自宅にお客さんを呼ぶ際、どのようなお料理でおもてなしをすれば良いか、困ってしまった経験はありませんか? 料理本を見ても、おもてなしの仕方まで具体的に書かれていることはなかなかありませんよね。

そこで今回は、家庭料理研究家、おもてなし協会おもてなしコンシェルジュである大山史恵さんに、おもてなし料理の真髄を教わります。

おもてなし料理の真髄とは?

大山さんは、1年の5分の1は自宅に来客があり、おもてなしをしているという「おもてなしのエキスパート」。また、7年前から子ども料理教室と大人のパン教室を主宰し、4,000名以上の受講者がいるという料理の腕前です。

そして、おもてなし協会では、「おもてなしコンシェルジュ」として、家庭料理を中心とした料理教室の講師としても活躍しており、料理を通したおもてなしを人々に伝えています。

そんな大山さんに、自宅で大事なお客さんを料理でおもてなしする際の、おもてなし料理の真髄を伺いました。

「おもてなしをする際は、来ていただく方を思い、その方が終始心地よく、リラックスし、楽しくお食事ができるよう準備をし、ふるまうようにしています。おもてなしと言っても、今はおいしい料理はお店でたくさんいただけますので、普段、つくり慣れた家庭料理を組み合わせてお出ししています。

おもてなしをすることで、お相手の方が喜んでいただくことはこちらの喜びにもなり、気持ちを伝えることができる貴重な場であると思います」

おもてなし料理といっても、かしこまりすぎず、あえてつくり慣れたものを出すというのは、きめ細やかに相手のことが考えられていますね。

自宅でおもてなしをするときの基本的な心構え5つのポイント

続いて大山さんに、自宅でおもてなし料理を提供するときの基本的な心構えを教えていただきました。

■1:客が訪れる時間帯を配慮してメニューを考案

野菜中心の料理
客が訪れる時間帯を配慮してメニューを考案

「例えばブランチ、ランチ、アフタヌーンティータイム、ディナーなど、お客さんが訪れる時間帯により、メニューを考えます」

■2:お酒はマリアージュも考慮

お酒を楽しむ人たち
お酒はマリアージュも考慮

「お酒をお出しする場合は、マリアージュも考えて、それぞれに合ったお料理をお出しします」

■3:年齢によってメニューを配慮

フルーツとクラッカー
年齢によってメニューを配慮

「お客さんが家族でいらっしゃる場合は、家族構成、年齢などわかる範囲で事前に伺い、お子さんがいらっしゃるときは、アレルギーの有無を確認します。また、年齢により、召し上がっていただけそうなメニューを考えます」

■4:お客さんの人数によってスタイルを変更

ホームパーティーの様子
お客様の人数によってスタイルを変更

「お客様の人数が多いときは、大皿料理を数品用意して、好きなものを取り分けていただくスタイルに。反対に、ご夫婦や、少人数のお客さんのときは、お盆にのせて御膳のようなスタイルにします」

■5:メニューは来訪者に合わせたテーマで

「料理のメニューは、いらっしゃる方に合うおもてなしのテーマを考えます。入学のお祝い、結婚のお祝い、友人の一時帰国の会食など。また旬のお魚やお野菜、果物を取り入れ、バランスを考えて出すようにしています。何度か我が家にいらしている方には同じメニューにならないようにすることも考えます」

和食と洋食のおもてなし料理の献立の立て方の基本!

ところで、おもてなし料理を考えるとき、和食と洋食で迷うことがありますが、和と洋でおもてなしの考え方は異なるのでしょうか?

「私の場合は、和も洋も基本的には同じです。オードブル的なもの、前菜になりそうなもの、メイン料理、デザートと、和洋折衷、中華料理も織り交ぜて、メニューを組むこともあります」

そこで、和食と洋食のそれぞれのおもてなし料理の献立の立て方の基本を、大山さんに教えていただきました。

和食

・肉または旬の魚を取り入れたメイン
・メインに合った酢の物、煮物、和え物、汁物
・果物やお菓子

洋食

・肉または旬の魚を取り入れたメイン
・付け合わせのボイル野菜やサラダ、野菜のマリネや魚のマリネなど前菜になるもの
・スープ、パン、デザート

【具体例】親しい友人を招いての日曜ランチ

<献立例>
・グリーンサラダ オニオンドレッシング添え
・コーンクリームスープ
・ひよこ豆、レンズ豆のサラダ
・鯛のカルパッチョ
・赤ワインとくるみのパン
・白菜のペペロンチーノ
・フルーツ
・お茶

おもてなしの最中に注意すべき3つのポイント

大山さんによると、おもてなしの会がはじまったら注意すべきことがあるそうです。ぜひ気を付けて、最高のおもてなしをしたいですね。

■1:テーブルをきれいに保つ

綺麗に並んだテーブルセット
テーブルをきれいに保つ

「お料理を順番に出しながら、食べ終わった器や、グラスなどはさげ、常にテーブルをきれいに保つことが大切です」

■2:料理を出すだけに徹しない

「お料理を出しながらも、自分も席について会話に参加することも大切なおもてなしです」

■3:食事のペースを見ながら料理の量を調整する

フルーツを楽しむ人たち
食事のペースを見ながら料理の量を調整する

「食べられる量、お酒の進むスピードなどを随時見ながら、次にお出しする料理の量を調整します」

細やかな配慮の効いたおもてなしは、きっと招かれた来訪者の心に響くもの。

まさに現場レベルのリアルなノウハウを教えていただきました。ぜひご自身のおもてなしの場でも、取り入れてみてくださいね。

大山史恵氏
大山史恵さん
家庭料理研究家、おもてなし協会認定おもてなしコンシェルジュ
(おおやま ふみえ)商家の末っ子としていつも客人あふれる家に育ち、自然とおもてなしが身につく。1年の1/5は自宅で来客に歓待。7年前に得意の家庭料理を活かし始めた料理教室は人気で生徒数は4,000人を超える。
子ども料理教室spice
おもてなし協会
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利