【目次】

「立秋」とは? 暦の上で秋が始まる日をわかりやすく解説

「立秋(りっしゅう)」は二十四節気(にじゅうしせっき)のひとつ。日本で採用されている暦について、さくっと解説しましょう。

■「二十四節気」とは?

二十四節気とは、太陽の通り道(黄道)を24等分し、太陽の位置によって一年の季節を表した暦です。現在でも国立天文台が天体計算によって毎年その時刻を定めています。季節を正しく示すために用いる語です。1年を太陽の黄経(こうけい、黄道軌道の経度のこと)によって24等分し、正月節は「立春(りっしゅん)」、正月中は「雨水(うすい)」というように、その分点に節気と中気を交互に配列し、それぞれに季節の名称を与えています。「二十四節」「二十四気」「節気」と表すことも。

■「立秋」とは?

太陽の黄経が「春分」を起点として東回りに135度に達する日を言い、現在の暦(グレゴリオ暦)では8月7日ごろから8日ごろにあたります。暦の上で秋の始まる日で、立秋以降の暑さを「残暑」と呼びます。


【立秋はいつ? 2026年の日付と毎年変わる理由】

■2026年の立秋は?

正確には、2026年8月7日20時43分に、太陽の黄経が135度に達して「立秋」を迎えます。二十四節気は、黄道上における太陽の見かけの位置を天体計算で求め、その位置が所定の角度に達する瞬間によって決まるため、分単位の時刻まで示されます。

■なぜ日付は固定されない?

現在私たちが使っている暦(グレゴリオ暦)は1年を365日として計算していますが、地球が太陽の周りを一周する(公転する)のにかかる実際の時間は、約365日5時間48分45秒です。つまり、毎年6時間弱ずつ、実際の太陽の位置とカレンダーの日付にズレが生じているのです。そのため、二十四節気の瞬間を迎える時刻は、毎年6時間弱ずつ遅れていくというわけ。

2025年は8月7日の14時52分、2026年は8月7日20時43分、2027年は8月8日の2時27分となります。

■調整役の「閏年」

毎年約6時間弱ずつ遅れていくと、4年で約24時間(=1日)のズレが生じます。このズレを調整するために設けられているのが「閏年(うるうどし)」。4年に一度、1日(24時間)足すことでズレを補正するため、二十四節気の日付は「毎年少しずつ遅くなり、4年ごとの閏年に一気に戻る」という周期を繰り返します。


【立秋を迎えても暑いのはなぜ? 二十四節気と気候の関係】

現代ではまだ暑さ真っ盛りの「立秋」ですが、暦の上では秋。実際の気候とのズレは、なぜ起こるのでしょう。

■地球が温まるまでに1〜2か月のタイムラグがある

北半球では夏至のころに太陽高度が高くなり、昼の時間も一年で最も長くなります。しかし、気温は、太陽光で地球の陸地や海などが熱せられることで温まる空気の蓄積によって、ピークを迎えるのは1〜2か月後。簡単に言うと、地球が温まってもそれが気温に反映されるまでは時間がかかるということ。地表が受ける日射量が多くなるのは夏至のころでも、蓄積された熱によって地上の気温がピークを迎えるのは「立秋」のころ、というわけです。

■「立秋」は"涼しくなる日"ではない

立秋は暦の上で秋が始まる節目ですが、その日から気温が下がったり、急に涼しくなったりすることを意味するものではありません。実際の日本では、立秋のころも厳しい暑さが続くのが一般的です。立秋は、暑さのなかにも空や風、日の長さなどから、少しずつ秋の気配を探し始める時期と捉えるとよいでしょう。

■二十四節気が生まれた地域との気候の違い

二十四節気は古代中国で成立した暦で、日本にも取り入れられました。ただし、成立した地域と、海に囲まれた日本とでは気候の特徴が異なるため、二十四節気が表す季節感と日本の実際の気候が必ずしも一致するとは限りません。

特に日本では、海や地面に蓄えられた熱の影響に加え、立秋のころも太平洋高気圧に覆われやすいため、厳しい暑さが続きます。そのため、「暦の上では秋」とされる立秋を迎えても、実際には夏の盛りと感じられるのです。


【「立秋の候」とは? 手紙やビジネスメールでの使い方】

■「立秋の候」は時候の挨拶

ビジネスメールや手紙で使われる「立秋の候(りっしゅうのこう)」は、暦の上で秋を迎えたことを知らせる時候の挨拶です。まだまだ猛暑(酷暑かも!)の時期だからこそ、文面にこのような配慮の行き届いたワードを入れることで、相手にいい印象を与えることができます。

■いつからいつまで使える?

「立秋」から、次の節気の「処暑(しょしょ)」の前日まで。2026年でいえば、8月7日から8月22日までです。

■節気の変わり目の手紙には?

書いているときは「立秋」でも、相手が読むころには「処暑」に…なんていう変わり目の微妙な時期はどうする? 時候の挨拶は相手を気遣うものですから、先方が目にするころを想定して使用すべき。読んだときに「もう立秋の時期は過ぎているのに…」というのはNGなのです。昨今の郵便事情なども考慮して、時候の挨拶を使うのが大人の振る舞い。時期が微妙で迷ったときは、節気を使わない表現を用いるのがスマートです。

■「立秋の候」に代わる表現

残暑の候立秋以降、厳しい暑さが残る時期に使える表現。

新涼の候少し涼しさを感じ始める8月下旬に使える表現。

■立秋のころに使える挨拶文例

・立秋の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

・朝夕はわずかに涼しさを感じるものの、日中は厳しい暑さが続いております。 ○○様におかれましては、お変わりなくお過ごしでしょうか。

・新涼の候、貴社におかれましては一層のご発展のこととお慶び申し上げます。 日頃はひとかたならぬご愛顧を賜り、心より感謝申し上げます。

・初秋の涼風がわずかに感じられる季節となりました。 ○○様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。


【残暑見舞いはいつから? 立秋との関係と送る時期】

■残暑見舞いを送る時期

残暑見舞いは、立秋を迎えてから8月末ごろまでに相手へ届くように送るのが一般的です。日本郵便では、遅くとも9月7日ごろまでに届くよう案内しています。

2026年の立秋は8月7日なので、8月6日までに届くものは「暑中見舞い」、8月7日以降に届くものは「残暑見舞い」とするのが基本です。立秋を過ぎたら、実際には猛暑が続いていても、「暑中」から「残暑」へと表現を切り替えます。

■立秋と残暑見舞いの関係

節気と実際の気候にはズレがあるものの、暦の上では「立秋」を迎えたら秋。立秋の前日までは「暑中見舞い」(暑さがピークに向かう時期、と考えます)、立秋の日からは「残暑見舞い」(秋になっても暑さが残る、という意味で)を使います。

たとえ酷暑日が続いていても、立秋の日を迎えたら挨拶の文面は「暑中」から「残暑」へ切り替えるのが日本の伝統です。


【立秋に知っておきたい豆知識|七十二候や季節の風物詩も紹介】

■閏年での調整はなぜ2月29日?

4年に一度の閏年に、ほかの年にはない「2月29日」が挿入されて日数のズレを調整するわけですが、「なぜ2月29日?」と疑問に思ったことはありませんか? これは、かつて古代ローマで使われていたローマ暦で2月が一年の終わりの月(年末)だったことに由来します。日数調整なら一年の最後の日で行うのがわかりやすいですよね。ローマ暦での一年の最後の日が2月28日だったため、ここに1日挿入して2月29日が誕生したというわけ。

■立秋の七十二候

七十二候とは、二十四節気の各節気をさらに「初候」「次候」「末候」の3つに分け、約5日ごとの自然の変化を表したものです。立秋の七十二候は下記の通り。

・立秋初候「涼風至(すずかぜいたる)」:残暑が厳しいなかでも涼しい風が吹き始める時期。

・立秋次候「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」:ヒグラシが鳴き始めるころ。寒蝉(かんぜみ)とは、ヒグラシや秋に鳴くセミを指します。

・立秋末候「蒙霧升降(ふかききりまとう)」:濃い霧がまとわりつくように立ち込める時候。難読漢字ですね!

■立秋の風物詩

学生は夏休み真っ最中、お盆の時期でもあるので休暇という社会人も多いのが立秋の時期。各地でさまざまな風物詩や儀式が見られる時期でもあります。

・灯籠流し(とうろうながし):お盆の送り火の夜、火を灯した灯籠を水辺に浮かべて流す行事です。一般的には河川に流しますが、海や湖に流すことも。水に揺らめく灯籠の火影(ほかげ)とともに、先祖の霊はあの世へ帰っていくとされます。終戦記念日の8月15日の夜に行なう場合も。「精霊流し(しょうろうながし)」や「流灯(りゅうとう)」などとも呼ばれます。

・五山の送り火(ござんのおくりび):毎年8月16日の夜に京都で行われる、お盆の伝統行事です。東山如意ヶ嶽の「大文字」に始まり、松ケ崎の「妙・法」、西賀茂の「船形」、大北山の「左大文字」、嵯峨鳥居本の「鳥居形」が、時間をずらして順に点火されます。お盆に迎えた精霊を送る行事であり、京都の夏を代表する風物詩として知られています。

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気候変動が激しい昨今だからこそ、暦による風習や、その季節の風物詩、伝統行事などに注目したいもの。立秋を迎えてもなお暑い日が続きそうですが、十分ご自愛を…!

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『和の暦手帖 二十四節気と七十二候を愉しむ』(だいわ文庫)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社) :