ランドリーに出されたシャツは、まずは丹念に検品される。襟の皮脂汚れはもちろん、食べこぼしなどのシミは、洗濯前にできるだけ落としておくのが大切なのだという。
帝国ホテルのクリーニングはこうして行われる
1.検品
「皮脂や油汚れ、血液などの汚れは、液体洗剤を歯ブラシにつけて叩いて落とすのがよいでしょう。油脂分が強いものは、油汚れに強い食器用の洗剤を使うのもひとつの方法かもしれません。基本的にはどんな汚れも、つけてすぐなら落とせます」と、ランドリーのスタッフである石井英邦さんは、自信をもって断言する。
2.汚れ落とし
3.洗う
4.乾燥
5.アイロン
6.シミ抜き
7.細部をチェック
8.たたんで完成
丁寧に前処理を施されたシャツは洗濯機にかけられるのだが、ここがポイント。普通のクリーニング店では洗っているときに洗濯糊が投入されるのだが、帝国ホテルの場合ここでは一部糊づけをしないのだ。
「ビジネスマンのユニフォームであるドレスシャツは動きやすさも大切ですから、私たちは基本的に身頃やそでに糊はつけません。洗濯後に襟とカフスだけに糊をつけて、パリッとさせるのです」
実は欧米のクリーニング店では、日本とは違いシャツ全体に糊づけをすることは少ない。これは海外のゲストが多い帝国ホテルならではの、グローバルスタンダードなのである。
洗い終わった白シャツはアイロンによって仕上げられるが、ここにはふたつの分かれ道が。機械仕上げの場合、業務用のプレスマシンによって数十秒で乾燥からアイロン、たたみの工程まで行われるのだが、手仕上げ指定のものは職人が一点一点アイロンをかけ、たたんで仕上げるのだ。「手仕上げは着心地がまったく違うとご好評いただいています」と石井さん。
その料金は、機械仕上げが1000円、手仕上げが1200円。たった200円の違いだが、その表情は別次元。帝国ホテルでランドリーサービスを利用する際は、迷わず手仕上げを選んでいただきたい。
最後に「洋服についている繊維や洗濯表示はとても大切ですが、決して100%正しいとは限りません。だから私たちは自らの経験に従って、最適なやり方で洗濯しています」と語ってくれた石井さん。その言葉からは、127年の歴史に培われた清々しきプライドが感じられた。
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- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious217年夏号「白シャツ」の潔癖はこうして守れ!より
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- クレジット :
- 撮影/篠原宏明 レイアウト/武藤一将デザイン室 構成/山下英介(本誌)