100年にひとりの才能。ヴァイオリニスト・HIMARIをエイジレスな視点で語り尽くす

幼少期から才能を発揮し、今や国内外のクラシック界を席巻しているヴァイオリニスト、HIMARIさん。この秋には名門レーベルから全世界デビュー・アルバムの発売、12月にはリサイタル・ツアーも控えています。「神童」というキャッチーな言葉だけでは語れない、ひとりのプロフェッショナルとしての彼女に迫ります。

音楽ジャーナリストの原 典子さんに、HIMARIさんの魅力について解説いただきました。

原 典子さん
音楽ジャーナリスト
クラシックとその周辺を中心に編集や執筆、コンサートの企画運営などを行う。坂本龍一監修の音楽全集『commmons:schola』の編集を’18年まで担当。’21年に音楽webメディア『FREUDE』を立ち上げた。

【今月のオススメ】HIMARIさん:豊かな歌心と高度な技巧で名門からのオファーも殺到!

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(C)Naruyasu Nabeshima

2011年、東京都生まれ。3歳よりヴァイオリンを始め、6歳でプロオーケストラと共演。’25年3月、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期公演にアジア人最年少ソリストとしてデビュー。使用楽器は、クリスコより貸与された1732年製グァルネリ・デル・ジェス「フェルニ」。


クラシック音楽の長い歴史には、「神童」と呼ばれる非凡な才能がたびたび登場してきた。2025年3月、13歳という若さにして世界最高峰のベルリン・フィルとの共演を果たしたヴァイオリニスト、HIMARIもそのひとり。出場した国内外すべてのコンクールで1位を獲得し、現在はフィラデルフィアの名門カーティス音楽院に在籍して研鑽を積んでいる。

一音一音を深く刻み込むように歌うHIMARIのヴァイオリンを聴いていると、神童とは決して天賦の才に恵まれた者を指すだけではないことに気づかされる。超絶技巧を要する難曲を少しの綻びも見せずに弾きこなすテクニックは、学校の勉強でいうところの「先取り学習」の賜物といえるだろう。より早い段階で技術をマスターできたからこそ、より多くの時間を、表現を深めるために使うことができる。

さらに、大舞台に向けたプレッシャーのなかで、自分を信じ、ひたむきに努力を積み重ねる姿勢。それらが彼女の精神的な成熟を育み、「あの年齢とは思えない演奏」を生み出すのだ。神童とは、年齢ではなく、音楽と向き合った圧倒的な時間の密度を物語る言葉なのかもしれない。

今、私たちが心揺さぶられているのは「15歳のヴァイオリニスト」ではなく、ひとりの音楽家として作品と向き合い、みずからの言葉で語りかける彼女の歌である。だからこそ私たちは、年齢ではなくエイジレスな視点でHIMARIの音楽に耳を傾け、今後のさらなる成長を楽しみに見守っていきたい。(文・原 典子)

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アルバム『Debut』 ¥3,300(通常盤)

’25年3月、世界最高峰のオーケストラ「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」で13歳にしてデビュー。その定期公演で演奏されたライブ音源を中心に収録したアルバム『Debut』が9月25日に発売。

EDIT :
宮田典子
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