日本全国に温泉宿は数多あれど、情報の海のなかから本当に満足度の高い一軒を見つけ出すのは至難の業。そこで、本連載では、国内外の温泉を巡りその神髄を知り尽くした温泉ジャーナリスト・植竹深雪さんに、自ら足を運び五感で確かめた上質な宿をピックアップしてもらいました。

極上の湯に癒されるのはもちろん、その土地ならではの美食やホスピタリティで心ゆくまでリフレッシュしたい! そんな大人の女性のニーズに応える至福の旅をナビゲートします。今回ご紹介するのは岐阜県・奥飛騨温泉郷 平湯温泉にある「ひらゆの森別邸 湯う香 三蔵庵」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の4000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『おとな「ひとり温泉旅」のススメ』(三笠書房)、『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
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全客室が温泉付き!レトロな浴室で“湯と向き合う”贅沢を味わう

北アルプスの雄大な自然に抱かれ、日本有数の湯量を誇る奥飛騨温泉郷。その玄関口ともいえる平湯温泉に佇むのが、今回ご紹介する「ひらゆの森別邸 湯う香 三蔵庵」です。人気温泉施設「ひらゆの森」が手がける古民家調の宿で、客室はわずか6室のみ。それぞれに木の温もりを感じる源泉かけ流しの温泉風呂が備えられており、好きな時間に好きなだけ名湯を独占できるのが格別です。

外観
外観。
囲炉裏
ロビーの一角にある「囲炉裏の間」では色浴衣を選ぶことができる。

「こちらは温泉好きの大人が心静かにおこもり感を満喫するのに好適な宿。客室の温泉は内湯で、古きよき湯治場のようなレトロな雰囲気も魅力的です。檜造りの浴室に浴槽がぽつんとひとつ。余計な演出がないからこそ、日常を遮断して静かに湯と自分に向き合うことができるのではないかと思います。

泉質は、ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。鉄分の混じった赤茶色の湯の花が舞う湯が、体の芯からしっかりと温めてくれます」(植竹さん)

客室温泉
客室の温泉。

さらに宿泊者は、本館「ひらゆの森」の大浴場も利用可能。1万5000坪の広大な敷地内に男女あわせて16個の露天風呂が点在し、硫黄香る白濁湯など、別邸とは異なる泉質も楽しめます。

「客室のお風呂だけで満足される方も多いようですが、本館ではまた違った湯の個性を味わえるのも面白いところ。近いエリアでも香りや肌触りなども異なるので、湯巡りを楽しむのもよいかと思います」(植竹さん)

ひらゆの森
「ひらゆの森」の露天風呂一例。
ひらゆの森
「ひらゆの森」の内湯。

飛騨牛と山海の幸を部屋食で気兼ねなくゆっくり味わう

素晴らしい湯を堪能した後のもう一つの楽しみは、飛騨ならではの味覚を盛り込んだ会席料理 。部屋食のスタイルをとっており、プライベート空間で周囲に気を遣うことなく、おこもり旅ならではのリラックスした時間を過ごせます 。

夕食一例
夕食一例。

夕食のメインを飾るのは、きめ細やかな肉質と上質な脂の甘みが特徴の「飛騨牛」 。仕入れ状況に応じて稀少部位をいただくこともできるなど、飛騨牛を目当てに訪れた食通の期待を裏切らないおいしさです。また、6月〜7月にかけての初夏の時期には、山菜の天ぷらも登場。サクッと揚げられた衣の中に、山の息吹を感じるみずみずしさと、ほんのりとした心地よい苦味が広がり、この季節ならではのご馳走として旅を彩ってくれます。

夕食一例
夕食一例。

そして、山深い宿でありながら、魚介類が非常に美味しいという意外性も。奥飛騨は岐阜の北端で富山港に比較的近いため、お造りなどで振る舞われる魚介は鮮度抜群です。山の恵みと海の恵みが自然に同居する献立は、この土地ならではの贅沢。温泉と共に味わう旬の美味が、旅の記憶をより豊かなものにしてくれます。

朝食一例
朝食一例。朝から「飛騨牛の朴葉みそ焼き」(写真左奥)をいただける。

以上、「ひらゆの森別邸 湯う香 三蔵庵」をご紹介しました。客室で源泉かけ流しの湯と向き合い、本館で湯巡りも楽しむ。奥飛騨の豊かな自然に抱かれながら、心ゆくまで湯三昧の休日を過ごしたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)