連載|キャスター・大江麻理子の「行ってみて、聞いてみて」
連載【キャスター・大江麻理子の「行ってみて、聞いてみて」】では、大江さんが気になる現場を訪れ、お話をうかがい、“現場”でしか分からない温度をお伝えします。
今回は【〈第三回〉水彩画家・ 永山裕子さんに習う】をお届け。二部に分けてお送りします。
絵画とはその人の内面を映す鏡である/文・大江麻理子
永山さんは褒め上手だ。「いいね!面白いね! オッケー!」。ポジティブな言葉を浴び続けてうれしくなった私はなんでもできそうな心持ちになり、永山さんにいただいたアドバイスをすぐ行動に移した。
「やってごらん、と言われたら迷いなくやってみるのね。素直で大胆な性格が出てる」
単純で無鉄砲なのかもしれないが、いい言葉をチョイスして私の性格を絵から読み取ってくださった。
「絵には、その人の性格が表れるものですね」(永山さん)
「絵を描くことは、自分をさらけ出す行為だと気づきました」(大江)
「本棚を見られるのは裸を見られるのと同じくらい恥ずかしい」と言う人がいる。自分の好みや教養など全てがばれてしまうからだ。今回絵を描いてみて、描くことも自分をさらけ出す行為だったのだと気がついた。後日永山さんが送ってくれたメールには、絵から感じ取った私の性格が記されていた。まるで長年一緒にいるかのように、私のことを理解してくださっていてうれしかった。絵を描いて、己を知る。みなさんも試しに描いてみてはいかがだろうか。
今回はもう一枚、塩を使った絵にも挑戦した。絵の具を塗ったところに結晶化した塩をまくと、塩が水分を吸収し、雪の結晶のような不思議な模様ができる。永山さんはこの手法が好きで、様々な塩を試していたら、手元に120種ほども集まったらしい。
「この模様は、自分でつくろうと思ってもできません。全部自分でコントロールするのではなく、その日の気温や湿度、塗った絵の具の水分量。そういうものにお任せして、出来上がる偶然を楽しむんです」
ドイツの高級絵の具メーカー「シュミンケ」には、永山さんのリクエストでつくられた色が2色ある。ご両親の故郷、福島にある五色沼の青沼をイメージした青緑色「ラグーンブルー」と、牡丹や芍薬のような鮮やかなピンク色「ペオニアピンク」だ。
「葉っぱの色を緑色の絵の具単色で描くと、安い造花っぽくなってしまう。私はこの2色と黄色の3色を混ぜて、緑色をつくりながら描きます」。緑だけではない。この3色の配合によって、永山さんは自分の好きな色をなんでもつくり出して描くのだ。
「モチーフ」と「モチベーション」は語源が同じ。心を動かすものを探し、描いていく
【取材後記】
生成AIが絵や動画をつくることをどう思っているのか、永山さんに聞いてみました。「今後、AIが作成した永山裕子風の絵が出回るかもしれませんね。でも全然構わなくて。というのも、私、自分で絵を描くことだけが楽しいんです」。確かに永山さんは、常に絵を描いています。初めて出会ったときもジャズを聴きながら描いていたし、大相撲を観に行くときも、小さなコーヒーカップ形の指輪の中に絵の具を仕込み、観戦の合間に描いているそう。
「どうして絵を始めたんですか、とよく聞かれるけど、じゃあ、あなたはどうして絵をやめたんですか?って返すんです。小さい頃はみんな絵を描いていたはず。私はそこからずっと続けているだけなんです」。AIがあろうがなかろうが、永山さんは絵を描き続ける。AIには奪えないものがそこにはありました。
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- PHOTO :
- 川上輝明
- HAIR MAKE :
- 仲嶋洋輔(ペールマネジメント)
- EDIT :
- 田中美保、濱谷梢子(Precious)

















