なんとなく食べたいものを買って、なんとなく食べているという人も多いであろうスイーツ「アイスクリーム」。この夏はぜひこだわりをもって、アイスを食べてみませんか? 選び方や食べ方を変えるだけで、いつもと違ったアイスクリームの魅力に気づくことができるのです。今回は、アイスクリームをよりおいしくいただくノウハウを、3名の”専門家”にうかがった内容をまとめた、保存版記事をお届けします。
お話をうかがった識者は、アイスクリーム評論家・アイスマン福留さん。アイスクリーム専門店「ジャパニーズアイス櫻花」を営む、ウィンウィンアソシエ・広報の宮原かおりさん。人気テレビ番組『マツコの知らない世界』に出演したチョコミントマニア・うしくろさん。以上の3名です。
【目次】
2018年はアイスの選び方・食べ方にこだわろう
■1:パッケージを見てアイスの「種類」を確認する
ひと口にアイスといっても、乳成分の量によって、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓の4つに分類されます。アイスを買う際は、商品のパッケージを見て、種類を確認しましょう。
(1)アイスクリーム・・・乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上のもの。『ハーゲンダッツ』や『ピノ』など。
(2)アイスミルク・・・乳固形分10.0%以上、うち乳脂肪分3.0%以上のもの。『ジャイアントコーン』や『チョコモナカジャンボ』など。
(3)ラクトアイス・・・乳固形分3.0%以上。『明治エッセル スーパーカップ』、『爽』など。
(4)氷菓・・・乳固形分がほとんどないアイスキャンディーやかき氷。『ガリガリくん』、『あずきバー』など。
ただし、同一ブランドでも、商品フレーバーによって種別が異なることもあります。例えば、森永乳業の『ピノ』シリーズのなかには、アイスミルクや氷菓もあります。このなかで、高級感やミルクのコクなどを重視するのであれば、もっとも乳成分の多いアイスクリームがおすすめ。
さらに、アイスクリームのなかでも、素材や製法にこだわりプレミアムアイスクリームと呼ばれるものは、乳成分の割合が特に高く、空気の混入率の低いという特徴があることから、ずっしりとした深い味わいがありつつ、舌触りがなめらか。
プレミアムアイスクリームは、法的な規格がなく、どの成分が何パーセント、といった明確な基準はありません。また、メーカーによって、何をプレミアムとするのか? という取り扱いが異なります。このため、パッケージのラベルにプレミアムアイスクリームと明記されているわけではないのですが、ただ、価格帯としては、1カップ250円から300円くらいのものが多いです。(アイスマン福留さん)
■2:メーカーやブランドの「コンセプト」を知る
例えば、ハーゲンダッツの企業理念は”完璧を目指す”。だからこそ、商品の完成度にもとことんこだわっているんですね。他方、『ガリガリくん』で知られる赤城乳業は“遊びましょ。”をスローガンに掲げており、いつも商品に遊び心があります。
また、企業単位だけでなく、ブランドごとのコンセプトも要チェックです。例えば、森永乳業の『MOW』は低価格でプレミアムなおいしさを提供するという“Next Premium”、同じ森永の『PARM』は平日をちょっと贅沢にするという“Daily Premium”というコンセプトがあります。そういったつくり手の狙いを知っておくのも、おもしろいと思います。
企業やブランドのコンセプトをあまり気にしたことがない、という人が多いかと思われますが、コンセプトは商品選びの手がかりになります。そして、「この商品にはこんな思いが込められている」という背景をふまえて味わえば、よりおいしく感じられるはずです。(アイスマン福留さん)
■3:「いつもとは違う」スーパーやコンビニにも足を運んでみる
おそらく大抵の人にとって、アイスを買う場所といえば、自宅や職場の近くのスーパーやコンビニのはず。もちろん、いつもの場所で手軽に買うのもありですが、よりアイスの世界を楽しむには・・・?
穴場はナチュラルローソンや成城石井。たとえば、高知県の久保田食品や、松崎冷菓のご当地アイスなど、現地まで行かないとなかなか買えないアイスがあります。室戸の海洋深層水を使った塩バニラアイスなどは絶品です。(アイスマン福留さん)
■4:買ったアイスは保冷バッグや保冷剤で「冷やして持ち帰る」
アイスは温度変化にとても弱く、一度溶けたものを再凍結させると口当たりが悪くなったり、風味が悪くなったりするおそれがあります。こうしたアイスの品質低下を防ぐために、保冷バックに入れて、さらに保冷剤ふたつで挟んで持ち帰るようにするのがおすすめ。
保冷剤は、表面温度がマイナス16度になる“氷点下パック”という、強力タイプ。もちろん、一般の方が気軽にアイスを楽しむのに、ここまで徹底するのは現実的ではないかと思いますが、スーパーで買った場合はドライアイスをいただくなど、なるべく溶けないように工夫したほうがいいでしょう。(アイスマン福留さん)
■5:なるべく買って「すぐに」食べる
アイスは安定的に、マイナス18度以下できちんと冷凍保存されていれば、微生物が増殖せず、品質劣化を招きにくいといわれています。そして、家庭の冷凍庫の温度は、一応マイナス18度以下に設定することが可能です。
とすれば、アイスは家庭の冷凍庫に保存しておけば安心とも思えますが、そうとは限りません。品質が保たれる条件のうち、安定的にという条件がクセモノなのです。家庭の冷凍庫はどうしても開け閉めするので、そのたびに庫内の温度が上昇し、マイナス18度を安定的に保つことができません。
アイスは自分が食べたいときに食べるのが一番おいしいのですが、ただ、食べるタイミングをはかって、ずっと冷凍庫に長く保存するのはおすすめできません。たとえば、森永の『チョコモナカジャンボ』は、パリパリ食感を保つために、製造から5営業日以内に店頭に並ぶよう、鮮度管理を徹底しているんです。なのに、購入後に家庭の冷凍庫に放置してしまうと、こうしたメーカー側の努力もむなしく、食感が悪くなるおそれがあります。(アイスマン福留さん)
■6:少し「溶けた状態」でいただく
屋の温度にもよりますが、アイスは10分ほど置いて、少し溶かすのをおすすめします。ソフトクリームのようなやわらかさになって、表面に少しツヤが出たら食べごろでしょう。マイナス18度というのは、あくまで微生物を繁殖させない保存に適した温度であって、できたてのアイスの温度はマイナス5度から7度くらいなんです。マイナス18度の環境でカチカチに凍った状態よりも、それくらいの温度に戻してあげたほうが、できたてに近いような風味を楽しむことができます。(アイスマン福留さん)
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■7:手のひらでカップを包む
カップ型のアイスクリームの場合、フタを取り外したら、まずは手のひらでカップを包むよう持って体温の熱を送り込んでいきましょう。
アイスクリームの温度をゆっくりと上昇させていくことが大切です。ご家庭でお召し上がりの際、アイスクリームが固いからといって、電子レンジで少し温めるという方もいらっしゃいますが、急激な温度変化により舌触りが変わってくることもあるので、オススメできません。(アイスクリーム専門店「ジャパニーズアイス櫻花」広報・宮原かおりさん)
■8:表面をひと口→ふた口目は、やわらかい側面
表面を削り落としてまずはひと口目のアイスを楽しみます。今度は側面側にスプーンを入れ込み、ひと口目と異なる風味を味わいましょう。味わいをより楽しみたければ、周辺から少しずつ中心へ向かって、ゆっくり食べ進めていくことが重要です。
ゆっくり食べ進めていく間にアイスの温度は約マイナス15℃からマイナス5℃、そしてマイナス1℃…と上昇していきます。最終的にアイスの温度を口の中の温度に近づけていくことで、単なる乳成分のクリーミーさだけでなく、使われている素材のおいしさをも味わうことができます。(宮原かおりさん)
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■9:大きめの「しっかりしたスプーン」で食べる
コンビニでもらえるプラスチックのスプーンは、ちょっと頼りないかもしれません。アイスをしっかりすくえる、大きめのスプーンを使ったほうがいいでしょう。ちなみに、最近では、ウォームテックスプーンというアイス専門のスプーンもあります。これは、炭素繊維強化プラチックスという熱伝導の高い素材でできており、手の熱が伝わることで、アイスを自然に溶かすというすぐれものです。こだわって食べるなら、使ってみるのもいいでしょう。
ネット通販でも販売されており、価格は¥5,400(税込)。最高においしいアイスのためなら、投資してみてもいいかもしれません。(アイスマン福留さん)
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■10:木製のスプーンで食べるのもおすすめ
急激な温度変化を避けるため、木製のスプーンで食べるのがおすすめ。ぜひ「マイスプーン」には木製のものを選んでみましょう。
■11:味わいの違いを楽しむ
アイスクリームの楽しみ方は自由自在。
カップのまま食べ進めることで、アイスクリーム自体の温度変化を感じながら味わえます。また、たまにはカップからお皿に出して、よく練って食べるのもオススメだそう。同じアイスクリームでも、食べ方によって違いを楽しめますね。
ほかにも、果実やクッキー・小豆などと合わせてアイスクリームを色々と楽しんでいただきたいです(宮原かおりさん)
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■12:「温かいお茶」と一緒に食べる
アイスを食べていくうちに、口のなかが冷えて感覚が鈍くなってしまいます。アイスの味をしっかりキャッチできる口内環境を保ち、かつ、アイスの甘みを引き立てるためには、温かいお茶が望ましいです。(アイスマン福留さん)
\お話を聞いたのは・・・/
アイスマン福留さん
アイスクリーム評論家、一般社団法人日本アイスマニア協会 代表理事
(あいすまんふくとめ)年間に食べるアイスの数は1000種類以上。情報サイト「コンビニアイスマニア」を開設し、2010年から「アイス評論家」として活動を開始。ご当地アイスが集結するアイスクリームイベント『あいぱく』を主宰するほか、業界紙などにコラムを連載、メディアにも出演中。著書に『日本懐かしアイス大全』(辰巳出版)がある。
宮原かおりさん
アイスクリーム専門店「ジャパニーズアイス櫻花」を営む、ウィンウィンアソシエ・広報。
いつも通りの食べ方は損かも!「最高においしいアイス」を食べるには8つの条件がある
2018年のトレンドアイス〝チョコミント〟
■1:チョコミントアイスは「チョコ:ミント=3:7」の割合のものを選ぶ
チョコミントは、ともすれば「歯磨き粉みたい」と揶揄されるように、チョコとミントの絶妙なバランスで成り立っている繊細なスイーツ。
チョコミントマニアのうしくろさんによれば、「完全に個人の好みによるとは思うのですが、僕的にはミントのチョコレートだったら『チョコ:ミント=6:4』くらい、チョコミントアイスやケーキなどのチョコレートでない商品なら、『チョコ:ミント=3:7』くらいがベスト」とのこと。
なぜ、同じチョコミントでも商品によってベストな割合が変わるのでしょうか?
「ミントのチョコレートの場合、それはチョコレートである必要があるため、チョコ感が少し強めの方が好きです。ただ、『チョコミント』を語る以上、ミントはしっかりと味わいたくて、でも最終的にはカカオのほろ苦いなめらかさでミントを包んでほしい、という思いから『チョコ:ミント=6:4』にしました。
チョコミントアイスやケーキなど、チョコレートでない場合は、見た目の色合いの関係もあり、ミントの方が多い方が好きです。3:7 という数字は、チョコチップが混ざった綺麗なミント色のチョコミントアイスを想像しました。基本はミントの爽やかな甘さですが、その中にチョコチップの甘み、食感が感じられる、というのがベストな気がします」(うしくろさん)
■2:アイスはチョコミントお菓子の中で一番合う
アイスやチョコはもちろんのこと、クッキーやケーキ、シェイクなど、チョコミント商品は年々増え続けています。なかにはチョコミントメロンパンや、キャラメルコーンのチョコミント味など、「それってアリなの?」と、ちょっと疑ってしまうようなラインナップまで。こういった数あるチョコミント商品の中で、まずはどれを選んだら間違いないのでしょうか?
「僕はチョコミントのお菓子の種類の中で、アイスがいちばん合うと思っています。もともとアイス自体が好きというのもありますが、ミントの爽やかさとアイスの冷たさが合わさることで、より清涼感が増しておいしいです。アイスでしたらサーティワンさんの『チョコレートミント』がおすすめです。こちらも店舗が多く、手軽に食べられます。チョコミントアイスといえばサーティワンといっても過言ではないほど定番です。
\お話を聞いたのは・・・/
うしくろさん
チョコミントマニア
(うしくろ)チョコミントが大好きな20歳の男子大学生。昨年出演した『マツコの知らない世界』(TBSテレビ)で“チョコミントの世界”を紹介。SNSなどを通じてチョコミントの魅力を世間に伝える活動をしている。
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