日本でも着実に販売台数を増やしているマクラーレン。その硬派なつくりから「サーキットでしか楽しめないスポーツカー」のイメージを描きがちだが、決してそんなことはない。速く走るための機能と安全性を確保したクルマは、公道でも走りやすいのだ。最新モデルの「600LT」が披露された場で、マクラーレン・オートモーティブ アジア 日本代表の正本嘉宏氏に、その魅力を語っていただいた。

機能だけを追求したストイックなマシン

公道走行にも目配せした、サーキット指向のマシンというキャラクターの最新モデル「600LT」。限定生産で、価格は29,999,000円〜(税込)。
「600LT」を披露した場で、2017年からマクラーレン・オートモーティブ アジア 日本代表を務める正本嘉宏氏からお話をうかがうことができた。およそ30年にわたって、自動車業界においてマーケティング、セールスの要職を歴任していたベテランだ。

 

 F1ドライバー、ブルース・マクラーレンの名は、日本でそれほど知られていない。なぜなら、地上波でF1が中継されるはるか昔、海外のレース情報など専門誌の記事でしか知る由のなかった1970年に、テスト中の事故でこの世を去ってしまったからだ。のちに空前絶後の優勝回数を記録し、いまなお有力コンストラクターの地位にあるマクラーレンは、ドライバーとしてだけでなく、オリジナルマシンによる挑戦を始めたブルースによって設立された。

 彼はまた、スポーツカーを市販する計画も立てていた。その夢はやがて、マクラーレン「F1」(1994年)として花開き、2009年からはマクラーレン・オートモーティブによって、レースの技術をふんだんに盛り込んだスーパー・スポーツカー専業ブランドとして展開されている。

 最高のエンジニアリングを駆使して手作業で組み立てられるマクラーレンの特徴を、マクラーレン・オートモーティブ アジア 日本代表の正本嘉宏氏はこう語る。

「ご存知の通り、速く走るために軽さはとても重要なファクター。極限まで軽量化を図るため、見栄えを良くするための飾り気は一切なく、とことん機能だけを追い求め、素材そのもので組み立てられた、ある意味粗野で、質実剛健なクルマなんです」

サーキットで300km/h走行を楽しみ、公道を流す悦楽

他のマクラーレン・スポーツシリーズよりも74ミリ長いカーボンファイバー製ボディ(これがLT=ロングテールの由来)、短く負圧を軽減した上方排気システム(写真)や固定式リアウィングなどの専用設計で、エンジンも600馬力(ベース車+30PS)/620Nm(+20Nm)に高められている。
カーボンファイバーのボディワークを多用するなどして、大幅な軽量化も果たしている。
外観同様、コクピット内部も機能的に設計されている。すぐれたスポーツカーは日常においても使いやすい。

 この夏、日本でも発表された最新モデル「600LT」は、正本氏が強調する「軽さ」と、機能に徹した「美しさ」が際立つ、ストイックなモデルだ。

 たとえば、F1との関連性を如実に感じさせる、軽量・堅牢なカーボンファイバー製のモノコックは「バスタブのように一体成形で、座ってみると守られているような安心感があります。もちろん、実際に安全なんです」(正本氏)、速く、安全に走るための必然。本領を発揮するのは当然ながらサーキットとなるが、同社ではオーナー向けの走行会イベントを頻繁に開催しており、「走られる方はストレートで300km/h近い数値を出されますよ。(同)」という。

 走行中の安全に関わる視界も良好で、正本氏は、「座った瞬間に360度視界が開けていることを実感していただけます」と自信をみせる。

 ほとんどのマクラーレン・オーナーは普段使い用のクルマも所有しているとのことだが、時には非日常を生活の中に持ち込んでみたいときもある。カーボンファイバー製の極薄シートに身を預けて見える景色はどんなものか、気になるところだ。そこで、然るべき装いを正本氏に尋ねてみた。

「フルバケットシートですから、スーツは現実的ではないですよね。これは私の個人的な見解ですが、ラフに乗ってもらうのがかっこいいのかなと思います。例えば、洗いざらしのジーンズに、襟付きの白シャツ。Tシャツではなく襟付きっていうところに、英国車らしい品を覗かせて(笑)。足元はやっぱり素足にドライビングシューズがいいでしょうね」

 とっておきの日には、レーシングスーツを着用してサーキットを攻め、またある時には、見せびらかすためにではなく、最高のマシンを少しでも身近に感じるために、カジュアルな装いで街に出る。そんな贅沢な使い方ができるのは、マクラーレンだけだ。

問い合わせ先

この記事の執筆者
女性ファッション誌、ビューティ誌を中心に執筆活動を行ったのち、しばしの休眠を経て現場復帰。女性誌時代にクルマ記事を手掛けていたこともあり、またプライベートではライフステージの変化に合わせて様々な輸入車を乗り継いできた経験を生かし、クルマを核とした紳士のライフスタイル全般に筆を振るう。