世田谷区駒沢。渋谷駅から3駅しか離れていないにも関わらず、駒沢オリンピック公園があって自然が多く、駒沢地区を横断する国道246号から少し外れるだけで閑静な住宅街が広がる。246から少し入ったところにあるのが『BAR 園駒』だ。バーなのにスナック? その疑問は順を追って解消していこう。

内装からロゴまで、ママのセンスが光る店

 大正モダンな雰囲気漂う看板を目印に、扉を開く。カウンター8席、2人掛けテーブルが一つのアットホームな空間ではあるが、白と黒のモノトーンを基調にし、スタイリッシュなムードだ。そして看板同様、大正モダンを感じさせるインテリアがアクセントになっている。

 この内装をはじめ、先ほどの看板のロゴやショップカードを手がけたのは園子ママ自身。もともとはグラフィックデザイナーだったため、世界観を作り出せるのだろう。

園子ママが『BAR 園駒』を開いたのは5年半前。

「お酒と人が好きで、自分がお客として行きたい店を作りたかったんですね。駒沢に10年以上住んでいたので、近辺で物件を探していて出合ったのがここ」
「お酒と人が好きで、自分がお客として行きたい店を作りたかったんですね。駒沢に10年以上住んでいたので、近辺で物件を探していて出合ったのがここ」

 園子ママ曰く、「新しい店ができたり、閉店したり、飲食店の数がほぼ同じ」という駒沢。この地で長く続けるため、商売っ気を出さず、近所の人が軽く寝酒を飲みに来る店を心がけているという。「ちゃんとしたバーだけど、私自身の心はスナック」の気安さのおかげか、常連客の8〜9割が近所の人だ。

 なんといっても園子ママが着物姿なのも、スナックらしさに拍車をかける。

「なんとなく着物の方がお客様は和むかな、って」

 客の気持ちを慮り、身につけるものにも気を配るのは女性ならではだろう。

ママの手引きで初対面同士でも会話が弾む

そんな園子ママを慕う常連客は数多いが、今宵を一緒にすごす長谷川直美さんもその一人。

 一人でもバーや立ち飲みに行く彼女は、この近くをよく通っていたため、ずっと気になっていた店だった。ある夜、やはり一人で初めて訪れて以来、虜になっている。

「あるレセプションパーティに出席した夜におじゃましたんです。そうしたら同じパーティに出席していた人が6人もお店にいて! しかもその人たちも偶然ここで一緒になっただけ。そんな経験は初めてでしたね」

 同じパーティに出席し、同じ業界で働いていることもあって、その夜は会話に花が咲いたそうだ。1度そんな経験をすると、2回、3回は訪れるかもしれない。でも長谷川さんが1年以上も通う引力は、そんな偶然性だけではない。

「園子ママはお客さん同士の接点を見つけて、つなげるのが上手。それでお店全体で会話が盛り上がることも。そういう出会いがあるのが、この店の楽しみですね」

1杯目を待つ間にママお手製のお通しを

 1杯目を注文しようと、メニューに手を伸ばすと、園子ママがこう言う。

「お通しあるんですよ。何にします?」

 バーでありながら、お通しがあり、それがスナックたらしめている。「乾き物だけでは味気ない」という園子ママお手製もあるお通しは日替わりで、そこから好みの1品を選べる。

「ママの料理、おいしいんですよ〜」

という長谷川さんはビシソワーズに。

 それならばこちらは別のものを、とママお薦めのキュウリのぬか漬けをお願いする。

 まずビール、その後は料理に合わせてお酒を変えるのが長谷川さんの飲み方。そんな彼女が、ここで必ずオーダーするお酒は後編で紹介しよう。

【BAR 園駒】

問い合わせ先

  • 住所:東京都世田谷区駒沢2-12-14 1F
  • 営業時間:19:00〜27:00
    定休日:日・祝
    席料:800円(お通し1品付き)
    メニュー:ウィスキー(ダブル)・カクテル1,200円~、輸入ビール1,000円、ボトルワイン5,000円ほか

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この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
PHOTO :
田中麻以