ワイナリーやブドウ畑を訪れ、造り手との交流や試飲、地元の料理を堪能し、自然や風土に触れる旅のスタイル"ワインツーリズム"。多くの旅行者は美食に加えて、その地ならではの文化的な体験を求めており、世界中でワインツーリズム市場が著しく成長を遂げています。今回紹介する西オーストラリアのマーガレット・リバーは、そんな心に残る体験ができるプレミアムなワインの産地。その魅力を紐解きます。
【西オーストラリア/マーガレット・リバー】フランスやスペインを超えた!? 世界のワインラバーが注目のワイン産地
今回紹介するマーガレット・リバーは西オーストラリア州南西部に位置する地域。州都パースから車で約3時間半の場所にあります。200軒以上の高品質なワインを生産するワイナリーが集まっており、今最も世界中のワインラバーたちの注目を集めているエリア。
2025年の国際ワイン・スピリッツ・コンペティション(IWSC)で、全40種類のトロフィーのなか、フランスやスペイン、ポルトガルといった強豪国を抑え、最多の9種類を獲得したのがマーガレット・リバー地域のワインなのです。
そういった世界的なワインの評価も関係して、2025年11月に行われた国際的なアワード『世界のベストヴィンヤード50』の授賞式会場にマーガレット・リバーが大抜擢。
『世界のベストヴィンヤード50』とは、ワインツーリズムの専門家たち720人が世界で「最も素晴らしい体験ができるワイナリー」を選出し、ランキング形式で発表するもの。2019年から始まり、ワイナリーの雰囲気、ワインの品質、食事、景観、サービスなど、訪問したときの体験の総合力で選ばれます。
「ヴィンヤードはもはやワイン通だけのものではなく、ワインツーリズムとして、人々が宿泊やウェルネス、料理、ランドスケープを堪能できる場所として変化しています。旅のスタイルとして、ワインツーリズムは今後より注目されるでしょう。マーガレット・リバーは、ワインの品質のみならず、自然環境の素晴らしさや卓越した観光地としての魅力もあり、授賞式を開催するにふさわしい場所だったんです」と、『世界のベストヴィンヤード50』のコンテンツ部門の最高責任者エマ・スライトさんは話しています。
五感を刺激するさまざまな体験や美食が堪能できるワイナリー3軒を紹介
マーガレット・リバーは、フランス・ボルドー地方と非常に似た気候や土壌条件を持つといわれるほど、ワイン生産に適した環境。特に世界的評価の高いブドウ品種が、シャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンです。シャルドネは、凝縮したシトラスや桃やあんずといったフルーティなフレーバーが特徴的で、酸味がほどよくあるためさまざまな料理と相性が抜群。カベルネ・ソーヴィニヨンは、力強さがありつつもエレガントで、飲み疲れしません。今回、ワインツーリズムの視点から、満足度の高いおすすめのワイナリーを厳選しました。
1:タパスとワインのペアリングが秀逸な「ヘイ・シェッド・ヒル」
1973年創業とマーガレッド・リバーでも最も古いワイナリーの一つ「Hay Shed Hill
(ヘイ・シェッド・ヒル)」。シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック、スペイン品種のテンプラニーリョまで、さまざまな品種のブドウを栽培し、高品質のワインを生産しています。
ワイナリー内にある、自然光がたっぷり入る居心地の良いカジュアルなタパスレストラン「RúSTICO(ルスティコ)」では、プリフィックスの5つの料理のショートコースとワインとのペアリングをぜひ。数名でシェアするスタイルで、レバームースと野菜の盛り合わせや、マグロのタルタル、タコのグリル、豚バラ肉のワイン煮込みなど、地元の新鮮な食材の味わいが生きた料理の数々に、ワインを飲む手が止まらなくなります。
2:自分好みのワインのブレンドが体験できる! 「ボエジャー・エステイト」
保水性と微生物のバランスを保ちながら土壌の活性化を図り、自然保全に配慮したサステナブルなブドウ栽培を行っている「Voyager Estate(ボエジャー・エステイト)」。シュナンブラン主体のスパークリングワインは、りんごや柑橘系などのフレッシュな果実の香りとミネラルを感じさせる繊細な泡が特徴で、良質のシャンパーニュのようなエレガントな飲み口がクセになります。
ここではお好みのワインの試飲ができるほか、ブドウ畑をまわるツアー、ワインのブレンドに挑戦して自分だけのワインを作ることができる体験コースも。併設のレストランは、地元の食材に麹や自家製味噌を効果的にアクセントとして取り入れるなど、どこか先進的でありながらも洗練された料理が大人気で、西オーストラリアのメディア「グッドフードガイド」の2025年の地域レストランの最優秀賞にも選ばれています。
3:SDGsに配慮したワイナリーで、美食やアート、ワイナリーステイを。「チェルビーノ・ワインズ」
「Cherubino Wines(チェルビーノ・ワインズ)」は、ラリー・チェルビーノが経営する家族経営のワイナリー。ラリーとその妻エドウィナによって2005年に設立され、サステナブルなブドウ栽培を追求してきました。ワイン関連の賞の常連で、革新的なワインを造ることでも知られており、例えば「Uobo」と名付けられたシリーズは、卵型のコンクリートタンクで醸造・熟成しており、果実味がありリッチでエレガントな飲み心地が人気です。
「チェルビーノ・ワインズ」に併設されているレストラン「Masseria(マッセリア)」ではラリーのルーツであるイタリア料理を提供していますが、アラカルトメニューが中心。地元でとれる新鮮なヒラマサを赤玉ねぎのピクルス添えた一皿や、ニョッキのフリットをプロシュートやサラミと和えた前菜など、シンプルで素材重視の料理に感激すること間違いありません。
また、ワインの試飲以外にも、併設のギャラリーで現代アート観賞ができ、DJイベントも不定期で開催。ファミリー仕様のゲストルームが3部屋あり、ワインを飲んだ後にそのまま滞在できるのも魅力です。
サーフィンスポットでも知られる、美しい海岸線も堪能できる!
ワイナリーを訪れるついでに、ぜひ体験してほしいのが大自然のアクティビティ。マーガレット・リバー周辺は、その雄大な海岸線と世界レベルの波で知られ、サーフィンの聖地。海の透明度が高く、その美しさに圧倒されます。小型飛行機での水上飛行や船でのクルーズが楽しめたり、プロのサーファーからサーフィンの手ほどきを受けることもできるとか。140kmの絶景トレイル「ケープ・トゥ・ケープ・トラック」も人気ですが、海岸線を散歩するだけでもリフレッシュできるでしょう。
ワイナリーで体験できることの充実度が増すなか、ワインツーリズムは大注目の旅のスタイル。マーガレット・リバーは、質の高いワインに加え、多種多様なワイナリー体験と美食、そして大自然と、五感を刺激するアクティビティがさまざま。次の旅のデスティネーションに加えてみてはいかがでしょうか?
問い合わせ先
関連記事
- TEXT :
- 高山裕美子さん エディター・ライター

















