大物女優多数出演の話題作から、現代社会に斬りこむ社会派ドラマまで。

映画ライター・坂口さゆりさんが厳選した、「大人の女性が観るべき」映画作品を毎月お届けする本シリーズ。今回は、2018年8月公開の映画、『オーシャンズ8』、『オーケストラ・クラス』、『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』、『判決、ふたつの希望』の4作品をご紹介します。

■1:『オーシャンズ8』|アクション

©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

ジョージ・クルーニーをはじめ超豪華俳優陣で大ヒット、シリーズ化されるほどの人気を博したした『オーシャンズ11』。今回、その女性版ともいえる『オーシャンズ8』が公開されます。本作の配役も超豪華、遊び心もたっぷりで、気分転換にはうってつけ。ファッションの祭典「メットガラ」が舞台だけに、ファッション好きな人にもたまらない映画です。

主人公は、クルーニー演じたダニー・オーシャンの妹デビー(サンドラ・ブロック)。強盗一族に生まれた彼女は盗むことが大好きで、刑務所暮らしの5年ちょっとの間に綿密な強盗計画を立てて出所します。狙うは1億5千万ドル相当の、カルティエ唯一無二のダイヤモンドネックレス「トゥーサン」。それを、メトロポリタン美術館で行われるファッションの祭典「メットガラ」で手に入れようというのです。デビーが最初に声をかけたのは、かつての相棒、ルー(ケイト・ブランシェット)。ナイトクラブを経営し真っ当(?)に生きていた彼女を引き入れ、前代未聞の計画が始まります。宝石を手に入れるにはまず、メットガラのホストとなったダフネ・クルーガー(アン・ハサウェイ)に身につけさせること。そのためには、落ちぶれたファッションデザイナー、ローズ・ワイル(ヘレナ・ボナム=カーター)をダフネの衣装担当にすべく画策し…。

©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

豪華スター、奇抜なトリックに加え、キャラクターにぴったりのデイリーから非日常のファッションまで目が離せない! 「メットガラ」に出てくる「ヨーロッパの王室ファッション展」も、一流メゾン各社が協力していて見応えあり。ハリウッド映画ならではの楽しみがたっぷり詰まった、わかりやす〜い娯楽作です。

さらに、ケイト・ブランシェットの宝塚のような麗人ぶりにもうっとり。たまにサンドラ・ブロックがマイケル・ジャクソンに見えちゃいましたが…(笑)。

作品詳細

  • オーシャンズ8
  • 監督・脚本:ゲイリー・ロス 出演:サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、ミンディ・カリング、オークワフィナ、リアーナ、ヘレナ・ボナム=カーターほか。
    8月10日から全国公開

■2:『オーケストラ・クラス』|ヒューマンドラマ

©2017 / MIZAR FILMS / UGC IMAGES / FRANCE 2 CINÉMA / LA CITÉ DE LA MUSIQUE - PHILHARMONIE DE PARIS

音楽に触れる機会の少ない子どもたちに無料で楽器を贈呈し、プロの音楽家が技術と音楽の素晴らしさを教える。そんな、フランスの音楽教育プロジェクトから生まれた感動作が『オーケストラ・クラス』です。公私ともに問題を抱えるバイオリニストと音楽経験のない子どもたちが、夢の舞台「フィルハーモニー・ド・パリ」で開かれる演奏会を目指します。

プロのバイオリニストであるダウド(カド・メラッド)が訪れたのは、移民が多く住むフランス・パリ19区の小学校。音楽教育プログラムの講師としてやってきた彼は、「オーケストラ・クラス」を選択した6年生の子どもたちにバイオリンを指導することに。ところが、教室に入ったダウドは唖然。子どもたちはクラシック音楽をほとんど知らないどころか、騒いだり喧嘩を始めたり勝手し放題。演奏家として仕事にあぶれ、娘との問題を抱えるダウドは途方に暮れることに…。果たして彼らは、最終目標の「フィルハーモニー・ド・パリ」のメインホールで演奏することはできるのでしょうか。

©2017 / MIZAR FILMS / UGC IMAGES / FRANCE 2 CINÉMA / LA CITÉ DE LA MUSIQUE - PHILHARMONIE DE PARIS

問題児であっても、ダウドがバイオリンを奏で始めるとその演奏に圧倒され、ジッと耳を澄ます子どもたち。本物との出会いが子どもたち(そして、その親たちも!)の感性を撼わす姿は感動的です。ダウドもまた、子どもたちとの交流を通して音楽の喜びを噛みしめることに。音楽のチカラを実感できる映画です。

作品詳細

  • 『オーケストラ・クラス』 
  • 監督:ラシド・ハミ 脚本:ギィ・ローラン 出演:カド・メラッド、サミール・ゲスミほか。
  • 8月18日からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開

■3:『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』|ミュージカル

©2018 Universal Pictures. All rights reserved.

アバ(ABBA)の名曲で構成された2008年のミュージカル映画『マンマ・ミーア!』。この夏、続編がやってきます! 

ギリシャの島にある小さなリゾート・ホテルを経営するドナ(メリル・ストリープ)と娘のソフィ(アマンダ・セイフライド)を主人公に、ソフィの父親探しをテーマに描かれた前作。本作では、ドナとの夢だったエレガントなホテルを完成させたソフィが、そのオープニングパーティーのために奔走。妊娠がわかったことで、若き日の母と自分を重ね、現在(ソフィ)と過去(若かりしドナ)のふたつのドラマが展開していきます。

主役クラスの歌声は折り紙付き! なかでも輝いていたのは、本作で初登場、若き日のドナを演じたリリー・ジェームズです! 彼女の南の島で弾ける笑顔とあいまって観る者に幸せを運んでくれること間違いなし。ソフィの3人の“父親”たちの若き時代を演じたジェレミー・アーヴァイン、ヒュー・スキナー、ジョシュ・ディランらイケメンたちとの恋の鞘当ても楽しい。また、豪華出演者の中にあって、シェールがソフィの祖母役で久々に映画に出演。スーパースターの貫禄で魅せます。

©2018 Universal Pictures. All rights reserved.

実は今回、メリル・ストリープ演じるドナがほとんど出てこないなぁと思っていたのですが、終盤でとっておきのシーンが用意されていました。映画は、エンディングに進むほど盛り上がる。母から娘へ繋がる尊い命が心に沁みます。

作品詳細

■4:『判決、ふたつの希望』|社会派ドラマ

©2017 TESSALIT PRODUCTIONS – ROUGE INTERNATIONAL – EZEKIEL FILMS –  SCOPE PICTURES – DOURI FILMS

多くの日本人にとって馴染みの少ない中東諸国ですが、レバノン映画『判決、ふたつの希望』を観たら、そんな思いが変わるかもしれません。レバノン史上初めて第90回アカデミー賞外国映画賞にノミネートされ、主演男優のひとり、カメル・エル=バシャがパレスチナ人として初めて第74回ベネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞した、社会派エンターテインメント。どこの国でも起こりうる些細な口論に端を発した物語だけに、国を問わず多くの人々の心をとらえています。

舞台はレバノンの首都ベイルート。住宅の補修工事を行っていたパレスチナ人の現場監督ヤーセル(カメル・エル=バシャ)は、キリスト教徒のレバノン人トニー(アデル・カラム)の住むアパートの水漏れを直そうとします。ところが、トニーは頑なに拒否。ヤーセルがふと漏らした悪態にトニーは激怒します。ヤーセルもまたトニーのあるひと言に深く傷つき、ふたりの諍いはやがて法廷に持ち込まれることに。法廷での争いは、次第に政治問題の様相を呈し、レバノン全土を揺るがす民族・宗教問題に発展していくことに…。

©2017 TESSALIT PRODUCTIONS – ROUGE INTERNATIONAL – EZEKIEL FILMS –  SCOPE PICTURES – DOURI FILMS

「こんなはずじゃなかった」という経験は、生きていれば誰しもあることだと思います。あるいは、自分の言葉でだれかを傷つけたり、逆に他人の何気ない言葉に傷ついたり。きっと多くの人が経験しているに違いありません。脚本も執筆したジアド・ドゥエイリ監督もまた、「些細なことが雪だるま式にどんどん悪い方に転んでいくことに、子供の頃から恐怖を感じていた」と言います。そんな、監督ご自身の感情や実際にあった体験が、本作のきっかけになっているのだとか。この映画は、そんな誰にでもある普遍的な感情を丁寧に掬い取り、人間一人ひとりが抱える問題の本質や赦しに迫ります。混沌とした今の時代だからこそ、見るべき映画です。

作品詳細

  • 『判決、ふたつの希望』
  • 監督・脚本:ジアド・ドゥエイリ 出演:アデル・カラム、カメル・エル=バシャほか。
  • 8月31日からTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
この記事の執筆者
生命保険会社のOLから編集者を経て、1995年からフリーランスライターに。映画をはじめ、芸能記事や人物インタビューを中心に執筆活動を行う。ミーハー視点で俳優記事を執筆することも多い。最近いちばんの興味は健康&美容。自身を実験台に体にイイコト試験中。主な媒体に『AERA』『週刊朝日』『女性セブン』『朝日新聞』など。著書に『バラバの妻として』『佐川萌え』ほか。 好きなもの:温泉、銭湯、ルッコラ、トマト、イチゴ、桃、シャンパン、日本酒、豆腐、京都、聖書、アロマオイル、マッサージ、睡眠、クラシックバレエ、夏目漱石『門』、花見、チーズケーキ、『ゴッドファーザー』、『ギルバート・グレイプ』、海、田園風景、手紙、万年筆、カード、ぽち袋、鍛えられた筋肉
WRITING :
坂口さゆり
EDIT :
難波寛彦
TAGS: