通が教える「秘密の京都」アドレス

実は、通こそ「暑いときに行く」という噂のある京都。そこで、この時期にしか食べられない旬の味や、景色とともに五感で楽しめるスポットまで、さまざまなお店をピックアップ! 「京都通」の推薦ポイントとともに、7つの名店をご紹介します。

美しい庭と「菊乃井」の味を堪能できる「無碍山房(むげさんぼう)Salon de Muge」

無碍山房 Salon de Muge
無碍山房 Salon de Muge

華道「未生(みしょう)流笹岡」家元・笹岡隆甫(りゅうほ)さんが推薦するのは、「無碍山房(むげさんぼう)Salon de Muge」。

「菊乃井」本店の隣に、2017年春オープンした茶寮。庭の風景が最も美しく切り取れるよう、計算し尽くされた大きな窓には一枚板のカウンターが。

「ご主人が庭の桜の古木に惚れ込んで、桜を愛でつつ弁当や喫茶を楽しんでもらえたら…と考えたのが開店のきっかけだったとか。桜舞う季節はもちろん、苔の緑が鮮やかな夏も最高。この特等席でゆっくりと、名物のタルトタタンと生姜飴のアイスクリームを楽しむのが、私の定番です」

問い合わせ先

「京料理 木乃婦」で、京都といえばやっぱり鱧! 

ここでしか味わえない鱧の木屋町焼 ※「旬の会席」¥15,000より
ここでしか味わえない鱧の木屋町焼 ※「旬の会席」¥15,000より

京都在住カメラマン・ハリー中西さん、何必館(かひつかん)・京都現代美術館のキュレーターを務める梶川由紀さんのおふたりが推薦するのは「京料理 木乃婦」。

「夏といえば鱧! 京都ではさまざまなジャンルのお店で鱧を見かけますが、こちらは別格」と、ハリーさん、梶川さんおふたりがそろって絶賛! 80年続く料理屋・木乃婦では、淡路島の釜口港から取り寄せた鱧を使用。写真の「鱧の木屋町焼」は、3代目の髙橋さんが、江戸時代のレシピ「鱧百珍」から再現したものです。

骨切りして塩をふった鱧の身を重ねて冷蔵庫で寝かせ、炭火で白焼きにした後、タレを塗ってさっと炙り、鱧の骨でとったスープと味わいます。外は香ばしく、中の身はふんわりとすり身のような食感が絶妙。

「鱧自体がよくて、骨切りや焼きの技術があってこその料理。ほんまにうまい。素材のよさはいうまでもなく、ていねいな仕事ぶりは群を抜いていると思います。ちなみに、持ち帰りできる鱧寿司も、毎日食べたいくらい絶品です」とハリーさん。

鱧のお造り ※「旬の会席」¥15,000より
鱧のお造り ※「旬の会席」¥15,000より

写真はともに「旬の会席」¥15,000の鱧料理。お造りでは、パリッとした皮の食感と脂が味わえる、あぶりと、さっと湯通しして梅肉でいただく「おとし」を楽しめる。また、日本料理の伝統を次世代に継承したいと考える3代目が現代に復活させた「木屋町焼」とは、皮と皮の間=鴨川と高瀬川の間にある木屋町をかけたのが由来だとか。

京料理 木乃婦
京料理 木乃婦

問い合わせ先

  • 京料理 木乃婦 
  • 営業時間/11:30~14:30(L.O.)、18:00~19:30(L.O.)※要予約
  • 定休日/不定休
  • TEL:075-352-0001
  • 住所/京都府京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町416

「NAKATSUKA」で、新星ガストロ・フレンチの夏のひと皿を味わう

鱧と焼きなすの前菜¥1,300
鱧と焼きなすの前菜¥1,300

何必館(かひつかん)・京都現代美術館のキュレーターを務める梶川由紀さんが推薦するのは「NAKATSUKA」。

東京・青山の「NARISAWA」で8年、スペインやパリなどで修業後、京都や奈良の名店で経験を積んだ中塚さんが、地元・京都で独立してオープンさせた「NAKATSUKA」。外からでも店内が見える大きな窓、暖色系の内装やシェフの手元が見えるオープンカウンターと、入りやすい雰囲気も魅力です。

「2017年末にオープンしたばかり。シンプルながら、素材を生かした料理、その組み合わせ、計算し尽くされたソースに唸ります。ひとつひとつの料理が目にも美しく、ついついワインがすすみます」

チキンブイヨンで軽く火を通した後、さっと炙って味を入れた鱧と焼きなすの上に、透明なガスパチョとトマトベースのグラニテ、削ったすだちの皮がトッピングされた「鱧と焼きなすの前菜」。さわやかな香りと酸味が広がり、鱧のぷりっとした食感がたまらないひと皿です。

ブイヤベース¥1,600
ブイヤベース¥1,600

通年メニューのブイヤベース。エビの香りとうま味が詰まった濃厚な味はこの店の真骨頂。

NAKATSUKAの内観
NAKATSUKAの内観

「ひとりでもふたりでも、ふらりと気軽に訪れてほしい」という思いから、アラカルトが中心、コースは2種。素材はもちろん、香りにこだわり、目には見えない仕込みを施した徹底的においしいソースを楽しみに、京都の新星フレンチへ。

問い合わせ先

  • NAKATSUKA 
  • 営業時間/17:00~22:00(L.O.)
  • 定休日/火曜
  • TEL:075-223-0015
  • 住所/京都府京都市中京区木之下町299 Coto Glance姉小路通 1F

目でも舌でも楽しめる絶品イタリアンを「リストランテ野呂」で

ヤガラとイサキのカルパッチョ¥1,780~(1.5人前)
ヤガラとイサキのカルパッチョ¥1,780~(1.5人前)

リンクアップ代表取締役の今井雅敏さんが推薦するのは「リストランテ野呂」。

「洋食に厳しい京都人も黙らせる、創意工夫に満ちたイタリアンです。特に季節のカルパッチョはおすすめ!」と、今井さんが絶賛するこちらのご主人は、「山の上ホテル」や「サバティーニ青山」「洋食おがた」、ミラノなどで腕を磨き、2017年6月に開店。基本はアラカルトで、「メニューにある素材であれば、リクエストもなんなりと」と気さくな方。実際、メンチカツがひそかな人気とか。

この日は、「ヤガラとイサキのカルパッチョ」。オリーブやニンニク、ビネガーがきいた一品です。

バジルの冷製パスタ¥1,780
バジルの冷製パスタ¥1,780

バジルの冷製パスタは、タコやトマト、水なす、水牛のリコッタチーズと、ゆでたパスタにあさりのだし汁とバジルを絡めながら冷やしたもの。

リストランテ野呂の外観
リストランテ野呂の外観

問い合わせ先

  • リストランテ野呂
  • 営業時間/11:30~13:30(L.O.)、 17:30~20:30(L.O.)
  • 定休日/月曜・月1回火曜
  • TEL:075-823-8100
  • 住所/京都府京都市中京区西ノ京職司町67-14

滋味あふれるすっぽん料理を「美碧(みどり)」でパワーチャージ!

焼きすっぽん¥7,500(税込)※前日までに要予約(2人前から)
焼きすっぽん¥7,500(税込)※前日までに要予約(2人前から)

染司(そめのつかさ)よしおか6代目・染織家の吉岡更紗さん、旬香舎(しゅんこうしゃ) 主宰の久住ゆきさんのおふたりが推薦するのは、「美碧」です。

「使い勝手がよい店を」と和久傳出身のご主人が言うとおり、「とにかくメニューが豊富。一品ずつオーダーできるのがうれしい」と吉岡さん。長崎県産のすっぽん料理は、土瓶蒸し、雑炊、ラーメンの単品3種と潔い。

久住さんも、「濃厚でありながらさっぱりと飲み干せるすっぽんのだしは元気のもと」と大絶賛!

「焼きすっぽん」はメニューにはないものの、前日までに予約(2人前~)すれば食べられるという隠れメニュー。しょうゆ風味のタレをかけながらじっくりと火入れしているため、香ばしくて、クセがない。さっぱりとぷるぷるのコラーゲンを堪能できます。

すっぽんラーメン¥1,550(税込)
すっぽんラーメン¥1,550(税込)

「最後はだしがおいしいすっぽんラーメンでシメます。暑い夏は特に、明日も頑張ろうと英気を養います」と、吉岡さんお気に入りの「すっぽんラーメン」もおすすめ。

美碧の内観
美碧の内観

問い合わせ先

  • 美碧 
  • 営業時間/12:00~13:30(L.O.)、18:00~23:00(L.O.)
  • 定休日/水曜・第4火曜
  • TEL:075-343-5345
  • 住所/京都府京都市下京区寺町通仏光寺下る 恵美須之町528 えびすテラス 2F

あの名割烹で修業したモダン中華 「にしぶち飯店」

焼きフカヒレの毛ガニスープ
焼きフカヒレの毛ガニスープ

京都在住カメラマンのハリー中西さんが推薦するのは、「にしぶち飯店」です。

「『祇園ささ木』で修業し、和の食材を知り尽くした西渕氏。単なる中華料理でもなく和食でもない、これはもはや西渕料理! センス抜群で何を食べてもおいしいが、普通のチャーハンがとびきりおいしかったりします(笑)」

メニューは1か月ごとに内容が変わるおまかせコース¥18,000のみ。季節の先付やお造りのほか、定番のチャーシューや唐揚げ、フカヒレ料理で7品ほど。シメはラーメン、チャーハン、焼きそばから選べます。

コースの定番であるフカヒレは、夏は焼きフカヒレの毛ガニスープに。カリッと焼いた気仙沼産のフカヒレと、しょうがたっぷりの優しい風味の毛ガニあんとの相性は抜群です。

鰻の冷麺
鰻の冷麺

夏のシメには、大原の山椒がぴりりときいた鰻の冷麺も。

にしぶち飯店の内観
にしぶち飯店の内観

問い合わせ先

  • にしぶち飯店 
  • 営業時間/18:00~21:00(最終入店)※要予約
  • 定休日/日曜
  • TEL:075-561-1650
  • 住所/京都府京都市東山区上弁天町444-2

絶品すき焼きでスタミナ補給!定食屋スタイルでいただく「祇園ろはん」

和牛のすき焼き定食¥5,500
和牛のすき焼き定食¥5,500

リンクアップ代表取締役の今井雅敏さんが推薦するのは「祇園ろはん」。

「定食といえども、クオリティーが高く、一度は食べていただきたい極上定食です。スタミナ補給に、ガツンと和牛のすき焼きや豚の生姜焼きなどがおすすめ」

定食は、季節の料理2品がつき、すき焼きなどのメインと、土鍋で炊いた丹後のコシヒカリが登場。自家製の明太子またはちりめん山椒が選べる。鮎の塩焼きや牛しぐれ煮コロッケ、鯖サンドなど、季節の単品メニューや酒の肴も豊富にそろう。

定食には、刺身や魚の煮付、鶏の唐揚げなども。メインだけを単品で頼むことも可能です。和牛サーロインを贅沢に使った関西風のすき焼きは濃厚な卵で豪快にいただき、皆さん最後はタレと混ざった卵かけごはんでシメるのだとか!

鰻丼
鰻丼

6月からは鰻丼も登場。

祇園ろはんの外観
祇園ろはんの外観

問い合わせ先

  • 祇園ろはん
  • 営業時間/17:00~22:30(L.O.)
  • 定休日/日曜(日曜が祝日の場合は日曜営業、翌月曜休)
  • TEL:075-533-7665
  • 住所/京都府京都市東山区大和大路通四条上ル 廿一軒町232

以上、「京都通」の方々がおすすめする7つの名店をご紹介しました。紅葉などで混雑する秋を前にした京都旅行や、来年の夏の旅計画にもぜひお役立てください!

※掲載した商品はすべて税抜です。

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PHOTO :
ハリー中西
EDIT&WRITING :
田中美保、遠藤智子(Precious)
RECONSTRUCT :
難波寛彦