三陸地方の味覚を東京で発信し、応援するバルがオープン!
この夏の清瀬に続き横浜・菊名にもオープンした高級食パン専門店「考えた人すごいわ」は、オープンから半年にして、快進撃が止まらない人気店。その経営を行うオーネスティグループが次なる展開で考えたのは、3店舗目ではなく、新しいコンセプトの店舗の展開でした。
2018年11月26日にオープンした「kerasse Tokyo」は、岩手県の住田町をはじめとする岩手、宮城、青森など三陸地方の食材や文化を東京で発信し、盛り上げていくというコンセプトを掲げています。
店名も住田町の方言で「お気軽にきてください」という意味の“けらっせ”から命名。シェフには人口約5000人で過疎化が止まらない町で繁盛店「すみだのだいっどころkerasse」をつくり上げた坂東 誠さんを迎えました。
生でおいしい食パンを使った絶品「牡蠣フライサンド」
メニューのなかには「考えた人すごいわ」のパンを使ったものが1品のみですが入っています。それは「考えた人すごいわ」の人気食パン「魂仕込み(こんじこみ)」を使った牡蠣フライサンド(ディナータイムのみの提供)です。
そのまま食べてもくちどけのよい食パンをほどよくトーストし、味が濃い三陸産の牡蠣を フライにしてサンド。牡蠣は生ハムを巻いてフライにしていて、パンの弾力に負けないさくとっとした食感を切り分けたあとでもキープ。小さめサイズながらも端から端までみっしり詰まった食べ応えのあるサンドイッチ。
イートイン専用となっていますが、手土産対応もぜひともお願いしたい!
牡蠣を使ったメニューでは産地直送の生牡蠣は絶対はずせませんが、ぜひオーダーしてほしいのが「“炙り”牡蠣sushiロール」。牡蠣をトマトやほうれん草と巻いたロール寿司の上に、生ハムや雲丹ワサビ、日高見牛、ホヤなど8種類をトッピング。大きなフライは、オキアミという小さな魚を揚げたもの。
仕上げにテーブルで炙ってからいただきます。友人たちとテーブルを囲んだときには、誰がどれを食べるかで揉めちゃいそうですね。それでも、とてもリーズナブルなので、もうひと皿オーダーしてしまいましょう。
岩手県外では入手不可能な、農家メイドのシードルも
温かいメニューの一部では、岩手県の南部鉄器を使った器で提供。フォカッチャのお通しは、岩手県産の南部小麦を使った生地に三陸産の海藻を練りこみ、客の来店後に焼き上げます。
この南部鉄器は終戦後の食糧難の時期に近江タミ子さんという方が使った鍋が原型の及源という会社が復刻したパン焼き器「タミパン」のまま提供。ちぎってシェアしていただくスタイルです。
ドリンクはぜひシードルのオーダーを。通常は岩手県花巻市にしか流通させないというポリシーをもっている亀ケ森醸造所の大和田 博さんがつくる「無濾過シードル」が並んでいます。
大和田さんは元々が農家で、「マイクロブルワリー」のため生産数も少なく、県外には出荷しないと決めていたそうです。それがここ東京でいただけるのは、やはり坂東さんたちスタッフと産地のつながりがあるから。
糖分や酸を加えないりんごそのものの味わいは、少し炭酸が弱めの優しい口当たり。りんごの品種ごとに味も色も異なっているので、飲み比べてみるのもおすすめです。
こちらのお店の最寄り駅は大江戸線若松河田駅。といっても、すぐに場所がわかる人は多くはないですよね。清瀬・菊名と都心部からは離れた場所に展開したときの店舗探しと同様に、今度のお店も少し不便な場所であってもきちんと経営できる場所を探し出したそうです。
山手線の内側で、新宿区という都心でありながら、交通量があまりない場所。でも住宅は多く、ほかにはないお店であれば足を運んでもらえると自信をもっています。
そんなお店づくりのノウハウの実践も、こちらのオープンの目的。実は「東北支援」とともにテーマに掲げているのが、「料理人の独立支援」。3Kとも言われる料理人の世界で夢を実現し、経営を継続していくためのサポートをすることを前提に、お店のスタッフを雇用しています。
「まじめに働いている人が日の目をみるようにしたいと思っています。ただ、やりたいことをやっていきていけるには、コツがあったり、場所によってやり方を考えなくてはいけません。もちろん試行錯誤は必要ですが、それをやっていける仲間を応援することをやっていきたい」(坂東さん)
東北を支援しながらも、働く人の幸せを考えるお店。私たちも食べることでサポートしながら、幸せをお裾分けしてもらえそうですね。
問い合わせ先
- ワイン食堂 kerasse Tokyo
- 営業時間/ランチ11:30~14:30(14:00 L.O.)、ディナー 17:00~23:00(22:30 L.O)
- TEL:03‐6380-0253
- 住所/東京都新宿区余丁町9–9 クレアール余丁町1F
- TEXT :
- Precious.jp編集部