沖縄に滞在していた春先、桃の節句から2日間「クラシックカーラリー沖縄」が開かれていた。翌日にはレース参加車両と公道でも出くわした。このレースに特別協賛しているのがショパールだ。ショパールはいつもどこでも、本気でモータースポーツの文化に関わっている。だから、その腕時計も正しくレースの精神を見立てていて、見栄えもいい。

ショパール30年目のアニバーサリーモデルはより華やかに!

「ミッレ ミリア 2018 レース エディション」

レーシング・クロノグラフのひとつの「形」をつくったのが「ミッレ ミリア」。クラシックカーのレースだからこそ、機械式のクロノグラフであることにリアリティがある。パンチングカーフのストラップや文字盤の仕上げなど、細部の見立てもウィットが効いている。写真左/●自動巻き●ケース径42mm●パワーリザーブ42時間●SS+18Kローズゴールド ¥988,200 ※世界限定100本・写真右/●自動巻き●ケース径42mm●パワーリザーブ42時間●SS ¥696,600 ※世界限定1,000本(ともに税込価格、7月発売予定)
レーシング・クロノグラフのひとつの「形」をつくったのが「ミッレ ミリア」。クラシックカーのレースだからこそ、機械式のクロノグラフであることにリアリティがある。パンチングカーフのストラップや文字盤の仕上げなど、細部の見立てもウィットが効いている。写真左/●自動巻き●ケース径42mm●パワーリザーブ42時間●SS+18Kローズゴールド ¥988,200 ※世界限定100本・写真右/●自動巻き●ケース径42mm●パワーリザーブ42時間●SS ¥696,600 ※世界限定1,000本(ともに税込価格、7月発売予定)

 レースを知らないと、まともなレーシングウォッチを作れないことを、ショパールはよく判っている。その真骨頂ともいえる腕時計シリーズの最新作が「ミッレ ミリア 2018 レース エディション」である。イタリアで開かれる、世界で最も美しいレース「ミッレ ミリア」のオフィシャルパートナーとタイムキーパーをショパールが始めてから、もう30年になる。毎年の限定モデル「レース エディション」もまた、待ち遠しいクラシックカーの祝祭を彩るのに欠かせない花なのだ。

「ミッレ ミリア」のレースロゴにも採用されているおなじみの鮮やかな赤で、30周年を高らかに祝う。例年にもまして華やかなケースバックはアニバーサリー・モデルならでは。
「ミッレ ミリア」のレースロゴにも採用されているおなじみの鮮やかな赤で、30周年を高らかに祝う。例年にもまして華やかなケースバックはアニバーサリー・モデルならでは。

 今年はステンレススティールのモデルが1,000本、ベゼルにローズゴールドを奢ったモデルが100本の限定。どちらもスイスの公的機関COSCの精度テストをパスした、公式クロノメーターである。30年目の記念の文字がシースルーバックのサファイヤクリスタルに掲げられているのも、例年以上に華やかだ。

ポルシェ550Aスパイダーでレースに参加する、ショパール現・共同社長のカール-フリードリッヒ・ショイフレ氏。
ポルシェ550Aスパイダーでレースに参加する、ショパール現・共同社長のカール-フリードリッヒ・ショイフレ氏。

 ショパール現・共同社長のカール-フリードリッヒ・ショイフレ氏自身も、毎年このレースに参加している。隣に座っているのがF1の英雄ジャッキー・イクスだったりするし、参加車もポルシェ社の博物館が特別に貸し出したらしい、1956年製のスパイダーだったりするのだ。ずいぶん前になるが、初めて彼に単独インタビューした時に尋ねてみた。「スポンサーになる前に、ミッレ ミリアに出たことがあるのではないですか?」。当時はまだ副社長だった彼が、視線を逸らしながら可笑しそうに「ウイ」と言った。

 クルマが好きな人間が腕時計のつくり手で、しかもそれが他ならぬショパールであったことで、こうした幸運な腕時計ができている。30年目のクロノグラフはとても出来が良く、文字盤はクラシックカーの計器盤のような、円形のエンジンターンド模様を連ねた粋なブショナージュ(ブショネ仕上げ)。パンチングを施したカーフレザーのストラップは、裏側にダンロップレーシングのタイヤパターンを施している。嘘がなく、わざとらしくもなく、レースを記念する腕時計をレースとレースカーに見立てることは、実は難しい。

朱の地に白を抜く「ミッレ ミリア」のロゴは、遠目にも分かるこの時計のアイコン。精度が公式に認められたクロノメーターの表示も誇らしい。
朱の地に白を抜く「ミッレ ミリア」のロゴは、遠目にも分かるこの時計のアイコン。精度が公式に認められたクロノメーターの表示も誇らしい。

 「ミッレ ミリア」のレース参加費が8,000ユーロ(約102万円、※2018年6月現在)だから、時計の価格と妙な符合のようなものがある。参加するためには、最低条件でも1957年以前に製造されたレースカーが必要だ。その車の輸送や整備があり、1000マイル(伊語でミッレ ミリア)を走るレース本番だけで4日間は費やす。レースのミッレ ミリアにはなかなか参加できない人も、腕時計を求めることでこのおそろしく魅力的な、しかも文化的モーターイベントに参加する。そういう時計なのである。

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この記事の執筆者
桐蔭横浜大学教授、博士(学術)、京都造形芸術大学大学院博士課程修了。著書『腕時計一生もの』(光文社)、『腕時計のこだわり』(ソフトバンク新書)がある。早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校・学習院さくらアカデミーでは、一般受講可能な時計の文化論講座を開講。