急に涼しくなってしまって、困ってしまったある日。
トップスに選んだのはカシミヤのケーブルニットでした。
この季節にカシミヤ? と思われるかもしれませんが、
もともと春夏用につくられているので
編み地がゆるく、ふわっと軽い仕上がり感。
カシミヤならではの保温性はありながらも
決して暑苦しい着心地ではないところが
冬から春だけでなく、夏から秋への季節の変わり目にも
どちらにも便利な一着なのです。
ニットはほんの少しぬくもり感のある黄みベージュ、
対するボトムは爽やかさのあるクリアホワイト、
この組み合わせならば、夏の名残もありつつ
季節遅れにも見えないのでは? と考えてみました。
ちなみにケーブル編みの縦ラインが、
ほっそり見えに効果を発揮するだけでなく、
白のパンツもセンタープレス入りならば、
横ではなく縦に膨張して、足を長く見せてくれるのでは?
…と、そんな期待も込めたコーディネートです。
さて、縦線強調のケーブルニットと書いてはみたものの
実はただ、ケーブルニットというアイテムが
好きなだけなのかもしれません。
かつて『炎のランナー』や『アナザー・カントリー』など、
20世紀初頭の英国を舞台にした映画で、
パブリックスクールの美しい青年たちが着こなしていたのが
チルデンニット。ケーブル編みを用いたVネックニットで、
紺などでVのラインがあしらわれているのが特徴ですが、
トラディショナルでありながら、リラックス感もあり
着崩すこともできて、なおかつ清潔感が漂うという
その魅力にグッときてしまったのです。
もちろんチルデンも愛用していますが、
その編み地だけを抽出したケーブルニットは、
女性にとっても、日常着としても、
さらに着やすいと思っています。
リブニットのリブが太くなったようなもの…と考えれば
編み地に表情が加わったケーブルニットは
縦線強調ほっそり効果とおしゃれ効果の合体版。
しかもマニッシュなパンツはもちろん、
実はタイトスカートとも絶妙バランスのこのアイテム、
小柄さんならずとも、おしゃれ心を掻き立てられるかと。
(写真/エディターM&J 文/エディターJ)
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