1960年代くらいまでにつくられたヴィンテージシューズをひと目でも見れば、本来の英国靴がいかにエレガントで、繊細で、色っぽい靴かということに気づかされるだろう。

再現不可能な英国ヴィンテージシューズ

100年前の乗馬ブーツ

こちらは英国王ジョージ5世のワラントが施された1920年代の作。100年近くたってもレザーや縫製糸はさほど劣化しておらず、使用に堪える状態なのは驚きだ。靴/参考商品(オールドハット)
こちらは英国王ジョージ5世のワラントが施された1920年代の作。100年近くたってもレザーや縫製糸はさほど劣化しておらず、使用に堪える状態なのは驚きだ。靴/参考商品(オールドハット)

東京・原宿にあるショップ「オールドハット」は、英国製ヴィテージシューズの殿堂として名高い名店。オーナーの石田真一さんは、「昔の英国靴は革のクオリティといい、縫製のピッチの細かさといい、現代の靴とはレベルが違います。死ぬほどいいですよ(笑)」と自信を持って断言する。その代表例として見せていただいたのが、「ピール&コー」という工房が1920年代につくった、乗馬ブーツである。

カントリーシューズだというのに上から出し縫い(底付け)の糸がまったく見えない、上品な仕立て。今やほぼ市場に流通しない「チャイナバック」と呼ばれる鹿革の、ビロードのように滑らかな手触り。そして極めつきは、内張りどころかトウの先芯まで省いた、完全なアンラインド仕様であること。これは現代の製靴技術では不可能なつくりだという……!

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2016年春号 時を超えた名品たちより
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク
クレジット :
撮影/戸田嘉昭(パイルドライバー)構成/山下英介(本誌)
TAGS: