『AKIRA』などの作品で世界中に多くのファンを持つ漫画家・大友克洋さんは、16世紀にヨーロッパを魅了した作家・ブリューゲルのファン。

上野の東京都美術館にて開催された「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展 16 世紀ネーデルラントの至宝-ボスを超えて-」では、ピーテル・ブリューゲル1 世の最高傑作「バベルの塔」が24年ぶりに日本で公開。

これを記念して、大友克洋さんが、同作品からインスピレーションを得た大作を制作しました。

バベルの塔にインスパイアされた作品を制作した大友克洋さんと河村康輔さん

「バベルの塔」来日にあたり、大友さんと制作をともにしたコラージュ・アーティストの河村康輔さんは、ロッテルダムのボイマンス美術館へ赴き、学芸員の方との意見交換などをし、バベルの塔を独自解釈。

ロッテルダムのボイマンス美術館へ訪れる大友克洋さん

内部構造から、人が住んでいたのか、どの部分がどういう役割をしていたのか、など、詳細について考えました。

大友克洋さんが描く、バベルの塔の内部構造を想像した緻密なスケッチ

日本に戻ってから、50枚以上の手描きスケッチで内部構造を研究。強度を持たせるには内部は空洞ではないか、らせんのような構造だったのではないか…など、見えていない部分の細部までを創造。「久しぶりに遠近法も勉強しました」と大友さん。

大友克洋さんのスケッチにブリューゲルの筆致を貼り込むコラージュ・アーティストの河村康輔さん

コラージュ・アーティストの河村康輔さんは、大友さんの描いたスケッチをスキャンし、美術館で撮影して回ったブリューゲルの作品からテクスチャを細かくとって貼り付けていく気の遠くなるような作業を担当。ツギハギ感が出ないように仕上げていきました。

創造力と緻密な筆致ここに極まれり!

完成した作品がこちら! まるでブリューゲルが描いたようにしか見えない、大友版・バベルの塔です。

大友克洋さんと河村康輔さんで完成させた「バベルの塔」「INSIDE BABEL」大友克洋 デジタルコラージュ:河村康輔 2017年 デジタルプリント、紙 ©マッシュ・ルーム 大友克洋

今回の展覧会にて公開される、ブリューゲルの「バベルの塔」と比較してみてみましょう。

「バベルの塔」ピーテル・ブリューゲル1世 1568年頃 Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

著名漫画家をここまで突き動かすのほどの魅力をもった、作家・ブリューゲル。

「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展 16 世紀ネーデルラントの至宝-ボスを超えて-」では、ブリューゲル作品のほか、奇想の巨匠ヒエロニムス・ボスの「放浪者(行商人)」、「聖クリストフォロス」が初来日するほか、16世紀のネーデルラントの絵画、彫刻、版画が全体で89点公開されました。

■ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展 16 世紀ネーデルラントの至宝-ボスを超えて-

会場/東京都美術館 企画展示室
会期/2017年7月2日(日)まで ※終了
開室時間/9:30~17:30(金曜日は20:00まで)※入室は閉室の30分前まで
休室日/月(5月1日は開室)
TEL/03-5777-8600 (ハローダイヤル)
公式サイト/http://babel2017.jp
住所/東京都台東区上野公園8-36

この記事の執筆者
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クレジット :
構成/安念美和子(LIVErary.tokyo)