ランドリーに出されたシャツは、まずは丹念に検品される。襟の皮脂汚れはもちろん、食べこぼしなどのシミは、洗濯前にできるだけ落としておくのが大切なのだという。

帝国ホテルのクリーニングはこうして行われる

1.検品

どのように衣類を洗濯するかを決めるために、まずはシャツの状態をくまなくチェックする。シミやダメージはもちろんボタンが割れたり脱落しているものがないか、この段階で確認しておかなくてはならない。「目視できるような汚れは、洗濯機に入れる前に洗っておくのが大切です」(石井さん)。
どのように衣類を洗濯するかを決めるために、まずはシャツの状態をくまなくチェックする。シミやダメージはもちろんボタンが割れたり脱落しているものがないか、この段階で確認しておかなくてはならない。「目視できるような汚れは、洗濯機に入れる前に洗っておくのが大切です」(石井さん)。

「皮脂や油汚れ、血液などの汚れは、液体洗剤を歯ブラシにつけて叩いて落とすのがよいでしょう。油脂分が強いものは、油汚れに強い食器用の洗剤を使うのもひとつの方法かもしれません。基本的にはどんな汚れも、つけてすぐなら落とせます」と、ランドリーのスタッフである石井英邦さんは、自信をもって断言する。

2.汚れ落とし

襟の皮脂汚れやシミなどは、事前に落としておくのがベスト。帝国ホテルでは竹製のブラシと洗剤で襟裏を撫でるように落としていく。「汚れは蓄積するものなので、汚れたらできるだけ早く洗いましょう。襟の汚れは液体洗剤を薄めたものを歯ブラシに取って、トントンと叩いておくだけでもまったく違います」(石井さん)。
襟の皮脂汚れやシミなどは、事前に落としておくのがベスト。帝国ホテルでは竹製のブラシと洗剤で襟裏を撫でるように落としていく。「汚れは蓄積するものなので、汚れたらできるだけ早く洗いましょう。襟の汚れは液体洗剤を薄めたものを歯ブラシに取って、トントンと叩いておくだけでもまったく違います」(石井さん)。

3.洗う

事前に襟汚れを落とした白シャツを、洗濯機に投入。もちろん色ものとは一緒にしない。「昔は粉末洗剤は溶けにくいなどのデメリットがありましたが、今の市販の洗剤はどれも性能がよいです。ただ注意したいのは、入れすぎないこと。白ものならぬるま湯がベストですが、お風呂の残り湯などは避けましょう」(石井さん)。
事前に襟汚れを落とした白シャツを、洗濯機に投入。もちろん色ものとは一緒にしない。「昔は粉末洗剤は溶けにくいなどのデメリットがありましたが、今の市販の洗剤はどれも性能がよいです。ただ注意したいのは、入れすぎないこと。白ものならぬるま湯がベストですが、お風呂の残り湯などは避けましょう」(石井さん)。

 

4.乾燥

洗ったシャツは脱水後、人体を模した高温のプレスマシーンに30秒ほどかけ、乾燥とアイロンかけを同時に行う。機械仕上げの場合はこれで完成だ。ダメージや縮みの恐れがあるため、ドラム式の乾燥機にかけるのはNG。「自宅で乾燥する場合、風通しのよい場所での陰干しがおすすめです。天日で干すと、日光によって黄変する可能性もあるので注意しましょう」(石井さん)。
洗ったシャツは脱水後、人体を模した高温のプレスマシーンに30秒ほどかけ、乾燥とアイロンかけを同時に行う。機械仕上げの場合はこれで完成だ。ダメージや縮みの恐れがあるため、ドラム式の乾燥機にかけるのはNG。「自宅で乾燥する場合、風通しのよい場所での陰干しがおすすめです。天日で干すと、日光によって黄変する可能性もあるので注意しましょう」(石井さん)。

5.アイロン

手仕上げのシャツの場合、約5㎏という非常に重い電気アイロンを使い、一点一点プレスしていく。所要時間は1枚につき約5分。かけるときは無理に力を入れず、滑らせるようにするのが大事なのだという。「ご家庭でアイロンをかけるときは順番が大切です。大きい面を先にかけると、ほかの場所をかけるときにまたシワになってしまいますから。襟、カフス、そで、身頃の順番でかけるとうまくいきます」(石井さん)。
手仕上げのシャツの場合、約5㎏という非常に重い電気アイロンを使い、一点一点プレスしていく。所要時間は1枚につき約5分。かけるときは無理に力を入れず、滑らせるようにするのが大事なのだという。「ご家庭でアイロンをかけるときは順番が大切です。大きい面を先にかけると、ほかの場所をかけるときにまたシワになってしまいますから。襟、カフス、そで、身頃の順番でかけるとうまくいきます」(石井さん)。

6.シミ抜き

アイロンをかけた後の検品で発見したシミは、漂白剤やシミの性質に合わせて特別に調合した洗剤を塗布し、ジェット水流ですすぎ、ドライヤーで乾燥……という流れを何回でも繰り返すことで、少しずつ落としていく。「シャツにシミがつくと、焦っておしぼりなどでこすってしまいがちですが、絶対にNGです。シミは取れても傷は絶対に取れませんから。また、塩素系の漂白剤も生地を傷めるので注意してください」(石井さん)。
アイロンをかけた後の検品で発見したシミは、漂白剤やシミの性質に合わせて特別に調合した洗剤を塗布し、ジェット水流ですすぎ、ドライヤーで乾燥……という流れを何回でも繰り返すことで、少しずつ落としていく。「シャツにシミがつくと、焦っておしぼりなどでこすってしまいがちですが、絶対にNGです。シミは取れても傷は絶対に取れませんから。また、塩素系の漂白剤も生地を傷めるので注意してください」(石井さん)。

7.細部をチェック

アイロンをかけ終わったシャツは、ふたたび検品にまわしてボタンの脱落などがないかチェックする。万が一脱落したときのために、帝国ホテルでは約200種類のスペアボタンを用意しているという。「高価な蝶貝などデリケートなボタンは、アルミ箔のようなものでくるんで保護したり、洗う前に取り外してしまうこともあります」
アイロンをかけ終わったシャツは、ふたたび検品にまわしてボタンの脱落などがないかチェックする。万が一脱落したときのために、帝国ホテルでは約200種類のスペアボタンを用意しているという。「高価な蝶貝などデリケートなボタンは、アルミ箔のようなものでくるんで保護したり、洗う前に取り外してしまうこともあります」

8.たたんで完成

機械仕上げのシャツとは違い、手仕上げのシャツの場合、たたむのも手仕事だ。裏返して両そでを垂直に折り込んだあと、ネックの幅に合わせて身頃を折り、すそを2回たたんで完成。不織布の袋に入れて、客室へと届けられる。「お客様のお好みに合わせて、たたみ仕上げとハンガー仕上げを選んでいただけます。プレス線の入れ方などもお好みに合わせられます」(石井さん)。
機械仕上げのシャツとは違い、手仕上げのシャツの場合、たたむのも手仕事だ。裏返して両そでを垂直に折り込んだあと、ネックの幅に合わせて身頃を折り、すそを2回たたんで完成。不織布の袋に入れて、客室へと届けられる。「お客様のお好みに合わせて、たたみ仕上げとハンガー仕上げを選んでいただけます。プレス線の入れ方などもお好みに合わせられます」(石井さん)。

丁寧に前処理を施されたシャツは洗濯機にかけられるのだが、ここがポイント。普通のクリーニング店では洗っているときに洗濯糊が投入されるのだが、帝国ホテルの場合ここでは一部糊づけをしないのだ。

「ビジネスマンのユニフォームであるドレスシャツは動きやすさも大切ですから、私たちは基本的に身頃やそでに糊はつけません。洗濯後に襟とカフスだけに糊をつけて、パリッとさせるのです」

実は欧米のクリーニング店では、日本とは違いシャツ全体に糊づけをすることは少ない。これは海外のゲストが多い帝国ホテルならではの、グローバルスタンダードなのである。

洗い終わった白シャツはアイロンによって仕上げられるが、ここにはふたつの分かれ道が。機械仕上げの場合、業務用のプレスマシンによって数十秒で乾燥からアイロン、たたみの工程まで行われるのだが、手仕上げ指定のものは職人が一点一点アイロンをかけ、たたんで仕上げるのだ。「手仕上げは着心地がまったく違うとご好評いただいています」と石井さん。

その料金は、機械仕上げが1000円、手仕上げが1200円。たった200円の違いだが、その表情は別次元。帝国ホテルでランドリーサービスを利用する際は、迷わず手仕上げを選んでいただきたい。

最後に「洋服についている繊維や洗濯表示はとても大切ですが、決して100%正しいとは限りません。だから私たちは自らの経験に従って、最適なやり方で洗濯しています」と語ってくれた石井さん。その言葉からは、127年の歴史に培われた清々しきプライドが感じられた。

※2017年夏号掲載時の情報です。

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この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious217年夏号「白シャツ」の潔癖はこうして守れ!より
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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クレジット :
撮影/篠原宏明 レイアウト/武藤一将デザイン室 構成/山下英介(本誌)
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