コンフェッティの起源は古代ローマ時代にまで遡り、史上最古のレシピブック「アピシウスの料理書」にもすでに登場している。この時代のローマはティベリウス帝の治世で贅沢文化が花開き、料理とともに菓子も大いに発展した。

イタリアで流行しているカラフルなコンフェッティ

カラフルなコンフェッティは結婚式の時だけでなく、ギフトとして贈り合うのがイタリアで流行っている。
カラフルなコンフェッティは結婚式の時だけでなく、ギフトとして贈り合うのがイタリアで流行っている。

ところで、祝いの場になぜアーモンド? アーモンドが実際木になっているのを見たことある人は少ないと思うが、実はアーモンドはぶどうの房のようにたくさんの実をつけることから古代から多産、家族繁栄のシンボルだった。特にシチリア南部アヴォラやノート周辺はアーモンドの名産地としてしられていることから、コンフェッティはシチリアが発祥の地ともいわれている。

あまりに数が多すぎて分からない!! というときはオーナーのナディアさんに相談すればイメージにあった味をセレクトしてくれる。
あまりに数が多すぎて分からない!! というときはオーナーのナディアさんに相談すればイメージにあった味をセレクトしてくれる。

フィレンツェにあるコンフェッティ専門店「コンフェッテリア」は、専用の工房で作るコンフェッティが数十種類あることで知られる。

スミレ、リモンチェッロ、ミント、ホワイトチョコレートなどの定番の味に加え、赤ワインやタバコなど一風変わったコンフェッティもある。結婚式ではチュールにくるんでプレゼントするのが定番だが、「コンフェッテリア」では結婚式だけではなく日常でのギフト使いも提案。

例えばスワロフスキーのチャームを使ったミニ・パッケージは箱から外せばペンダントになり、オリジナルのミニコサージュと一緒に組み合わせることもできる。また、重厚なマホガニーを使ったジュエリーボックスを使ったギフトセットもある。

ジュエリーボックスを使ったギフトセット

左・ジュエリーボックスにはゴールドのコンフェッティでサプライズ、という演出。右・イタリア人男性は、コサージュとともに女性にコンフェッティを贈るらしい。
左・ジュエリーボックスにはゴールドのコンフェッティでサプライズ、という演出。右・イタリア人男性は、コサージュとともに女性にコンフェッティを贈るらしい。

ここではまずパッケージを選び、ついで好みの味をスタッフと相談しながらセレクト。世界でひとつだけのオリジナル・コンフェッティをカスタマイズすることができるのだ。

店を訪れると誰でもいろいろと試食させてもらえるのだが、これが全種類美味しくてセレクトするのは容易ではない。先日試食して気に入ったのは、リモンチェッロ、アニス、ヘーゼルナッツ。ユニークところではエメラルドグリーンのコンフェッティだが、味は桃のカクテル「ベッリーニ」だった。

これはかの「ハリーズバー」とコラボしたコンフェッティで、確かにこのエメラルド・グリーンは、パスタやベッリーニなどハリーズバーのオリジナル商品に使われるイメージ・カラーだ。

奥のテーブル上、ガラスケースに入ったコンフェッティが見えるだろうか?イタリア人の結婚式ではコンフェッティは欠かせない。
奥のテーブル上、ガラスケースに入ったコンフェッティが見えるだろうか?イタリア人の結婚式ではコンフェッティは欠かせない。

過日、イタリア人同士の結婚式に呼ばれた時もやはり「コンフェッテリア」のコンフェッティを友人たちに配るというシーンがあったが、コンフェッティは結婚式だけのもの、という考えは過去のものとなりつつある。

クリスマスの名物菓子だったパネットーネがいまや一年を通して食べられるように、美味しいものは季節を問わずいつでも食べたい、というイタリア人の素直な欲求の表れがコンフェッティ・ブームなのかもしれない。

ラ・コンフェッテリア

Via dello Sprone, 12/r 50125 Firenze
Tel+39-055-2381950 9:00〜13:00、15:30〜20:00 日・祝休
www.laconfetteriafirenze.it

この記事の執筆者
1998年よりフィレンツェ在住、イタリア国立ジャーナリスト協会会員。旅、料理、ワインの取材、撮影を多く手がけ「シチリア美食の王国へ」「ローマ美食散歩」「フィレンツェ美食散歩」など著書多数。イタリアで行われた「ジロトンノ」「クスクスフェスタ」などの国際イタリア料理コンテストで日本人として初めて審査員を務める。2017年5月、日本におけるイタリア食文化発展に貢献した「レポーター・デル・グスト賞」受賞。イタリアを味わうWEBマガジン「サポリタ」主宰。2017年11月には「世界一のレストラン、オステリア・フランチェスカーナ」を刊行。