「復刻ジーンズ」。

「Gショック」。

「レッドウイング」。

私のファッションのルーツ。それは90年代を駆け抜けた

雑誌『BOON』!にあります。

実は最近、古本屋で収集しております(バカ)・・・。

ジーパンやスニーカーひとつに数十万円をかける若者たちのことを

当時のマスコミたちはこぞって批判していましたが、

ファッションにおいて「本物」に憧れ、こだわることはそんなに

悪いことだったのでしょうか?

合皮のバッグを持ち、3900円のジーンズを喜んではき、

マックに集う今の若者たちの姿。

それが本当に、当時のマスコミが望んでいた姿だったのでしょうか・・?

それはさておき、90年代、BOONに象徴される若者消費文化の象徴

「復刻ジーンズ」

それはヴィンテージデニムが高騰した

90年代前半に勃興し、95~97年くらいに全盛期を迎えた、

日本独自の文化といっても過言ではないでしょう。

デニムの色落ちにこだわるあまり、雑誌でわざわざ

「どんなに汚れても絶対洗わない」

「あえて砂場でゴロゴロ転がる」

「はいたまま寝る」

と宣言する馬鹿野郎たちが続出(あ、今の全部やってた)

当時人気を集めていたバンド

TRICERATOPS(トライセラトップス)は、

なんと「復刻ジーンズ」という曲まで作っていました。

「縦落ちするまであと一歩~♪」

前言撤回。・・・やっぱ、ちょっとおかしい時代だったかもしれません。

ともあれ現在海外ブランドがこぞって発売している「セレブジーンズ」。

その高価なデニム生地がほとんど岡山・倉敷産であり

欧米のデザイナーたちから崇められているのは、

この時代の復刻ジーンズブームにより、

衰退の一途をたどっていたデニム産業が復興したおかげに他なりません。

そんな「復刻ジーンズ」の中でも、頭ひとつ飛び出た存在といえるのが、

デザイナー林芳亨氏が率いる「ドゥニーム」でした。

その特徴は、あえてブランドとしての主張を控えめにして、

あくまで「復刻」としてのクオリティを追求するスノッブな姿勢にありました。

そして時は2010年、デザイナーの林氏が、

新たなブランド「リゾルト」を立ち上げたと聞いて、

久しぶりに「復刻ジーンズ」を入手しました。

品番は「710」。

いわゆるリーバイスの「66モデル」をお手本にした細身のストレートです。

もちろん最初はノンウォッシュ。穿く前に洗濯機で洗い、

乾燥機にかけ、乾きあがったその姿に正直驚きました。

デニムが立った!

デニムが立った!

現在人気のやわらかなデニム生地では

絶対に考えられない、パリパリのヘビーな生地。

「ジーンズってこうだった!」

生地のケバを焼ききらない、素朴な質感のデニム生地。

もちろん、セルビッジ付き。

短めレングス「31」inch

を用意してくれているのが嬉しい。

身長168cmの自分でも切らずにはけますからね・・・。

このモデルは、何とレングスを5サイズ揃えているとか! 

「ノティファイ」「ヤコブ・コーエン」といった現在主流のジーンズ、

私も大好きで持っています。柔らかくてはき易く、

シルエットもデザイナーズブランドのように美しい。

まさに至れり尽くせり、なのです。

それに較べると、復刻ジーンズって正直不便ではあります。

硬いし、少し野暮ったいし、色も落ちる。

しかし、そんなジーンズをどうやって自分らしく格好良くはけるか?

ジーンズの野暮ったさをどうやったら生かせるか?

そんな風に頭を悩ませ、コーディネートする楽しみは

デザイナージーンズにも決して引けはとらないのではないでしょうか?

私なら短丈ではいてウエストンのクロコローファー、

ブラックフリースのシャツにニットタイ、

そして紺ブレを合わせて現代版ウォーホールを狙いましょうかね・・・。

昔のように洗わないではくのは無理ですが、

34歳の自分ならではの

復刻ジーンズスタイル

これから探求していきたいと思います。

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
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