堅牢でありながら、軽いボディ

『Z 7』ボディ¥405,000※編集部調べ、『NIKKOR Z 50mm f/1.8 S』(レンズ)¥83,500
『Z 7』ボディ¥405,000※編集部調べ、『NIKKOR Z 50mm f/1.8 S』(レンズ)¥83,500

機能面に言及されることが多い『Z 7』。帆刈氏はボディにも驚きを覚えた。

「ニコンの一眼レフカメラのボディは、良い意味で重みを感じる丈夫な作りですが、『Z 7』は従来の堅牢さはありながらも軽い。手のひらと人差し指から小指までしっかりとはまるグリップは、安定感があり、扱いやすそうと感じました」

ローアングル撮影に便利なチルト式の画像モニター
ローアングル撮影に便利なチルト式の画像モニター

液晶モニターを上下に動かせるチルト式の画像モニターも、ローアングル撮影時にはかなり便利と、評価する。

代々木上原にあるモスクを撮影。明暗差のある被写体も階調豊かに表現可能
代々木上原にあるモスクを撮影。明暗差のある被写体も階調豊かに表現可能

「タッチシャッターとの併用で、ピント合わせからシャッターを切るまでスムーズに撮影が可能。ストレスを感じさせません」

一眼レフユーザーにもなじむ電子ビューファインダー

最低限の情報を確認できるボディ上面の表示パネルは、一眼レフユーザーにも使いやすい仕様。一方でこんな指摘も。

「シビアなフレーミングが必要とされる撮影では、画像モニターの情報表示が邪魔になり、見えづらいことがありました。表示パネルで情報が確認できるのであれば、モニターの情報表示をなくしてもよかったのでは。もしくは表示切替の設定でモニターには画像だけか、上下の余黒部分といった画像にかからない配置も選択できるようにしてほしかったのが正直なところ」

浅い絞りでも合わせたいところにしっかりとピントが合い、ボケ味もきれい
浅い絞りでも合わせたいところにしっかりとピントが合い、ボケ味もきれい

電子式ビューファインダーの見え方は、これまで使ったことのあるモデルに比べても、より自然でクリアに見えた。

「一眼レフカメラの光学式ファインダーは、レンズから入ってきた光を鏡に反射させて被写体を見るので自然ですが、ミラーレスカメラのそれはファインダー内の小さな液晶画面に画像を映しています。今までの機種ではギラつきやタイムラグなどが不自然に感じ、なじめないという話も聞きましたが、『Z 7』は一眼レフの光学式ファインダーに近く、より自然に見えるのでユーザーにはぜひ試してもらいたいですね」

優れた色再現性で、色調にも奥行きが感じられる

肝心の画質についてはどうだろうか。

「極めて高画素なセンサーにも関わらず、高感度で撮影した画像でもシャープネスは損なわれず、色再現にも優れていました」

高感度で撮影した晴海客船ターミナルのデッキからの風景
高感度で撮影した晴海客船ターミナルのデッキからの風景

特にISO64~1600で撮影した写真に感動を覚えた。

「ノイズもなく、水面のように滑らかでしっとりとした画質ですね。色調にも奥行きが感じられ、マットな色調から中間色、彩度の高い艶っぽい色味まで豊かな階調で描写再現できました」

動く被写体も鮮明に撮影できた
動く被写体も鮮明に撮影できた

フォーカスポイントがほぼ画面全体をカバーしているのも、帆刈氏には魅力的に映った。

「狙ったピント位置に的確に合わせられるので、小さな被写体でも迷うことなくしっかりとピント合わせができました」

小さな被写体でも、確実にピントを合わせての撮影が可能
小さな被写体でも、確実にピントを合わせての撮影が可能

シングルスロットに不安を覚えるも、それを超える使いやすさ

気になった点は、記録メディアがXQDカードのシングルスロットだったこと。

「現在の主流はSDカードでXQDカードは価格も高いため、SDカードユーザーは二の足を踏んでしまうかもしれません。ただXQDカードの書き込み速度はSDカードに比べてかなり高速で快適なのも事実です」

ローアングルで撮影した、奥行きのある風景
ローアングルで撮影した、奥行きのある風景

データ喪失などのリスクがほとんどなくなったとは言え、シングルスロットは同一書き込みのバックアップができず、プロとしては少し不安を感じたと言う。しかし、それを上回る使いやすさは、大きな美点だ。

「一眼レフと同じようにファインダーをのぞいた際の、電子ビューファインダーの自然でクリアな見え方、しっかりと収まりの良いボディのホールド感、シャッターを切る指の感覚とシャッター音、どれをとっても期待通り以上のもの」

高感度で撮影した銀座にあるショップの螺旋階段
高感度で撮影した銀座にあるショップの螺旋階段

「だからこそ次モデルでは、メモリのダブルスロット化とモニターの画像のみ表示、さらには瞳AFなどのオートフォーカスの標準になりつつ機能も搭載してほしい。“痒いところに手が届く便利さ”が備われば、きっと一眼レフユーザーも満足できる機種になるでしょう」

問い合わせ先

帆刈一哉さん
カメラマン
ほかり かずや●1976年生まれ。20歳の頃から写真を始め、スタジオ勤務後に独立。広告、書籍、雑誌などの分野で活動中。2016年に個展『カゴの中で見る夢』を開催。休日や旅行にはミラーレスカメラとドローンを持って行くのが最近のスタイルhttp://www.hokarikazuya.com/profile.html​

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この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
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