ビジネスの世界では信頼されることが第一。しかし、無意識に嫌われるしぐさをしてしまっている可能性も! そこで今回は、意外と気づかないしぐさについて考えてみましょう。
おもてなし協会の代表理事であり、マナー講師でもある直井みずほさんに、いつものよくある「あいさつ」「名刺交換のとき」「人との会話のとき」などのビジネスシーンでNGなしぐさと、信頼されるしぐさを教わります。
ビジネスの場で人に信頼されるしぐさ、嫌われるしぐさとは?
職場の上司や部下、同僚のほか、取引先の人などとの日常的にやりとりをするとき、どんなしぐさが嫌われ、どんなしぐさが信頼されるのでしょうか? 日常のよくあるシーンそれぞれについて、直井さんに教えていただきました。
■1:あいさつのとき
「あいさつは、人間関係の始まり。相手を大切にする心が表れます。仕事でも日常生活でも、周りの方と良い関係、つまり信頼関係がスムーズに築くことできれば、物事を円滑に進めることができます」
嫌われるしぐさ
「嫌われるのは、何かをしながらのあいさつ、目を合わせないあいさつ、言葉だけでお辞儀を伴わないあいさつです。一本調子の声のトーンにも注意。あいさつ言葉に心が込められてこそ相手に届きます」
信頼されるしぐさ
「相手に体を向けて、笑顔、アイコンタクトをしっかりとって、言葉を言ってからお辞儀を行う“語先後礼(ごせんごれい)*”の丁寧なあいさつです」
*あいさつの言葉が先で、おじぎは後という意味。
■2:名刺交換のとき
「名刺交換は、初めての方にきちんと向き合い、個々にあいさつできる貴重な機会。記憶に残る好感度の高い第一印象が残るようにしたいものです」
嫌われるしぐさ
「名刺がスムーズに出せず、相手を待たせてしまうこと。訪問者が先に名刺をお渡しすることが基本。すぐに名刺が出せるように事前準備し、スマートに行えれば洗練された印象です。私は、あらかじめお渡しする方の人数分の名刺を名刺入れの真ん中に相手の方向に名刺を向けて挟むようにしています」
信頼されるしぐさ
「名刺交換のときには、どうしても名刺に目がいきがちですが、相手とアイコンタクトをしっかりとって、自分の苗字と名前をはっきり伝えます。名刺を同時に交換、授受する際に、相手の名刺より少し低い位置で自分の名刺をお渡しすると気づかいが伝わります」
■3:話を聞くとき
「コミュニケーションは、人間関係の始まり。そして聞き上手は、好印象を与えます」
嫌われるしぐさ
「髪を触りながら、スマートフォンやパソコンを使いながらの“ながら聞き”。また『えぇえぇえぇ…』『はいはいはいはい…』など相槌がワンパターンですと、軽く聞き流している印象を与えることも。腕組み、肘つき、目線が落ち着かない、表情が曇っているなども嫌われます。なぜならしぐさは気持ちを伝える鏡だからです」
信頼されるしぐさ
「自分の話をきちんと聞いてくれると相手に思っていただく聞き方が必要です。相手に体を向け、基本は笑顔、しかし相手の表情と目線を合わし、バリエーション豊かな相槌、受け止めの言葉と共感でうなずきをしっかりとって聞きましょう」
■4:立って人を待っているとき
「人と待ち合わせる際、自分の姿が、はるか遠くの場所から相手の視界に入っていることもありますので、いつも注意が必要です」
嫌われるしぐさ
「顔から至近距離のスマートフォンを眉間にシワを寄せていじる姿、休めの立ち姿勢、腕組みなどはよくありません。また顔が無表情だと声をかけにくい雰囲気を醸し出していることも。待機中も、常に誰かに見られているという意識を持ちましょう」
信頼されるしぐさ
「口角を上げたやわらかい表情で顔を上げ、周りを見渡し相手が見つけやすいように待機します」
■5:電話応対のとき
「電話応対は、消えていく会話を、メモを取りながら応対していくもの。電話のスタートからスムーズなやり取りができると信頼度もアップします」
嫌われるしぐさ
「両手がふさがり、耳と肩に受話器を挟んでいる姿は雑な印象を与えてしまいます。何かをしながら、のけぞりながらの電話応対は、電話の向こうの相手の目には見えなくても、声の表情で伝わるもの。電話だからこそ、対面以上に『ありがとうございます』『お願いします』を言うときに態度も伴うと、言葉に気持ちがのって伝わります」
信頼されるしぐさ
「すぐに電話に出てメモを取りながら会話が進められるように、利き手側でない手で電話をとると電話を持ち帰ることなくメモを取ることができてスムーズ。もちろん、いつも近くにメモとペンを常備しておくこともお忘れなく」
基本的なことでありながら、無意識に“嫌われる”ほうのしぐさを行ってしまっていませんか? それに気づいたあなたはかなりラッキー。次は意識して“信頼される”しぐさを実践しましょう。
おもてなし協会
おもてなしコンシェルジュ認定資格
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利