【 今、私たちが知りたい「家の灯り」のこと】

光と影に安らぐ。オブジェとしての美しさを楽しむ。照明は、空間の印象を左右する重要なアイテム。季節の変わり目に部屋の “模様替え” をしてみませんか?

日々の暮らしを美しく彩るだけではなく、部屋の印象を大きく変えてくれる── 照明にはそんな力があります。関心が高まる今、プレシャス世代の家時間を心地よく照らし、洗練された雰囲気をつくる「灯り」に出合うためのヒントを探しました。基礎知識から、東京とパリの実例、モダンでエレガントな照明器具まで存分にお届けします。

心地いい照明のある暮らし[TOKYO]料理家・インテリアデザイナー 行正り香さん 

家_1,家
「ゆったりと過ごす時間も大好きな照明、アーティチョークランプの光と共に…」“近代照明の父” と称される照明デザイナー、ポール・ヘニングセンの『PH アーティチョーク』のペンダントライト、『PH 3 1⁄2- 2 1 ⁄2 フロア』のアクセントライト、キャンドルライトに包まれる行正さん。座る椅子は、ハンス・J・ウェグナーデザインの『ミニベア チェア』。「5種類の光はハードルが高いという方は、まずペンダント、アクセント、キャンドルの3つの光から重ねて」
行正り香さん
料理家・インテリアデザイナー
(ゆきまさ・りか)広告代理店で活躍後、料理家として人気を集め、40冊を超える料理本やインテリア本を出版。またデンマーク親善大使に選ばれる(2017年)など北欧のインテリアにも造詣が深く、インテリアコーディネーターとして多くの家づくりに携わる。23年、東京国立博物館のアンバサダーに就任し、館内レストランのインテリアを監修している。

「役割の違う光を重ねる『多灯照明』が、家の空間に奥行きと陰影を与えてくれます」

家_2,家
実体験から生まれたのが、5タイプの光を重ねる「PACDR(パクダー)」照明術。行正さんは実体験から生まれた心地いい照明のテクニックを、P(ペンダントライト)、A(アクセントライト)、C(キャンドルライト)、D(ダウンライト)、R(リフレクションライト)と5種類の光の頭文字をとって「PACDR」照明術と命名。「多灯照明」を始める人の道標にしてほしいと言う。

“ヒュッゲ” と呼ばれる、北欧流の心地よい空間や時間の魅力を伝えてきた行正り香さん。近著『照明と家具からはじめる 北欧インテリア』では、北欧の照明にも注目しています。 

行正さんが家族と暮らすマンションのリビングは、温かく深みのある “北欧流の照明術” が体現された場所。「ひとつの天井照明に頼るのではなく、“多灯” にして光を重ねることが最大のポイントです」

家_3,家
ライブラリーには、ローズ色の『PH アーティチョーク』が。この部屋では、キャンドルを灯すことも。

北欧の照明に魅せられた始まりは、約30年前、デンマークのホテルで出合い、「恋をした」という名作照明『PH アーティチョーク』。「華やかなムードがありながら、どこか松ぼっくりを思わせる愛らしさもある。これは日本の家屋にも映えると思いました」

家_4,家
トイレには、あえて低めに吊るした『PH 2/1』ランプを。「生活感の出やすい場所こそ、暗めの光がおすすめ」。

夕刻になると、このアートピースのような存在感の「ペンダントライト」に加え、フロアやピアノの上に置かれた「アクセントライト」を、夜になると天井から光を放つ「ダウンライト」をつけていく。大きな窓に光が反射する「リフレクションライト」を楽しみながら、温かな雰囲気をもたらす「キャンドルライト」を灯し、くつろぎの時間を演出。「5種類の光を組み合わせることで、部屋の中に光と影が生まれ、空間に奥行きが出てきます」

家_5,家
行正家のオープンキッチンは、食事をつくると共に、家族や友人が集う場所でもある。『PH アーティチョーク』のペンダントライト、『PH 2/1』のテーブルライト、調光できるダウンライトを重ねて優しい雰囲気に。

家具や絵画と同じかそれ以上に、灯りが、優雅な空間とくつろぎ時間をつくることを実感できます。「私にとって照明は、宝石と同じ。ジュエリーは自分だけのものだけど、照明は、家族や共に過ごす人をも輝かせる。豊かな時間を紡いでくれるものだと思うのです」

関連記事

PHOTO :
富野かりん
STYLIST :
中林友紀
EDIT&WRITING :
川村有布子、佐藤友貴絵(Precious)
TAGS: