タカラトミーの「人生ゲーム」が日本で発売されてから今年で50周年を迎えました。億万長者を目指してルーレットを回し、自動車型のコマが止まったマス目に書かれた内容に一喜一憂する。幼いころに家族で遊んだことがある人も多いのではないでしょうか?

そんな人生ゲームの50周年を記念し、今年3月に日本の50年を振り返る「人生ゲーム タイムスリップ」が発売されました。1968年から2018年までの出来事が書かれたマス目には、思わず懐かしくなるエピソードが満載。さらには未来の50年を遊べる追加ステージもあり、子供でも楽しめる内容となっています。

合計100年の時空を旅して、親子3世代で遊べることを掲げた「人生ゲーム タイムスリップ」。今作に込められた思いや「人生ゲーム」の歴史について、開発に携わるタカラトミー マーケティング本部ゲーム事業部 トイゲーム課の池田 源さんに伺いました。

今にもルーレットが回る音が聞こえてきそう

石油王が続出?人生ゲーム50年の歩み

人生ゲームを見れば、当時の世相がわかる

あまり知られていませんが、実は人生ゲームはアメリカで誕生したゲーム。1960年に「THE GAME OF LIFE」という名前で発売されたものを、タカラトミーの前身・タカラ創業者の佐藤安太さんが日本に導入したのがきっかけなのだそう。

「当時の日本のすごろくは、サイコロを振ってとにかく一番最初に上がった人が勝ちでした。でも、『人生ゲーム』はゴールした順番じゃなくて、稼いだお金の額で順位が決まります。ルーレットもアメリカ風で新しかったですし、ゆっくりゴールしても優勝できる可能性があるのも斬新でした。こうした目新しさがヒットにつながったと言われています」(池田源さん、以下同)

1968年に発売された貴重な初代人生ゲームを見せてもらうと、「羊がとなりの家のランを食った」「ヨットを買う」など、あまり日本では馴染みのない独特のマス目が並びます。というのも、初代人生ゲームはアメリカ版の直訳だったため。日本独自のマス目を取り入れ、世相を反映するようになったのは、1983年発売の3代目からです。

「2代目までは『ウラニウム鉱山を発見する』なんて日本ではまず馴染みのないマス目もあったので、アメリカ風のゲームとして遊ばれていました。3代目からお歳暮、お正月などの季節感のある単語を入れたことで、日本人にとってより身近なゲームになりました。当時トレンドだった『スキー旅行』を入れたり、職業選択でも『デザイナー』『アイドルスター』などの目新しいカタカナの職業が選択できるようにもなっていたり、さまざまな工夫が見られます」

1968年発売の初代「人生ゲーム」
初代は建物が白塗りで、さらに生命保険のルールがあったそう。ちなみに「石油がでた」マスは初代から最新版まで全てのバージョンに登場する。石油王の夢をたびたび叶えた方もいるのでは?

これ以降、人生ゲームは7〜8年ごとに新たなものが発売される「スタンダード版」と、そのときのトレンドを色濃く反映した「テーマ版」の2本柱でシリーズを展開していきます。スタンダード版は2016年に発売された7代目が最新版で、4つの追加ステージを組み合わせることで16通りの人生が楽しめるなど、自分で人生を選ぶ時代に合わせてモデルチェンジ。「人工知能で資産運用」「クレームに神対応」など、マス目の内容もアップデートされています。

2016年4月発売 「人生ゲーム(7代目)」
「DIYのお手伝い」「家事代行サービス」など現代風のキーワードが並ぶ

「人生ゲームはルーレットを回すだけで進行するので、戦略性がないと言われています。おかげで大人も子供も対等に遊べるのですが、そのぶん飽きてしまうことも。基本のルールはそのままに新しいものにしていくとすれば、更新するのはマス目の内容。トレンドを入れながら進化を続けてきたおかげで、今では『人生ゲームを見ればそのときの世相がわかる』とも言われているんですよ」

日本の100年を体験する「人生ゲーム タイムスリップ」

勝ち負けよりコミュニケーションを大切にするゲーム

時代ごとのトレンドを反映してきたそれぞれの人生ゲームをまとめれば、そのまま日本の歴史を辿ることができるはず。そんなアイディアから、50年の歩みをひとつのボードに詰め込んだのが、3月に発売された「人生ゲーム タイムスリップ」です。人生ゲームが発売された1968年からスタートし、それぞれの時代を象徴する出来事を体験しながら現代へと進んでいきます。

2018年3月発売 「人生ゲーム タイムスリップ」¥3,980(税抜)

「人生ゲームは世相を斬ってきたゲームでもあるので、過去50年の日本の出来事を振り返ってみよう、という企画は最初から決まっていました。その時代ごとに話題になった出来事をちりばめているので、当時を振り返りながら遊んでみてほしいです」

当時を知らない子供も、祖父母や親に話してもらうことで、昔の日本について知るきっかけになります。

「勝ち負けよりも、途中のコミュニケーションを大事にするのが人生ゲームの醍醐味です。高度経済成長期やバブル崩壊などの大きな日本の歴史もそうですが、例えばスプーン曲げのユリゲラーとか、テレホンカードとかって、当時日本で生活していた人ならみんな知っているけれど、今の子供たちは知らないし、知る機会もなかなかないですよね。そういう小さなところからひとつでも話題が生まれるといいなと思っています」

人生ゲームは親が子供にルールを教えて一緒に遊ぶというパターンが多いそう。かつて親と一緒に遊んだ人生ゲームを、いまでは自分が親になって子供と遊ぶ、という人もいるでしょう。

「ルーレットやお札の色、車に人型のピンをさすところなど、基本的なデザインは昔から変えていません。なので親世代が久しぶりに見ても『昔と同じだ』と思ってもらえると思いますよ」

馴染みのある要素と新しい要素を組み合わせることで、誰もが新鮮に楽しめる。50年の歴史を持つ人生ゲームだからこそ、3世代で遊べるゲームができたと言えそうです。

未来ステージは「子供が希望をもてる内容に」

さらに今作では、付属の「未来ステージ」と繋げることで、未来の50年をあわせた100年を旅して遊ぶこともできます。池田さんによれば、過去ステージよりもこちらの未来ステージの方がつくるのが大変だったのだそう。

「2027年の『リニアが開通』など決まっていることもありますが、大概は決まっていないですからね。大変でしたが、子供たちが未来に対して希望をもてる内容にしたいという思いはありました。リアルな問題を取り上げれば、人口減少や環境問題など、暗い内容は避けられないでしょう。でも、僕たちが子供だったころにテクノロジーや科学を通じて未来にワクワクしたように、今の子供たちにも同じ気持ちをもってほしいと思いました」

マス目を見てみると、「ドローンでラーメンを注文する」「100Kテレビが発売される」「香りの出るテレビが発売される」など、想像するだけで楽しくなるような内容がいっぱい。子供だけでなく、大人もワクワクできますね。

50年先の未来を歩める「未来ステージ」
お孫さんが祖父母に「ドローンっていうのはね…」なんて教えてあげる会話が生まれるかも

「実際の未来はこれよりももっと進化していると思います。だから、『実際にあるかどうかはわからないけどあったら面白いんじゃないか』という内容を入れていますね」

世界初!「あの建物」の立体化も

ほかにも、ボード上では長崎のハウステンボスや東京スカイツリーなどの時代を象徴する建物が立体化されています。現在建設中の新国立競技場も、この『人生ゲーム タイムスリップ』で世界初の立体化を果たしたそう。些細なところまで、会話のきっかけになるような要素がちりばめられています。

「今の時代はスマホやタブレットが浸透してきて、家族みんなで集まっていてもそれぞれが画面を見つめているだけだったり、コミュニケーションが減ってきていると感じています。『人生ゲーム タイムスリップ』を囲むことで、表情を見ながら子供や自分の親と会話をするきっかけになればいいなと思っています」

東京スカイツリーにはイーストタワーも隣接
世界で初めて立体化された新国立競技場が本作のゴール

過去を振り返ることは、昔の自分を追体験することでもあります。「人生ゲーム タイムスリップ」で遊んでみれば、忘れていた記憶がよみがえったり、親の思わぬ過去の体験を聞いたりするきっかけにもなるかも。子供の興味関心を知る機会にもなりますね。

トレンドを意識したマス目と変わらないシンプルなルールで、長く愛されてきた人生ゲーム。親子3世代を超えて、これから先もきっと遊び継がれていくのではないでしょうか。

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この記事の執筆者
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WRITING :
小沼 理
EDIT :
大村実樹(東京通信社)
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