行楽シーズン真っ最中の今、車に乗って外出する機会が増えますが、乗るのは自家用車だけではないはず。帰省や旅行中は、お友達などが運転する車に乗せてもらうこともありますよね。そんなとき、ドライバーに対して適切なふるまいができている自信はありますか?
ドライバーを無視してスマホに夢中になったり、居眠りしたりするのが失礼に当たることはよく知られていますが、それ以外にも車内のマナーはまだまだあります。それをわきまえずに我が物顔でふるまっていては、「二度と乗せたくない!」と反感をかうことになりかねません。
そこで今回はマナー講師の尾形圭子さんから、「ドライブ時の同乗者のNGマナー」についてお話をうかがいました。
人の車に乗るときにやりがちだけれど「NGなマナー」7選
■1:車内を汚しそうな飲食物を持ち込む
長距離ドライブの場合、ドライバーも同乗者も、車内で軽食やお菓子をつまんだり、飲み物を摂ったりする機会もあるでしょう。ただ、ある種の飲食物の持ち込みは控えたほうがよさそうです。
「まずはニオイのきついもの。そして、車内を汚すおそれのある飲食物は厳禁です。たとえば、ポテトチップスや殻つきのピーナツなどは、断片や殻がちらばりやすいので、車を大切にしている人から特に嫌がられます。
それから、アイスクリームやソフトクリームなど、水分を多く含むものも危ないですね。何かの拍子にドライバーが急ブレーキをかけた際など、勢い余ってクリームで車内を汚すおそれが……。
あとは、当たり前のことですが、ドライバーが苦手とする飲食物もNG。もしも、まだあまり親しくない相手で、食べ物の好き嫌いがわからない場合は、事前に確認しておいたほうがいいでしょう」(尾形さん)
ドライバーの立場になれば、運転中の車内で、好き勝手に飲み食いされてはたまったものではありませんよね。
飲食物を持ち込む場合は、ドライバーにとって不快にならないチョイスをこころがけましょう。また、無断で飲食するのではなく、必ず「これ開けていい?」など、事前に許可をとることもお忘れなく!
■2:ドアを乱暴に開け閉めする
自動車のドアの開け閉めは、力任せに行わないように注意しましょう。まず、ドアを開けるときには、周囲の状況をよく確認して。状況確認を怠ったまま、ドアを勢いよく開けて、うっかり何かにぶつけてしまった……なんてことになれば目もあてられません。
そして、ドアを閉める際には、いわゆる“半ドア”にならないようにと、「バン!」と大きな音が出るほど勢いをつける人もよくいますが、これまたマナー違反。勢いをつけるのではなく、ドアを閉める前に一旦手を止め、丁寧に押し込むようにしましょう。
■3:「疲れた」「お腹すいた」などネガティブな発言をする
長距離ドライブ中、渋滞に巻き込まれたり、目的地に予定通りにつかなかったりした場合など、どうしても疲労感や空腹感を覚えてしまいますよね。
そんなとき、駄々っ子のように「疲れた」「お腹すいた」などと発言するのはもってのほか。気を張ってハンドルを握っているドライバーに対して、あまりにも思いやりに欠ける行為です。
「乗せていただいている側は、基本的に自分の感情をむき出しにするのはおすすめしません。自分の感情よりも、ドライバーへの気遣いが優先です。
たとえば、自分が疲れたりお腹がすいたりしたのであれば、『ねえ、もう1時間も運転して疲れているんじゃない?』とまずは運転手を労いましょう。
また、尿意を催した場合も、ただ『トイレ行きたい!』ではなく、『そろそろ休憩したいんだけど、いいかな?』とお願いする形にすると角が立ちません」(尾形さん)
親しき仲にも礼儀あり。自分の思ったことを何でも口に出しやすい人は、とりわけ車内での発言にはくれぐれも配慮しましょう。
■4:まわりのドライバーの運転にダメ出しをする
「ちょっとスピード出し過ぎじゃないの?」「何でそこで車線変更しないの?」など、自分のために運転してくれているドライバーへのダメ出し発言はもってのほかですが、「何あの青い車の運転、ありえないわね」などと、周囲を走る車の運転を過度にけなすのも考えもの。
「言葉汚く罵っては、運転手のイライラを煽ってしまい、車内のムードもどんどん険悪になります。運転手のほうから『ちょっとあの車、ひどい!』などネガティブな発言があった場合も、『びっくりした』『すごいよね』と、軽く同意する程度にとどめるのが無難です。
同乗者は、ドライバーが気持ちよく、安定した気分で運転できるように、なるべく穏やかに過ごすのを旨としましょう」(尾形さん)
周りの運転が荒くて、ドライバーが苛立っているときなどには、一緒になって悪口を言って感情に火をくべるのではなく、受け止めながらも気持ちを鎮める方向に持っていきましょう。
■5:頭を使う必要のある話題を振る
同乗者はドライバーが気持ちよく運転できる環境をつくることが大切ですが、そういう意味では、車内でどのような話題を取り上げるのかも、ちょっとした心配りが求められます。
「ドライバーはなるべく運転に集中したいもの。ですから、会話に頭を使うような話題は避けたほうがいいでしょう。たとえば、『実は、今朝、主人と喧嘩して出てきちゃったのだけれど……』と深刻な話題を振ったり、『こんなこと言われたんだけど、どう思う?』などと、悩み相談したりするのはNGです。
車内では、『目的地に着いたら●●を食べたいね』など、当たり障りのない会話が適しています。あるいは、初めて乗せてもらう車で、ドライバーが車に特別な思い入れがある場合には、『すごく車を大切にしているんですね』と車を話題にするのもいいでしょう。ときどきいますよね、車内の清掃がビシッと行き届いていたり、靴を脱ぐように指示をしたりする人。
そういう人に車へのこだわりを語ってもらえば、車内で何をされるのがイヤなのか?というルールも把握できるので、一石二鳥です。その他、場を持たせるにはドライバーの好きなBGMをかけておくのもおすすめです」(尾形さん)
自分が話したいことを持ち出すのは、車を降りてからにしましょう。移動中はあくまで、“ドライバーにとって何が心地いいのか”という視点を第一としたいものです。
■6:「ねぇ見て、見て」と声をかけるなどして、不必要にドライバーの注意を引く
ドライバーの集中力を乱さないためには、「ねえ見て見て」など、ドライバーの視線を動かすような働きかけも避けたいところ。
「たとえば、助手席でナビゲーターの役割を引き受けていて、運転手に何か伝える必要がある場合は別ですが、そうでもないのに、『ねえ見て、見て』と自分のスマホ画面を見せようとするのはとても危険です。
あるいは、外の景色で何かを発見した際に、『見て見て』とか『あっ!』など声を出すと、やはり運転の妨げになるおそれがあります。走行中はもちろんのこと、信号待ちで停止している間でも同様です」(尾形さん)
ドライバーは安全運転のために、常にあらゆる方向に神経を張り巡らせています。同乗者の余計な一言で、ドライバーを煩わせないようにしましょう。
■7:高速料金を負担させて知らん顔をする
長距離ドライブで高速料金が発生する場合、ドライバーに負担させて自分は知らん顔……というのでは図々しい人だと思われかねません。こうしたケースではどのように振る舞うのがマナーにかなっているでしょうか?
「ETC搭載で、自動的に料金が精算される車も増えていますが、念のため、小銭を多く準備して専用の袋に入れ、『これよかったら使ってね』とはじめに渡すと、気遣いをスマートに示すことができます。
ただ、この方法が適しているのは、デートなどで2人きりで出かける場合です。グループで出かける際に、他のメンバーに無断でこれをやると、『自分だけいいかっこして……』と周囲の反感をかうおそれも。グループ旅行の場合は、高速料金やガソリン代の分担をどう分けるか、あらかじめ相談しておきましょう」(尾形さん)
2人きりの場合は小銭を渡しておく。グループの場合は事前に相談する。いずれにせよ、ドライバーに労力もお金も一方的に負担させることのないようにしましょう。
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せっかくの楽しいお出かけを、自分の心無いふるまいのせいで、台無しにしたくはありませんよね。今回ご紹介したNGマナーにはくれぐれも注意して、ドライバーにとっても同乗者にとっても、快適なひとときを過ごしましょう。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美