1995年に公開されたSF映画『JM』で、白シャツを泥まみれにしたキアヌ・リーブス演じる主人公が、こう呟くシーンがある。「東京の帝国ホテルのランドリーにシャツを洗いに出したいよ」

そう、このホテルが誇るランドリー技術の高さは、日本よりむしろ海外の紳士たちの間で知られてきた。現在、帝国ホテル東京のランドリー部門で支配人を務める中田一志さんは、その人気の秘密をこう分析する。

セレブも納得する驚きのクリーニング哲学とは?

帝国ホテルのランドリーサービスが誇る洗濯技術の粋

アイロンがけの様子

「帝国ホテル東京はランドリーを外注せずに館内地下にある自社工場で行っている、世界でも数少ないホテルです。1日平均600点くらいの衣類をお預けいただきますが、お客様からすればたった1点の大事な衣服。そんな気持ちで取り組んでおります。ご宿泊された方へのサービスですから海外のお客様が多いのですが、最近は日本のお客様も増えています。ほかのクリーニング店では汚れが落ちず、最後の頼みの綱として帝国ホテルに宿泊し、大切な洋服を持ってこられたお客様もいらっしゃいました」

ランドリー室に毎日届けられる衣類は、高級品から民族衣装まで実に多彩である。しかしその中でも白シャツは特別な洋服なのだという。

「いわゆるワイシャツは1日100点ほど扱いますが、白いものは白く仕上げる、というのが私たち帝国ホテルの基準です。基本は水洗いで、色移りしないように色ごとに分けて洗っています。水溶性や皮脂の汚れは、通常の水洗いのほうがよく落ちるものですから。もちろん数年経った古いシミともなれば取りにくくなりますが、比較的新しいシミはほぼすべて取れますね」

現在ランドリーの料金は、スーツが1点3,800円、シャツの手仕上げが1,200円。決して安いとはいえないかもしれないが、いわゆる街の高級クリーニング店の場合、シミ抜き1点につきいくらというように、追加料金を必要とするケースも多い。その点帝国ホテルの場合あくまでサービスであるから、どんなにシミだらけのシャツでも、追加料金は一切発生しない。これが日本ではじめてランドリーサービスをはじめたホテルとしての、矜持なのである。(2017年6月時点)

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious217年夏号「白シャツ」の潔癖はこうして守れ!より
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クレジット :
撮影/篠原宏明 レイアウト/武藤一将デザイン室 構成/山下英介(本誌)
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