連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する「Precious」連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、中国・上海で農業を支援する企業「微笑菠茄(Smiling BOQIE)」を立ち上げ、小規模農家と一般消費者をつなぐフリーランスのイベントオーガナイザーとしてご活躍の王琳さんにインタビュー! 

手付かずの大自然に囲まれている環境が好きで、どこにいても土を感じられる場所で働いてきたという王さん。上海のような大都市にいると、大量に廃棄されてしまう果物などを目にし、自分に何ができるかを模索するようになったといいます。イベントオーガナイザーとして農家と消費者をつなぐ王さんが、働くうえで大切にしていることとは? 詳しくお話しをうかがいました。

王琳さん
「微笑菠茄(ウェイシャオボーチエ・Smiling BOQIE)」共同経営者
(Wang Lin)中国東部沿岸の江蘇省出身。書道や竹クラフトなどを専門に学び、東京藝術大学への留学を経て、フリーランスのイベントオーガナイザーに。’22年、上海にて飲食業に携わるパートナーと共に、農業を支援する企業「微笑菠茄(Smiling BOQIE)」を立ち上げる。ファーマーズマーケットなどを開催するほか、オリジナル商品の開発にも携わる。

【Shanghai】小規模農家と一般消費者をつなぐフリーランスのイベントオーガナイザー

インタビュー_1,キャリア_1
「微笑菠茄(ウェイシャオボーチエ)」共同経営者の王琳さん

「手つかずの大自然に囲まれている環境が好きで、どこにいても土が感じられて空気が澄んでいるような場所で働いてきました。例えばミャンマーやラオスの国境に近い雲南省のシーサンパンナ。ここでは茶園の生産者と直接話して希少な茶葉の買い付けを行うティーハンターの仕事を。チベット仏教の聖地といわれる雲南省のシャングリラでは果樹園の手伝いをしていました。長い期間、都会で過ごすことがどうしても苦手(笑)。だから卒業してからずっとフリーランスなんです」

そんな王さんだからこそ、上海のような都市で目につくのがむだの多さ。スーパーに並ぶ果物は見事に大きさが揃っているが、それはサイズ違いのものを廃棄しているがゆえ。りんごを例にとると、’24年は不作だったにもかかわらず、不揃いという理由で大量に捨てられてしまったのだそう。果樹園の仕事でさまざまな生産者とつながりをもった王さんは、安心安全な食材を育てるのは小規模生産者が多いこと、ただ災害や不作時の影響を受けやすいことを知り、自分に何かできることはないかと模索するようになった。

「大学卒業後はイベント企画の仕事もしていたので、そのノウハウを使って農地で音楽やスポーツのイベントを企画するようになりました。その輪が広がっていき、立ち上げることになったのが『微笑菠茄』です。農家と消費者をつなぐことが目的で、規格外という理由だけで流通に乗らない食材を扱うマルシェやシェフズテーブルを開催したり、自ら開発に携わった商品を中国国内の『蔦屋書店』のポップアップイベントで紹介したりも」

自由に意思決定を行いたいからと、企業に投資を募ったりはせず、自分たちで課題解決の道を探っていくのが「微笑菠茄」のスタンス。自分の感性を大切にし、自分らしい生き方や働き方を守り続ける王さん。そんな女性がつくり出す新たなトレンドに、人々が反応するのは自然の流れなのかもしれない。

◇王琳さんに質問

Q 朝起きていちばんにやることは?
この世界に「ありがとう」という気持ちを込めてお香を焚く。
Q 人から言われてうれしいほめ言葉は?
「頼りになるね」
Q 急にお休みがとれたらどう過ごす?
ピラティスをしたり、餃子をつくったり、飼っている犬や猫と遊んだりする。
Q 仕事以外で新しく始めたいことは?
アートスペースが欲しい。仕事と無関係ではなくて、食に関する問題を伝える展示空間にできたら。
Q 10年後の自分は何をやっている?
拠点を海辺に移して、サーフィンを楽しむ暮らしをしている。これまでも「こうなったらいいな」と願ったことが叶っているんです。
Q 自分を動物に例えると?
標高が高い山に生息するユキヒョウ。厳しさがありながら美しいムードを纏っているところ。

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PHOTO :
Masato Nagafune
取材 :
Akiko Hagiwara