賑やかな夏のシーズンを終え、穏やかな秋から初冬の能登半島は大人の休暇にぴったり。立国1300年を迎えた能登の地で、112年の歴史をもつ老舗旅館「加賀屋」を訪れました。
プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で36年連続1位を達成している「加賀屋」に加え、2015年には別邸として「加賀屋別邸 松乃碧」を開業。こちらも早くもリピーターが続出しているのだそうです。本記事では広報の張原 滋さんに、2つの加賀屋の魅力と、秋冬の能登の楽しみ方を教えていただきます。
■1:贅をつくした華やかな「加賀屋」
張原滋さん:海に囲まれていて、目の前の船着き場は江戸時代に海からチェックインしていた名残でして。館内では加賀友禅や輪島塗、九谷焼など、石川の伝統工芸をご覧いただけます。昭和56年能登渚亭新築当時は駆け出しだった作家の先生方も、今や人間国宝になられていて稀少な作品となりました。チェックイン後の16時と17時の2回、館内は美術館ツアーを実施してご案内していますので、よろしければお気軽にご参加ください。
張原さん:和倉温泉の開湯は1200年前。特に江戸時代以降、湯治で人気となりました。今も地下の花崗岩に含まれる水晶をくぐり抜け、透明なお湯が絶えることなく湧き出ています。〝海の温泉〟ならではの豊富な塩分が特長で、冷えの改善のみならず、傷や皮膚病に作用する殺菌効果、毛穴を引き締めて肌をなめらかにする美肌効果が女性のお客様に喜ばれていますね。
張原さん:秋は甘エビやのどぐろなどの魚介に松茸が旬、冬はいよいよカニが解禁になります。寒ブリもぜひ召し上がっていただきたいですね。少し先ですが、春はフグが特におすすめです。フグといえば下関のイメージがあるかもしれませんが、実は漁獲量日本一は石川県でして。お肉好きの方には、黒毛和牛の能登牛もきめ細かい肉質と上品な脂で好評です。
張原さん:「お部屋ではプライベートな時間を大切にしたい、だから食事は別会場で楽しみたい」「メイン料理はそれぞれ好きなものを選びたい」といったお客様に向けて、この10月に割烹がリニューアルしました。お部屋食だけでなく、割烹での食事プランもご用意しています。
高反発で寝返りがしやすいので、腰痛が気になる方にもご好評をいただいています。こちらは本館だけに全室導入していて、お布団のお部屋もあります。
■2:大人のための静謐な寛ぎ「加賀屋別邸 松乃碧」
張原さん:「美術館に泊まる宿」をコンセプトにした31室の小規模な旅館で、ご利用は中学生以上の方限定とさせていただいております。加賀屋では到着からお見送りまでひとりの客室係が担当し、昔は「お帰りまでに10回のお茶は出すように」と言われたものですが、今の時代はプライバシーを守りたいというお客様も少なくありません。こういったお客様に合わせて、別邸である松乃碧はウェルカムドリンクはロビーで、お食事はお食事処で加賀屋流のおもてなしをご提供し、あえてお部屋でのサービスをなくしています。お部屋の中ではセルフで楽しんでいただけるものを充実させました。
また、インクルーシブスタイルで、お食事とのペアリングはもちろん、お部屋の飲み物やお茶室でのお抹茶のサービスまでご宿泊料金に含まれますので、追加代金のご心配なく過ごしていただけます。
張原さん:加賀藩主、前田家ゆかりの茶室を移築したものです。といっても、椅子もご用意していますし、作法はどうぞお気になさらず、お茶を体験していただき興味や学びのきっかけになればという思いです。この場所ならではの思い出ができると、娘さんから母娘旅の贈り物としてもお選びくださる方も多くいらっしゃいますね。
張原さん:能登は万葉集にも詠まれた歴史ある地で、2018年には能登国が誕生して1300年を迎えました。年度内は記念の「能登ふるさと博」を開催しており、神社仏閣の名宝の公開、神事やお祭り、白米千枚田のライトアップ、輪島のかにまつりなど各地でさまざまなイベントを実施しています。紅葉も見ごろですので、温泉や御朱印めぐりなどとあわせて、日ごろのお疲れを自然豊かな能登で解放していただけたらと思います。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 宮島直史
- EDIT&WRITING :
- 佐藤久美子