カステラといえば、手土産の定番。特に高級なカステラはぜひ大切な方へ贈りたくなります。では、高級なカステラと普通のカステラの違いとは? 高級とされる理由はどこにあるのでしょうか。

今回は、長崎で伝統的なカステラをつくり続けている和泉屋さんに、“高級”と形容したくなるカステラの特徴やザラメについてもお答えいただきました。ぜひ次の手土産の参考にしましょう。

条件をクリアした「長崎カステラ」は貴重な証

舶来の匠
特撰五三焼きカステラ「舶来の匠」の蜂蜜カステラと玉露カステラ 1.0号10切入りの蜂蜜と玉露の2本セット ¥6,800(税込)、単品は蜂蜜、玉露いずれも1.0号10切入り ¥3,240(税込)

和泉屋が手掛けるカステラのなかでも最高峰といわれる「舶来の匠(はくらいのたくみ)」。これぞ「高級カステラ」と呼ぶにふさわしい商品です。

「当社の場合は、一般の長崎カステラの配合にさらに卵黄だけを増量した五三焼(ごさんやき)カステラという商品をつくっており、そこから、さらに素材まで厳選したものが『舶来の匠』です。これを“高級な”グレードとしています。ただ当社としては卵黄を増量している『五三焼カステラ』や和三盆糖を加味した『和三盆カステラ』もアッパーな商品と位置付けていますので、一概に言い切るのは難しいですね」

五三焼カステラ
「五三焼カステラ」1.0号10切れ入り ¥2,375(税込)

また、和泉屋が製造しているのは「長崎カステラ」ですが、実は「長崎カステラ」と名乗るのには条件があるのだそう。

「『長崎カステラ』は地域団体商標であり長崎県菓子工業組合が権利を所有しているため、同組合から許可を得た企業しか謳うことはできません。許可を得るためには同組合が実施する検査に合格する、会社住所が長崎県内にある等の条件をクリアしなければ使用権は付与されません」

和泉屋最高峰!濃厚でコク深いカステラの秘密は?

濃厚でコク深い「舶来の匠」の秘密は?
濃厚でコク深い「舶来の匠」の秘密は?

和泉屋の中でも最高峰を極める「舶来の匠」。このカステラには、どのような特徴があるのでしょうか。

「和泉屋のカステラ専用卵」を使用

「当社のカステラに使用している卵はすべて、鶏舎と契約し、飼料の配合から当社で指定した、こだわりの『和泉屋のカステラ専用卵』です」

「卵黄」だけを増量

「『舶来の匠』を含む『五三焼カステラ』には、一般のカステラと比べ、卵の卵黄だけを増量しています。卵黄のみを増量することによって、生地の色味が濃くなり、味にも深みとコクを与えますが、生地をうまく仕上げることが難しいため、製造する職人の技術はより熟練したものが必要となってきます」

こだわりの材料できめ細かい生地に

「『舶来の匠』に使用している小麦粉には、他のカステラと異なる小麦粉を使用しています。きめ細かい生地に仕上がり、しっとり感、ソフトな食感、口溶けの良さを実現しています。また蜂蜜には、国産のアカシア蜂蜜を使用しています。アカシア蜂蜜を使用することで、さっぱりとした優しい風味ながらしっかりとした甘さを生地に付与することができます」

職人の技「泡きり」で均一にふんわり

「当社のカステラを含む長崎カステラではすべて実施している工程『泡きり』も、職人たちの熟練の技で行っており、生地の中を均一に、ふんわりと焼き上げています。ひと口食べると、ふんわりと優しく溶け出すような食感が広がっていきます」

「究極のカステラをつくりたい」という渾身の想い

「『舶来の匠』は、和泉屋の自信作にして一番人気の『五三焼カステラ』に、さらに贅を加えた特撰の五三焼カステラです。『究極のカステラをつくりたい』という職人たちの渾身の想いにより、カステラの最高峰になりました」

また、「舶来の匠 玉露」には、福岡県八女星野村産の芳醇で風味豊かな玉露が使用されているのだそう。ところどころ生地の中に茶葉が目に見えるのは、絶妙な高級感があります。

舶来の匠 玉露
「舶来の匠 玉露」

高級カステラと思わせる背景には、こだわりの材料はもちろんのこと、長年かけて培われた職人たちの技と、「究極のカステラをつくりたい」という強い想いにあったようです。

カステラにはなぜザラメがついている?

カステラにはなぜザラメがついている?
カステラにはなぜザラメがついている?

ところで、カステラといえば、底についている砂糖、ザラメ。そもそも、なぜカステラにはこのザラメがついているのでしょうか?

「ザラメ糖は、焼成して時間が経つにつれ生地に浸透することで、しっとり感を長く保つための先人の知恵であったという説があります。

ジャリっとした食感がお好みの方は、製造から日が浅いものを、しっとりした食感がお好みの方は賞味期限に近いものをお選びいただくとお好みの食感に出合えるかと思います。当社の場合、より食感やしっとり感を楽しんでもらえるよう、通常の長崎カステラに比べて『五三焼カステラ』のザラメの量を増量しております」

カステラの上手な切り方

手土産はもちろん、いただいたとき、自宅用に買ってきたとき、カットされていないタイプのものはぜひ綺麗に切り分けたいもの。そこでカステラを上手に切る方法を伝授いただきました!

■1:濡れぶきんなどで、包丁を軽く濡らす

■2:包丁を軽く前後に動かしながら、上から押さえつけないようにゆっくり切る

■3:一度切るごとに、包丁を軽く濡れぶきんなどで濡らしながら切る

ポイントは、包丁をひと切れごとに軽く濡らすことと、軽く前後に動かしながら上から押さえつけないように切ること。ぜひきれいな切れ目のカステラをお皿に並べましょう。

今回は、高級カステラの条件を探ってきました。よりこだわりと想いの強い、ワンランク上のカステラを選んで、手土産やおやつに活用してみてはいかがでしょうか。

和泉屋
1956年に創業、「いつも新しい美味しさ、和泉屋から」を理念に、長崎カステラの伝統を守りつつ、新しいおいしさを追求した商品を展開。2018年夏に工場見学、ショップ、レストランが一体となった施設「長崎カステラランド」を長崎県雲仙市にオープン。

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WRITING :
石原亜香利