誰だって、仕事を円滑に進めたいもの。できるだけトラブルは起こしたくないですよね。しかし、うっかり失言で自らがそんな原因をつくってしまうことも……。どうすれば、地雷発言を避けられるのでしょうか?

主に取引先の相手に、「この人大丈夫?」と思われやすいのでNGなフレーズや行動について、業務改善・オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまねさんに教えていただきました。

自分への信頼感がどんどん失われるNG言動11選

■1:「ちゃちゃっとできるでしょ?」と言う

すぐできそうと言うと相手には敬意がないように聞こえる

取引先に「ちゃちゃっとできるでしょう?」と言ってしまったことはありませんか? 沢渡さんによると、この発言は「リスペクトのない発言」でNGだそうです。

「依頼する相手はプロなのですから、プロの先輩として言うならともかく、専門家でない人が言うのは失礼です。相手には見えない努力や難しさがあり、こちらが勝手に、すぐできると決めつけてはいけません」(沢渡さん)

もし気になるようなら、例えば、「私は2日でできるのではないかと思うのですが、どんな難しさがあるのでしょうか?」などと聞いてみるといいそうです。

■2:「とりあえずお会いして打ち合わせしましょう」と言う

また、「とりあえず来て」などと相手を呼びつけるのもNG。

「会うための移動の時間やスケジュール調整といったタダ働きは、お互いに無駄なコストになってしまうのです。とりあえず会うとか、価格交渉といった間接業務はなくしたほうが、コストダウンになります。

迅速にコラボレーションするための工夫は、今後ビジネスリテラシーやビジネスマナーとして重要となっていくと思います。無駄な体力を奪うような慣習は見直したほうが良いでしょう」(沢渡さん)

会うことは大事ですが、何のための打ち合わせか明確にするのがよさそうです。

■3:「候補日を3つ挙げていただき、2週間預からせてください」と言う

日程を決めるだけで相手を待たせすぎるのはNG

打ち合わせやプレゼンテーションの日程を決めるとき、「候補日を3つ挙げていただき、2週間預からせてください」などと言ってはいないでしょうか?

「このような発言を受けて待った挙句、何も決まらないというのでは取引先の機会損失になります。スピーディーに意思決定する思いやりや工夫が大事です。スピーディーに決めないことはリスクでしかありません」(沢渡さん)

リスクとはつまり、金額が上がる、ひいては良い取引先が離れていく可能性もあるとのこと。そんな最悪の事態になる前に、スピーディーな判断を心がけましょう。

■4:「ウチのやり方は特殊なんです」と言う

さらに、独特の慣習を相手に押し付けるような発言もNGです。

「ウチのやり方という言い方をするのは、自分たちは標準化する気がないという意思表示です。特殊性に相手を合わせさせるということは、当然ながらその分コストも高くなります」(沢渡さん)

初めてのやりとりでは、事前に一般例を調べておくのがよさそうです。

■5:「残念ながら上が納得しませんでした」と言う

謝罪を後回しにしないように

すぐ上層部に責任を押し付けるような発言も信頼を失くしやすいです。

沢渡さんは、「『残念ながら上が納得しませんでした。御社には発注できません』と言う人がいますが、残念なのはあなたのマネジメント能力ですよ」とバッサリ。

社内事情でお断りしなければならないこともあるでしょう。でも、その場合、まずは「申し訳ございません」と謝ることが大事です。

■6:「担当者が変わったのでイチから説明をお願いします」と言う

信頼を失くしやすいのは、社内体制の不備を露呈するような発言も含まれると沢渡さんは言います。

「『担当者が変わったのでイチから説明をお願いします』というのは、自分の会社は引き継ぎができていないことを公言しているようなもの。それによって外の人に迷惑をかけているのです。

説明というのは、お金を生まない無駄な時間ですから、生産性がどんどん下がります。この場合も、まず『申し訳ございませんでした』と言ってから、お金を払うなりして、もう一回やってもらうのが普通でしょう」(沢渡さん)

「残念ながら上が納得しませんでした」も「担当者が変わったのでイチから説明をお願いします」も、社内の事情を相手に押し付けているということ。社内の問題は社内で解決する方向に努力したいですね。

■7:「あなたの実績になると思って安値(タダ)でお願いします」と言う

実績になるかどうか判断するのは相手

沢渡さんによると、むしろ自分の実績としては隠したい団体の仕事ほど、「安値とかタダでお願いします」と言ってくるのだとか。しかし、絶対に口にしてはいけません。

「実績は相手が決める価値なので、こちらから押し付けるのはおかしいです。開き直って安値やタダでお願いすると、その会社のブランド価値を下げてしまうことにもつながります。組織のお金は正しく使いましょう」(沢渡さん)

自分の会社の価値を下げないためにも、的確なコスト計算をするようにしたいものです。

■8:「私たちシロウトだから!」と言う

自分は素人だと開き直り、「あなたプロだからできるでしょう」という態度もNGです。

「もし任せるならすべてを相手に任せましょう。知識を補うことが相手の価値なのですから、リスペクトを示したり、お金払うという形を取らないと、仕事は受けませんと言われる可能性もあります」(沢渡さん)

素人なりに自分たちも理解するように努力をしましょう。さらに、フレーズではないですが、以下も残念な行動として挙げていただきました。

■9:事務手続きがやたら煩雑でやりとりがすべて紙と郵送ベース

アナログなやりとりが多すぎるのはNG

自分の組織がアップデートされているか、見直す必要があるようです。

「事務手続きは、相手の時間を優しく奪います。誰も得しない無駄なタダ働きは、相手の生産性やモチベーションを下げます。契約の場などで、契約はA部署、注文はB部署、価格交渉はC部署というように登場人物が多すぎるのも相手のコストを奪うこと。

これからの世の中、迅速なコラボレーションをいかにうまくやっていくか、というシステムづくりが大事です。お互いに、いい仕事をしていくことが成長につながります」(沢渡さん)

面倒な事務手続きはこちらで巻き取るなどして、不信感を抱かせないようにしましょう。

■10:意思決定に時間をかける

自分たちが決定しない間、相手は振り回され、新しい仕事をするチャンスが奪われます。そのため、沢渡さんは「お互いに成長する機会もなくなるので、意思決定が遅い原因を自社の問題として改善したほうがいい」と主張。

「全体像や現在地といった情報を示すことで、相手に選択権を与えると、そこに信頼が生まれます。例えば、山を歩いているとき、いま八合目だとしたら登りますか? やめますか? できると思うから頂上を目指しますよね?

でも、森の中でどこを歩いているかわからないと、どうするでしょうか? 情報がないと頑張ればいいのか、やめればいいのか判断できないでしょう。決定が遅いなら遅いなりに、少なくともプロセスを相手に見せる必要があるのです」(沢渡さん)

長時間かかりそうなら、全体スケジュールを提示するのがよさそうです。

■11:急ぎの案件でもないのにやたらと電話をかける

電話は相手の時間を奪うもの

最近は、電話をかけるか、かけないかで論争になることもあります。1日に何度も電話するなどはNGです。

「電話は相手の時間や集中力を奪います。お互い忙しいので、自分の都合のいいタイミングでレスできる手段、メールやメッセンジャーなどで済ませるほうが、気持ちよく仕事ができるでしょう。電話が完全にダメだといっているのではなく、緊急時はもちろん電話してもかまいません」(沢渡さん)

緊急ではないなら、メールなどで「●●時までにお返事ください」と連絡しましょう。

■12:片道2時間の相手を数分の打ち合わせに呼びつける

遠距離のクライアントを呼び出す際も、注意が必要です。

「最初のほうでも言いましたが、行く時間やスケジュール調整はお互いのコストになりますし、移動はリスクを伴うものです。たかだか30分の打ち合わせに、片道2時間以上の距離の相手を呼び出すのは非効率です。迅速なコラボレーションを目指すなら、本当にその打ち合わせが必要なのか、もう一度考えましょう」(沢渡さん)

顔を合わせないとできない打ち合わせなのかどうか、お互いに確認してから日時を決めるようにしましょう。

■13:しつこく価格交渉する

値引きをすれば長続きしない

最後は、価格交渉。沢渡さんによると、価格交渉は、むしろコストが増えることに繋がるそうです。

「価格交渉は、見積もりのし直しや社内調整に手間がかかり、相手の時間を奪う行為。そもそも価格交渉をする=自分たちが適正価格をわかっておらず、それを知る行為を相手とのさぐりあいによって把握する行為でもあります。

理想の価格が出てくるまで交渉に時間をかけることは、つまり相手にとってコストでしかありません。結果、相手は安くできないことも。無茶な価格交渉をするのは、相手のビジネスモデルを壊す行為でもあり、そういう取引は長続きしません。また、やたらと価格交渉してくる会社のイメージは良くありません」(沢渡さん)

何度も値引きを提案するのは言語道断。沢渡さん曰く、「自分の取引先が会議室を一歩離れれば、一個人として自分のお客さんになる可能性もある」と思う気持ちを忘れないことが大事そうです。

以上13点を伺って、取引先との関係は対等に、コミュニケーションは相手の立場を考えながら、自社でやらないといけないことは自社で、といった基本的な姿勢が見えてきました。できるところから始めて、良質な取引先との円満な関係性、スムーズな仕事、お互いの向上につなげていきたいものですね。

沢渡あまねさん
業務プロセス・オフィスコミュニケーション改善士
(さわたり あまね)1975年生まれ。あまねキャリア工房代表(フリーランス)。日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社を経て2014年秋より現業。経験職種は、広報/情報システム/ネットワークソリューション事業部ほか。現役時代、残業だらけのシステム運用チームを定時帰りの職場に変えた経験あり。人事経験ゼロの働き方改革パートナー。現在は企業や自治体で働き方改革、社内コミュニケーション活性、業務プロセス改善の支援・講演・執筆・メディア出演を行う。趣味はダムめぐり。事務作業アレルギー。著書に『職場の問題地図』『職場の問題かるた』『マネージャーの問題地図』(技術評論社)、『ドラクエに学ぶチームマネジメント』C&R研究所)ほかがある。
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この記事の執筆者
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WRITING :
あわいこゆき
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