マンションなど集合住宅では、皆が快適に暮らせるように、住民同士がマナーを守って暮らしてゆくことが大切ですよね。日常の家事である洗濯においても、それは例外ではりません。
洗濯機をかける時間、洗濯物の干し方について、マンションによってはルールが明文で定められていることもありますが、もし公式ルールがなくても、好き勝手に振る舞うのはよくありません。
近隣住民への配慮に欠けると「あの人、近所迷惑ね」と後ろ指をさされたり、トラブルに発展したりすることにもなりかねないからです。
そこで今回は、マナー講師の金森たかこさんから、知らずにやると非常識な人認定されかねない「お洗濯をするとき、洗濯物を干すとき」のNGマナーを教わりました。
近所迷惑になるのでNGな洗濯するとき&洗濯物を干すときのマナー7選
■1:「真夜中や早朝」に洗濯機をかける
マンションでの洗濯機の使用は、音や振動が意外と近隣に響くもの。夜中や早朝では近所迷惑になってしまいますが、洗濯機を使用してもOKな時間帯は、何時から何時までなのでしょうか?
「洗濯機の使用時間を明確に定めているマンションもありますが、もし、ルールがない場合、7時から21時の範囲であれば、マナー違反にはならないでしょう」(金森さん)
マンションによっては、22時くらいまでOKなこともあるようですが、夜間の洗濯はなるべく21時までに済ませるようにしましょう。
■2:香りの強い洗剤を使う
洗濯機の使用時間以外に、洗濯のマナーで注意したほうがよいことはありますか?
「香りのきつい洗剤を使うと、風が強い日などは干したときに、香りが漂ってスメルハラスメントになるおそれがあります。最近では改善されつつあるようなので、一概にいえないのですが、特に海外メーカーの柔軟剤は、香りがきついと感じる人もいるようです。自分にとってお気に入りの香りであっても、他人も同じように感じるとは限らないという点には、配慮したほうがよいでしょう」(金森さん)
マナーの点でもおしゃれの点でも、自分の好みより周囲の人の感じ方を優先させたほうがよいことは、往々にしてあります。香りが強烈な洗剤の使用には、配慮が必要です。
■3:下着を堂々と干す
洗濯物の干し方のなかでも、特に、下着の干し方はその人の価値観が出やすいようです。大人の女性ならみなさん心得ていることと思いますが、改めて…下着を堂々と干すのはマナー違反に当たるのでしょうか?
「そもそも近年、景観の問題から下着に限らず、できるだけ洗濯物を外から見えないよう干すように、ルールを定めるマンションが増えています。
もし、そうしたルールがなくても、マナー上も防犯上も、やはり下着は人目につかないように干すのが望ましいです。ベランダに干すのであれば、手すりより低いところに干すか、前方にバスタオルを干して隠すようにしましょう」(金森さん)
高層階で周囲から見えにくい状況であったとしても、女性のたしなみとして、下着はあけっぴろげに干さないようにしましょう。
■4:布団や毛布などを激しく叩く
かつて、布団叩きが騒音事件としてニュースになったこともありました。布団の干し方ではどのような点に注意したほうがよいのでしょうか?
「布団だけでなく毛布やカーペットにもいえることなのですが、激しくたたくと騒音になるのに加えて、埃が舞うという点でも、近所迷惑になるおそれがあります。布団などは干して叩くのではなく、掃除機で埃を吸い取るようにしましょう」(金森さん)
布団叩きは繊維を傷めるだけで、十分に埃を取り除けなかったり、むしろ逆効果だったりするともいわれています。近所迷惑にならないためにも、布団等を大切に扱うためにも、激しく叩くのはやめましょう。
■5:布団などをベランダの手すりに干す
布団やカーペットの干し方で、他にも注意点はありますか?
「布団、毛布、シーツ、カーペットなど、長いものをベランダの手すりに干すのはNGです。マンションが明確に禁止していることもありますし、もしルールがなくても、落下の危険があり、また下の階にまで垂れ下がってしまうと、目障りになるおそれがあります。布団干しを使うなどして、ベランダの内側に干すようにしましょう」(金森さん)
クリップなどで留めていても、いつの間にか垂れ下がってしまうことはありますし、ベランダの手すりを物干し台として使わないようにしましょう。そのほか、ニットなど埃の落ちやすいものも、なるべくベランダの内側に干すのがよいとのことです。
■6:洗濯物を下の階に落として知らん顔をする
風で飛ばないようにしっかり留めていても、うっかり洗濯物や洗濯バサミを下の階に落としてしまう可能性は、ゼロではありません。もしそうなった場合、どのように振る舞うのがよくなく、どのように振る舞うのが適切なのでしょうか?
「下の階の人も洗濯物や洗濯バサミが落ちてきたら、どうしたものかと困惑してしまうはず。ですから、知らん顔するのはやめましょう。適切な振る舞いとしては、相手方を直接訪問して、丁寧にお詫びすることが考えられますが、ただ、このご時世、同じマンションの住民でも面識がなければ、いきなりピンポンして相手が応対してくれるとは限りません。
そこで、『洗濯物を落としてしまって、申し訳ありません』というメモを相手のポストに入れるという手段もありますが、これもまた相手によっては怖いと感じてしまうことも。
ですから、まずは礼儀として相手を直接訪問してみて、それで応答してもらえない場合は、管理会社や管理人さんに間に入ってもらうのが、もっとも角の立たない方法だと思います。管理会社を通じてお詫びするとともに、落とし物は必要ないので処分してほしい旨を伝えれば、相手にとって負担も少なくて済むでしょう」(金森さん)
昔であればご近所さんとは直接、顔を合わせてコミュニケーションを取ることが可能でしたが、今は時代が時代。特に相手の顔を知らない場合、マンション内での困りごとは管理会社に相談するのがベターでしょう。
■7:上の階から落ちてきた洗濯物を勝手に処分する
逆に、上の階から洗濯物などが落ちてきた場合には、どうすればよいのでしょうか?
「面倒だからといって、勝手に処分してしまうのはNGです。やはり、管理会社に、いつ何が落ちてきたのか伝えて相談するようにしましょう。そうすれば、管理会社のほうで落とし物を預かったうえで先方に伝えたり、持ち主がわからなければ、マンション内の掲示で呼びかけたりなど、適切に対処してくれるはずです」(金森さん)
万が一、勝手に処分した後に、持ち主が返してほしいと言い出したらトラブルの元です。自分で判断するのではなく、この場合も、まずは管理会社に一報を。
毎日、何気なくやっている洗濯で、知らずに近所迷惑なことをしていた……なんてこともあるかもしれませんね。もし、今回ご紹介したマナー違反に心当たりがあれば、この機会にぜひ改善しましょう。
ウイズ
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美