キモ怖い、がクセになるマルチメディアアーティスト、トニー・アウスラーの日本初個展は想像以上のおもしろさ
映像、彫刻、音、光、そして言葉――。あらゆるメディアを組み合わせて不思議な世界を表出させるマルチメディアアートの巨匠、トニー・アウスラー。楽しくて驚きに満ちていてちょっと怖い展覧会を、企画者の椿さんがナビゲートします。
【今月のオススメ】トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~
黒い火山の上空をホウキに乗って飛ぶ「魔女」がモチーフ。顔の部分には映像プロジェクションが投影されていて、表情が細かく変化する仕掛けになっている。魔女は社会統制の網の目をくぐり抜ける独自の力をもった異端者でもある。
暗闇の中に大小さまざまな「眼」の玉が浮かぶインスタレーション作品。鑑賞者は巨大な「眼」の群れに囲まれながら、「眼」からのぞき見られる体験と、鑑賞者自身が「眼」を見る体験の循環を経験する。
囲われたひとつ、もしくは複数のスクリーンで映像を鑑賞するのがいわゆるビデオ作品、彫刻や絵として動かずそこにあるものは彫刻作品であり絵画作品ですが、そういうものに音楽やパフォーマンスなどあらゆる表現を組み合わせたのが、マルチメディアアート。そして、トニー・アウスラーは、テレビやスクリーンといった四角い箱、枠の中から、映像を解放したパイオニアとして世界的に知られています。
具体的には、みなさんご存じのプロジェクションマッピングのように、立体物、しかも平面ではなく、球体とか人形などに映像を投影するということを最初に始めた人です。さらに、デジタルだけでなくもっと生身の、例えば香り、といったものを使ったりして、とにかく“マルチ”なメディアを活用して、没入感のある作品を発表しています。
本展で世界初公開される《空(くう)》。これは、デヴィッド・ボウイの顔が巨大な卵型のオブジェに映し出され、グレン・ブランカの特別な音楽と、アウスラー本人による詩的なテキストを融合させたコラボレーション作品です。また、巨大な「眼」の玉の群れが暗闇に浮かぶインスタレーション《スペキュラー》。
なんだか、これだけ聞くとお化け屋敷みたいですよね?(笑)。実際、アートは本来、科学と同様に、占いや魔術と同根のもの。古来、人間は見えない力を恐れ、憧れてきましたが、テクノロジーが急速に進歩する現代だからこそ、そうした魔術的なものに惹かれるのだと思うのです。アウスラーがつくる “技術” と “霊知” が繋がる世界で、ゾクッとしてみませんか?(談)
<Information>トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~
1957年、アメリカ・N.Y.生まれ・在住。1980年代から数多くの国際的な美術館で個展を開催、作品も収蔵されている。日本初の大規模個展となる今回は、初期作品から主要作品を紹介。本展のために用意された特別な展示もあり。本人が収集しているUFOやUMAに関する膨大な資料の一部も展示される。
会場/虎ノ門ヒルズ TOKYO NODE GALLERY A/B/C
会期/開催中〜2026年9月27日(日)まで (11:00~18:00)
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- EDIT :
- 剣持亜弥

















