仕事をしていると、いきなり理不尽な要求をされることもありますよね。そんなとき、驚いて絶句してしまったり反論が面倒だからと言いなりになってしまうと、どんどんストレスがたまります。

しかし、自分の言いたいことを何も考えずに伝えると、相手を怒らせてしまったり、不快な思いをさせたりしてトラブルになりやすいです。

そのため、自分の考えや思いを伝えるには、切り返す技術が欠かせません。今回は教育学者・齋藤 孝さんの著書『上手に「切り返す」技術 人間関係を悪くしないで、言いたいことが伝わる』から、簡単にできて効果が高い上手な切り返し方を5つ紹介します。

何か問題が発生したときは以下のような対応を実践して、人間関係で余計なストレスをためないようにしましょう!

理不尽な要求をされたとき、上手に切り返す技術5選

■1:冷静になって相手に説明をさせる

落ち着いて「何があったの?」と問いかけよう

平穏無事に日々を過ごそうと思っていても、なぜかトラブルは向うからやってきてしまうもの。

心当たりがないのに「何をやっているんだ!」「あのことを告げ口したの、あなたでしょ?」など頭ごなしに責められてしまうと、ついムキになって「やっていません」「私は何も知らない!」と、声を荒げて言い返してしまいますよね。すると、お互いがヒートアップ。ケンカ腰になってしまい、さらに面倒くさい状態になってしまいます。

ここで大切なのは、まず冷静になること。相手はたいした根拠がなく、あなたを責めているかもしれませんし、カマをかけて本音を引き出そうとしているかもしれません。そのため、ここは冷静になって相手に説明させましょう。

例えば、「何があったの?」「どうしたの?」「詳しく聞かせて?」などと、質問してみてください。このように切り返して、説明させれば次第に熱は冷め、お互いが冷静になれるはずです。

■2:相手の言い分を一度は認める

まずは肯定すると話しやすくなります

自分の意見が真っ向から否定されてしまうと、ついカッとなってしまい「相手の意見なんて聞く耳持たず!」となってしまいますよね。この心理を切り返しに応用してみましょう。

つまり、逆に相手の意見を肯定してから、自分の意見を伝えればいい、ということです。

例えば、「〇〇さんの意見は素晴らしいと思います! ちなみに私の意見なのですが……」「申し訳ございませんでした。ところで、もしよければ具体的に教えていただけませんか?」と言ってみてください。

相手が烈火のごとく怒っている。そんな場合には、一度相手の言い分を受け入れているという意味合いで謝罪、それから理由を聞く、というのもひとつの手です。

理由を聞いた後に、事実と異なるのであれば、それを伝えてみましょう。先攻は相手に譲り、後攻で冷静に本質を突く、と考えて実践してみてください。

■3:時間を味方にするため、いったん結論を保留する

うまく言い返せないときは「持ち帰って検討させてください」の一言を!

どんどん自分の意見を主張してくる人だけでなく、お店などでのセールストークも苦手で、ついつい黙って聞いてしまう……という方にオススメの技術が保留です。

相手の主張を一方的に聞いていると「私が悪かったのかも……」と思ったり、「このアイテムは、今の私に必要なのかも……」と考えたりしてしまうもの。そんなときは、「家でゆっくり考えてきます」「一度、社内で検討させていただきます」「家族と相談してから決めたいと思います」などと、切り返してみましょう。

こうして一度距離を取ることで、冷静に考えをまとめることができますし、何より自分の心に余裕が生まれます。さらに、相手からすると、攻勢だった流れが一度切られてしまいますので、勢いが緩むことに。

切り返すのが苦手という方は、まず先延ばしにしてみてください。小休憩を入れる、社内で検討するなども、応用しやすいテクニックです。

■4:別の方向に論点をズラす

口下手な人は「ところで」と話を変えてみて

反論が難しいときは、論点をズラしてみましょう。これは気弱な人にもオススメです。

例えば、相手が何かを主張してきた、意見を言ってきたとき。「ところで、〇〇の件といえば△△の件ってどうなってる?」「そういえば、去年のことなんだけど……」などと切り返しましょう。

このように話題を転換させる「ところで」と「そういえば」を使うことで、相手の主張の矛先を逸らすことができます。

相手の言い分や質問に答えずに論点をズラすので、「ずるい」「卑怯だ」と思うかもしれません。しかし、反論をしてもムダ、反論の材料がない、反論することで関係が悪化しそう、というときには使えるテクニックです。

しかし、毎回毎回この技術に頼っていると「自分の意見をまったく言わない人」という印象を与えてしまいますので、使い過ぎはいけません。

■5:相手に言わせるだけ言わせて疲れさせる

ひたすら言わせるのもひとつの手

これまで、自分の意見を伝えるための有効な一手や、相手の主張の矛先を逸らすテクニックを伝えてきました。最後は相手の主張を流す技術です。

これは、お客様からのクレーム対応を行うコールセンターでも使われている技術で、相手の不平・不満といった主張を最後まで吐きだしてもらい、相手を疲れさせて、相手の勢いを削ぐことができるというものです。

この最中では、反論はNG。相手の主張に対して「それは違う」と言ってしまえば、さらにボルテージが上がってしまいます。ですから、自分の意見・主張は一度胸にしまい、相手の主張に耳を傾け、相槌を打ち、相手が主張する勢いを弱くしましょう。これも立派な切り返しのひとつです。

人と人とのコミュニケーションは、勝ち負けではありません。とはいえ、自分を抑え込み過ぎればストレスが溜まり、論破してしまうと関係が悪化してしまいます。自分も相手も気持ちよく。これがコミュニケーションの目指すべきゴールであることを、お忘れなきように!

齋藤 孝さん
教育学者
(さいとう たかし)1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10、草思社)がシリーズ累計260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。
『上手に「切り返す」技術 人間関係を悪くしないで、言いたいことが伝わる』齋藤孝・著 辰巳出版刊
この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2018.10.23 更新
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
冴島友貴
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