客を哲学書生に変えるカフェ「ル・セレクト」

100年近い歴史を刻む風情あるエントランス

LE SELECT。パリにはざっと7000軒のカフェがあり、小さなカフェでいいところもたくさんあるのだが、一年ぶりに行くとチェーン店に変わっていたり廃業していたりで何度涙したことか。ヘミングウェイやボーボワールに愛されたこの1925年産のカフェは当時の雰囲気ばかりかアーティストを愛するそのソウルまで保っている貴重なグランカフェ。数年前、この店の常連客を描いたスケッチ集まで出たほどだ。クロックムッシュはパリでいちばん美味い!って人もいる。
LE SELECT。パリにはざっと7000軒のカフェがあり、小さなカフェでいいところもたくさんあるのだが、一年ぶりに行くとチェーン店に変わっていたり廃業していたりで何度涙したことか。ヘミングウェイやボーボワールに愛されたこの1925年産のカフェは当時の雰囲気ばかりかアーティストを愛するそのソウルまで保っている貴重なグランカフェ。数年前、この店の常連客を描いたスケッチ集まで出たほどだ。クロックムッシュはパリでいちばん美味い!って人もいる。

この店を訪れる機会があったらテラスでの1杯を試してほしい。なぜなら空気が乾燥しているかrあシャンパンやスコッチ&ソーダ飲むものすべてがおいしく感じるのだ。旅行中の解放感と相まって夜更けまで飲み明かしてしまうことだろう。

「ル・セレクト」の夜は訪れたものすべてを哲学科の学生に変えてしまうのだ。

少なくとも同じように文学カフェと呼ばれている幾多の有名店――モンパルナスの「ル・ドーム」や「ラ・クーポール」、サンジェルマンの「ドゥマゴ」や「カフェドフロール」――では、不思議とそうはならない「ル・セレクト」だけは特別な空間である。

パリのカフェは人間観察の場所としても興味が尽きない。コレクションの取材やバイイングに来ているファッション系の人々とはひと味もふた味も違う、文化人系のお洒落というのかな、いまは亡きフィリップ・ノワレのようなシブい男性客が「ル・セレクト」にはごろごろしてる。

※2011年春号取材時の情報です。

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この記事の執筆者
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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2011年春号より
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