尾張藩主の住居かつ藩の政庁として、1615(慶長20)年に徳川家康の命によって建てられた「名古屋城本丸御殿」。1930年には天守閣とともに城郭として国宝第1号に指定されたものの、1945年に太平洋戦争末期の空襲により焼失。しかし、ガラス乾板で撮影されていた約700枚の写真や1000面を超える障壁画が焼失を免れていたことなどから、400年前の空間を忠実に再現。2009年の着工より10年の歳月と総工費150億円をかけ、伝統工法を用いて完全復元し、2018年6月8日(金)よりついに公開されます。
400年前の豪華絢爛な姿を再現! 名古屋城本丸御殿が復活
今回は事前に行われたプレスプレビューよりご紹介いたします。
木曽檜を使った「木造平屋建てこけら葺き書院造り」
名古屋城本丸御殿は玄関や大廊下、表書院、対面所など一部はすでに公開されていますが、今回新たに公開されるのは全体の約3分の1にあたる部分。ここを含めて、約10年かけた本丸御殿の復元工事がほぼ完成に至りました。
建物に使われているのは、主要な部分は木曽檜。江戸時代に尾張藩が所有していた森林が現存しており、築城当時と同じ木曽檜を今回も使っています。まず驚くのが、木材を組み合わせる伝統工法を使った室内は、人工の明かりがなくとも驚くほど明るいこと。当時の建築設計するなかで、自然の明かりを効果的に取り入れていたことを体感できるのも、完全復元の醍醐味ですね。
絢爛豪華な襖絵や欄間など極彩色の世界
今回公開された本丸御殿内部は、これまでに公開された部分を大きく超える絢爛豪華な金箔や色彩を使った意匠と、一方で静謐な水墨画を配した部分など、大きなコントラストも特徴のひとつ。
なかでも上洛殿は、三代将軍家光の上洛に合わせて増築されたとされる部分で、最も格式の高い建物。代々将軍が滞在するために造られた部屋なのですが、その後歴代将軍が訪れることはなかったため、使われることは限られました。
狩野探幽の障壁画を配した上洛殿は、芸術の粋を集めた一室
今回の新規公開部分のメインとなるのが、上洛殿。室内の襖や欄間、天井画のみならず、戸の金具に至るまですべて再現されています。葵の御紋が入った流麗な細工もぜひじっくりと見てほしいポイントです。
江戸幕府誕生以降に増築されたこの部屋の意匠から、ここから長く続く徳川家の隆盛の様に思いを馳せることができます。
入場前にも後にも楽しめる、新しい城下町「金シャチ横丁」
名古屋城の観覧の前でも後でも立ち寄りたいのが、2018年3月29日に門前にオープンした「金シャチ横丁」。正門エリアと東門エリアに2か所あるのですが、Precious,jp読者におすすめしたいのは伝統的な名古屋めしが集まる正門エリアの「義直ゾーン」。
名古屋コーチンやきしめん、味噌などを使った名古屋を代表する飲食の名店やお土産を売る店舗が12店舗並んでいます。「義直ゾーン」の営業時間は朝10時半から名古屋城閉門の30分後まで。東門側の「宗春ゾーン」は22時半までと遅くまで営業しているなど時間が異なるので、ご注意を。
こちらでしかいただけないのが、1634(寛永11)年創業の名古屋を代表する和菓子店「御菓子所 両口屋是清」の新ブランド「那古野茶屋」のスイーツ。イートイン・テイクアウト両方あるのですが、おすすめは焼きたてのお団子にソースをかけていただく「団子ファウンテン」。お団子または五平餅を選び、抹茶やきなこなど4つのソースを選び、からませてつくりたてを販売。観覧帰りにちょっと立ち寄るのもおすすめです。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT :
- 北本祐子