【目次】

【「帆布」とは? 読み方・意味・特徴をわかりやすく解説】

■「読み方」と「意味」」

「帆布」は「はんぷ」と読み、綿や麻などの糸を平織りにしてつくられる、厚手で丈夫な織物のこと。一般には、1平方メートルあたり8オンス(約227g)以上の厚手の平織り生地が帆布とされています。密に織られた生地は強度や耐久性に優れ、古くから船の帆やテントなどに使われてきました。

■帆布の「特徴」は

織り目が密で摩擦に強く、型崩れしにくいことが、帆布の大きな特徴です。そのため、日常的に使うバッグや小物などにも適しています。また、使い込むことで生地が柔らかくなり、色合いや質感に変化が生まれる「経年変化」も魅力のひとつです。

■帆布は綿だけじゃない

現在、一般的に「帆布」と呼ばれるものの多くは綿帆布ですが、かつては麻を原料とした帆布も広く使われていました。用途に応じて、防水や防火などの加工を施したものもあり、産業用資材から日用品まで幅広く利用されています。


【帆布はなぜ「帆布」と呼ばれる? 名前の由来と歴史】

■名前の由来

「帆布」という名前は、文字通り船の帆に使われる布であったことに由来します。帆船の時代、風を受けて航行する船には、強い風や雨に耐えられる丈夫な布が必要でした。そこで、耐久性に優れた厚手の織物が帆の材料として使われ、「帆布」と呼ばれるようになりました。

■帆布の歴史は古代エジプトに遡る

帆布の歴史は古く、古代エジプトでは亜麻を使った布が船の帆として利用されていたとされています。その後、帆布は船の発展とともに改良され、より丈夫で扱いやすい素材へと進化していきました。

■日本では工楽松右衛門が帆布を改良

織田信長が使用した安宅船の帆が、日本における帆布利用の先駆けだったという説もあります。これは綿帆布ではなく、わらや麻を折り込んだものだったようです。

綿花が日本に渡来したのは室町時代です。江戸時代の船頭で発明家でもあった工楽松右衛門(1743〜1812年)は、太い木綿糸を撚り合わせて丈夫な布を織る技術を考案し、天明5(1785)年ごろに「松右衛門帆」と呼ばれる帆布を生み出しました。従来の帆よりも丈夫で、大型船の航海にも適していたため、北前船などの和船に使われ、日本の海運を支える重要な素材となりました。

■近代以降、帆布は暮らしのなかへ

明治時代以降、帆布は船の帆だけでなく、鉄道貨物のシートやテント、道具袋、学生の手提げ鞄など、丈夫さが求められるさまざまな用途に用いられ、産業生活資材として大量に生産されるようになりました。現在では、その耐久性や素材感が評価され、バッグや小物など日常のアイテムにも取り入れられています。


【帆布とキャンバスの違いとは? 同じようで違う素材を比較】

■「帆布」と「キャンバス」は基本的には同じ

「帆布」は英語で[canvas(キャンバス)]と表現され、「麻」に由来する言葉だとされています。油絵のキャンバス生地はその代表格。つまり、「帆布」と「キャンバス」は基本的には同じ種類の生地を指す言葉です。

■日本のアパレルやテキスタイルの業界では使い分けも

アパレルやテキスタイルの業界では、メーカーにより日本製のものを「帆布」、海外製のものを「キャンバス」と呼ぶこともあるようです。その違いは、生地の厚みや重さを表す単位です。「帆布」は 「号数」 で厚みを分類し、 「キャンバス」は 「オンス 」 で厚みを表します。それぞれ厚みや重さの基準が異なることから、別々のものとして扱う場合があるのです。

■「用途」の違い

「帆布」はバッグや靴、 テントなどの耐久性が求められる製品に使われることが多く、「キャンバス」は絵画のキャンバス地をはじめ、スニーカーの素材としても使われます。日本では メーカーや業界によって「帆布」 と 「キャンバス」 を呼び分けるケースがありますが、一般には同じ素材を指すことが多く、 海外ではどちらも同じものとして扱われることが多いようです。


【帆布の魅力とは? メリット・デメリットと長く愛される理由】

■丈夫で長く使える

帆布最大の魅力は、優れた耐久性です。太い撚糸を高密度に織り込んでいるため、摩擦や引っ張りに強く、シートやテントをはじめ、バッグやエプロンなど、毎日使うアイテムにも適しています。

■使うほどに風合いが深まる

天然素材を使った帆布は、使い込むほどに生地がやわらかくなり、色味や質感にも変化が現れます。新品にはない味わいが生まれることから、「育てる素材」として楽しむ人も少なくありません。

■通気性がよく、天然素材ならではの魅力も

綿や麻を原料とした帆布は通気性に優れ、化学繊維にはないナチュラルな風合いがあります。また、厚手でありながら比較的加工しやすく染色性にも優れているため、多彩なカラーや撥水加工を施した製品も展開されています。

■デメリットは「水濡れや重さに注意」

綿帆布は水を吸いやすく、濡れたまま放置するとシミやカビの原因になることがあります。また、化学繊維に比べると重量があり、厚手の号数ほど重く感じられます。そのため現在、テントなどでは、軽くてはっ水性のある化学繊維のポリエステル帆布が採用されています。


【帆布製バッグや小物のお手入れ方法|洗い方や保管のポイント】

■日ごろのお手入れはブラッシングが基本

いくら丈夫な生地とはいえ、帆布製品を長く使うためには日ごろのお手入れも大切です。デイリーなケアとしては、使用後に洋服ブラシなどで表面のホコリや汚れを払い落とすのが基本。軽い汚れであれば、プラスチック消しゴムでやさしくこするだけで落ちる場合もあります。強くこすると生地を傷めたり色落ちしたりする恐れがあるため、力を入れすぎないよう注意して。

■水洗いは製品表示を確認してから

帆布バッグは、水洗いできるものとできないものがあります。特に革や金具を使用した製品、防水・パラフィン加工が施された製品は、水洗いや洗濯機の使用を避けるよう案内しているメーカーも少なくありません。汚れが気になる場合は、まずは薄めた中性洗剤を布に含ませて軽く拭き取って、十分に乾燥させます。洗濯する前には、必ずメーカーの取扱説明を確認しましょう。

■保管は湿気を避けて

保管するときは、できるだけ風通しがよく乾燥した場所がおすすめです。濡れたまま収納するとカビや臭いの原因になるため、水分をしっかり拭き取り、陰干ししてから保管しましょう。バッグの中に丸めた紙を入れておくと、湿気対策と型崩れ防止にも役立ちます。

■修理しながら使うという選択肢

帆布製品は丈夫な反面、長年使ううちに持ち手やショルダーベルト、縫い目などが傷むことがあります。メーカーによっては修理サービスを行っている場合もあり、部品を交換しながら長く使い続けられるのも帆布製品ならではの魅力です。


【帆布について知っておきたい豆知識|号数の意味や経年変化も紹介】

■帆布の「号数」は生地の厚さを表す目安

帆布には「1号」「11号」などの号数があり、生地の厚さを表す目安として使われています。もともとはJIS規格で定められていましたが、1997年に規格は廃止され、現在は業界の慣例として用いられています。

号数は数字が小さいほど厚く、数字が大きいほど薄いのが特徴です。例えば、1号はテントや産業資材などに使われる厚手の生地、11号はバッグやポーチ、エプロンなど比較的軽やかな製品に用いられます。なお、海外では号数ではなく「オンス(oz)」で厚さを表すことが一般的です。

■倉敷は日本を代表する帆布の産地

岡山県倉敷市は、日本有数の帆布の産地として知られています。明治時代以降、綿織物の産地として発展した倉敷では、高品質な帆布づくりが受け継がれ、現在もバッグや雑貨など多くの製品が製造されています。品質の高さから海外でも高い評価を受けているんですよ。

■京都の老舗「一澤帆布」は現在3つのブランドを展開

1905(明治38)年創業の京都の老舗「一澤帆布」は、2000年代に創業者が袂を分かちました。その後、2009(平成21)年に「一澤帆布」の商標が一澤信三郎氏側へ戻り、2011(平成23)年からは「一澤信三郎帆布」が、「信三郎帆布」「信三郎布包(しんざぶろうかばん)」「一澤帆布製」の3ブランドを展開しています。無地の綿帆布を中心としたブランド、柄物や麻帆布を扱うブランド、昔ながらの職人用かばんを手掛けるブランドと、それぞれ異なるコンセプトで展開しています。

■現存する帆布メーカーで最も古いのは?

岡山県倉敷市に本社を置く「タケヤリ」は、1888(明治21)年創業の帆布メーカー。日本遺産「一輪の綿花から始まる倉敷物語」の構成文化財にも選ばれており、現存する帆布メーカーとしては最古級とされています。創業以来、一貫して帆布を織り続けており、その生地はバッグやシューズ、アウトドア用品など幅広い製品に採用され、130年以上にわたり受け継がれてきた技術は、現在も倉敷を代表する帆布文化の礎となっています。

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L.L.Beanをはじめ、さまざまなブランドが手掛けるキャンバストート。大人のカジュアルバッグとして、誰でも1度は手にしたことがあるのでは? 曖昧だったキャンバスと帆布の違いも、この記事を読んでいただければご理解いただけたはず。「知ってるつもり」の知識を正しくアップデートして、「大人の語彙力」を一緒に磨いてまいりましょう!

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料: 『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /日乃本帆布(https://hinomotohanpu.com) /倉敷帆布(https://store.kurashikihampu.co.jp) /Yubi(https://yubisha.co.jp) /倉敷観光WEB「帆布」(https://www.kurashiki-tabi.jp/rm_buy/rm-buy69/) /SACTOWN公式(https://sactown.yubisha.co.jp/special/hanpu/)
/SENDA(https://www.textile-senda.com/insight/collection_canvas/) /一澤信三郎帆布(https://www.ichizawa.co.jp/about/) /TAKEYARI(http://www.takeyari-tex.co.jp) :