海外発や東京発、さらには地元の店主による新店が続々と登場し、コーヒー戦国時代なんて言われている京都。今回は京都の街の中心部にあり、街のコミュニティースペース的な存在の「TRAVELLING COFFEE(トラベリング コーヒー)」を紹介します。
元小学校の校庭に建つ、前代未聞の図書館兼コーヒーショップ「TRAVELLING COFFEE(トラベリング コーヒー)」
京都の繁華街、木屋町通に建つ立誠小学校は廃校になった後も、映画館を開設したり、さまざまなイベントが行われたり、文化発信の場所として活用されてきました。「TRAVELLING COFFEE(トラベリング コーヒー)」も2015年、元職員室を使ってスタートしました。が、今年になって、元小学校の改修、増築工事がスタートし、2020年春、ホテルを有する複合施設が完成するまでの間、旧校庭に建てられた仮設店舗で営業することになりました。
高瀬川べりに腰掛けられるのも、他にはないロケーション
仮設とはいえ、店内には、音楽室のイスや理科室の実験台など、以前、小学校で使われていた家具がそのまま使われ、昔懐かしい雰囲気に。実は「立誠図書館」としての役割も担っていて、壁一面には本棚が並び、本を自由に閲覧することも。さらに約500冊の選書を監修したのはブックディレクターの幅 允孝(はば よしたか)氏であり、本1冊1冊が並ぶ位置まで決められていて、見やすくレイアウトされています。また、高瀬川べりにはテラスもあり、川に足を投げだして座るのも気持ちいい。
京都のコーヒー界で知られる、「TRAVELLING COFFEE(トラベリング コーヒー)」の名物店主
毎日、出勤前後に京都のコーヒー店をパトロールしている名物店主の牧野広志さん。実は京都のコーヒー業界だけでなく、音楽シーンにも精通していて、街のお兄さん的存在です。
海外や東京のコーヒー店が増えることで、京都発のコーヒー店も活性化
「地元の新聞にコーヒー戦国時代なんて書かれたこともあったのですが、ボクはそうは思いません。コーヒー好きは1日1軒ではなく、何軒も巡る人が多いんです。ブルーボトルやスターバックスなど、海外や東京からの店が増えることで、京都がコーヒーの街として印象づけられるし、京都発のコーヒー店も活性化。戦うんじゃなくて、共存共栄に成功してる街だと思います」と、牧野さん。
コーヒー豆にこだわりを持ちつつ、スタンスはラフな「TRAVELLING COFFEE(トラベリング コーヒー)」
店で出すコーヒーは牧野さんが親交のある京都のロースターの豆を使い、常時4、5店から卸してもらっています。豆をただ仕入れるだけではなく、牧野さん自身がロースターに産地や焙煎の仕方などをリクエストし、ロースターと一緒にイメージに合う味に仕上げていくそうです。とは言え、スペシャルティコーヒーがズラリと並ぶメニュー表に身構える必要はありませ。元々、「TRAVELLING COFFEE(トラベリング コーヒー)」は期間限定店だったのですが、「みんなが集まれる場所として残してほしい」という地元の人たちの熱い想いで常設に。
「TRAVELLING COFFEE(トラベリング コーヒー)」は、普段着の京都が味わえるコーヒーショップ
「コーヒーってコミュニケーションツールのひとつだと思うんです」と、牧野さん。今も店はご近所さんの憩いの場的存在であり、ブレンドコーヒーは気軽に飲める300円で提供されています。
旅行で京都を訪れると、コーヒー店にも“京都らしさ”を求めてしまいますが、ここに行けば、町家改装店ともひと味違う普段着の京都を味わえます。
※掲載した商品はすべて税込です。
問い合わせ先
- TRAVELLING COFFEE(トラベリングコーヒー)
- 営業時間/11:00~20:00
- 定休日/不定休
- TEL:080-3853-2068
住所/京都市中京区蛸薬師通河原町東入備前島町310-2
- TEXT :
- 天野準子さん 京都エディター・ライター
公式サイト:"映える!" なにそれ、おいしいの?
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- WRITING :
- 天野準子