マーガレット・ハウエルが、彼女の少女時代に身の回りにあった家具や雑貨を復刻する活動を始めたとき、「機能が一定の品質を満たしているなら、人が求めるのは何も最新のデザインや技術ではないんだ」とひざを打ったことがあった。

全英が好むレトロスマイルなラジオ「ロバーツ」

徹底した手づくりの精神が生む名機

●1932年創業●英国王室御用達/1969年エリザベス女王、1984年チャールズ皇太子/英国で最も愛されるラジオメーカーの50年代の大ヒット商品は、コーンスピーカーを鹿革で覆った、なんともレトロなモデル。今見ても、当時のデザインセンスの高さが際立つ。『R250』※受信周波数の範囲は、FM/76~92MHZ、MW(=AM)/522~1602MHZ。LW/日本では使用不可。W235×H155×W105㎜
チューニングコントロール、ボリューム調整ボタンなど、このアナログ感が男にはたまらない。そしてここにも、ふたつのワラントが並ぶ

それは、英国らしい古きよき価値観にも通じる。皇太后も含めると一時は3つのワラントを獲得していた「ロバーツ」もそういうラジオである。特に主婦が台所で音楽を聴くために考案されたといわれる、この『スウィング』のリ・モデル品は、ノスタルジーを引き出す愛嬌のあるランチボックス顔と素朴で温かみのあるサウンドが特徴のラジオだ。

「ロバーツ」は、亡き皇太后のベッドサイドに置かれていたという噂を聞いたことがある。果たして、女王やチャールズは、ご機嫌な鼻歌を歌いスウィングする寝室の皇太后の姿を、このラジオを見るたびに思い出したりしているのだろうか。そんな想像を勝手にふくらませるのが、なんとも楽しい。

BRAND STORY

創業は1932年。ふたりの若者が、アパート2部屋からスタートしたラジオ会社だった。研究から生産、販売までを二人三脚で行い、ユーザーの注文に応えて、ひとつひとつ手づくりで製品をつくり続けた。その物づくりの姿勢は現在でも変わることなく貫かれている。今回紹介したラジオは、1950年代(写真)の人気商品を復刻したもの。

※2011年春号取材時の情報です。※価格は税込みです。

PHOTO :
パイルドライバー