流し、心身共にリフレッシュできる温泉旅。天然資源である温泉はその土地ごとの個性があり、ただ体が温まるだけでなく、全身の凝りがほぐれるのを感じられたり美肌に近づけたりなど、普段の入浴では得られないさまざまな恩恵をもたらしてくれます。

そうした温泉のポテンシャルをしっかりと実感できる東北の名宿を、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんがピックアップ。今回ご紹介するのは、秋田県・乳頭温泉郷にある「妙乃湯」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

静寂に包まれた秘湯の地で“金と銀”異なる2つの名湯に出合う

秋田県・十和田八幡平国立公園の山あいに位置する乳頭温泉郷。ブナの原生林に抱かれるように7つの温泉宿が点在し、それぞれが独自の源泉を守り続けているという日本屈指の湯の聖地として知られています。

「妙乃湯」外観
冬季は雪に包まれて幻想的な光景が広がる。

そのなかでも、和の装いとモダンな雰囲気が融合した名宿として評価が高いのが「妙乃湯」です。渓流・先達川を目の前に望み、せせらぎが響く秘湯感溢れるロケーションながら、館内に一歩足を踏み入れると洗練された居心地のよい空間が広がり、極上の癒しに身を委ねることができます。

客室一例
客室一例。

「こちらの宿では、泉質の異なる2つの自家源泉があります。ひとつは茶褐色の『金の湯』、もうひとつは無色透明の『銀の湯』と、見た目からしてはっきりと違いがわかる湯の入り比べができるのは得難い体験です。まず、『金の湯』の泉質は、マグネシウム・カルシウム-硫酸塩泉。酸性で古い角質や毛穴汚れを優しく取り除く作用があるとされる湯です。一方、『銀の湯』は単純温泉でこちらは柔らかく優しい浴感です。

2つの湯に交互に入ることで、クレンジング効果の期待できる『金の湯』で肌の土台をリセットしながら、『銀の湯』で潤いをチャージするという、それぞれの泉質の恩恵を享受できて、美肌にぐっと近づけるのを実感できました」(植竹さん)

金の湯
「金の湯」の浴槽。
銀の湯
「銀の湯」の浴槽。

「妙乃湯」は、泉質もさることながら浴槽のバリエーションも豊富。まず、男女入れ替え制の大浴場が2か所あり、寝湯や岩風呂など4種類の浴槽が備えられています。

混浴露天風呂
混浴露天風呂。

そして、四季折々のワイルドな絶景をよき湯と共に楽しめるのが混浴露天風呂です。先達川の渓流に面し、轟々と流れ落ちる小さな滝を眺めながら湯浴みができるのが格別。バスタオルを巻いての湯浴みが可能で、女性専用時間も設けられているため、混浴ビギナーでも安心して秘湯ムードにひたれます。

貸切風呂「やわらぎ」
貸切風呂「やわらぎの湯」。

さらに、宿泊者は無料で利用できる貸切風呂もあり、開放的な露天風呂からプライベートな空間まで、さまざまなシチュエーションで金銀の名湯を享受できる環境が整っています。

自然美と調和した食事処で洗練された郷土料理を味わう

食事処
食事処。

夕食は、地元で採れる滋味豊かな食材を生かした会席コースです。奥羽山脈の山あいに位置する「妙乃湯」では、厳しい自然が育んだ里の恵みを厳選し、素材のよさを引き出すように丁寧に作られた品々がテーブルに並びます。

献立の中心となるのは、比内地鶏の旨味が凝縮された「きりたんぽ鍋」をはじめとする秋田の郷土料理や、山の幸をふんだんに使った小鉢、手間ひまをかけた煮物など。味わいには懐かしさがありつつも、器や盛り付けはスタイリッシュで、目と舌の両方で美食を味わえます。

夕食一例
夕食一例。

窓の向こうに広がる自然美を眺めながら、地酒と共に旬の料理をいただくのは、まさに至福のひととき。温泉で温まった体に滋味深い料理が染みわたり、心が満ち満ちていくのを実感できることでしょう。


以上、乳頭温泉郷「妙乃湯」をご紹介しました。せせらぎに耳を澄ませながら渓流を眺め、金銀2つの温泉に浸かるという非日常体験で心身をリセットしたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

  • 妙乃湯
  • 住所/ 秋田県仙北市田沢湖生保内駒ヶ岳2-1
    客室数/全15室
    料金/朝夕2食付き 2名1室1名 ¥19,500~(税込)
  • TEL:0187-46-2740

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この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)